抄録
経皮的冠動脈形成術(PTCA)後の再狭窄の原因である血管内膜肥厚を抑制するために、カテーテルを用いた薬物の局所投与法の開発が強く要請されている。PTCA用バルーンカテーテルを基材として、その先端に狭窄部位拡張用のインナーバルーン(IB)と、KrFエキシマレーザーにて薬物放出用の微細孔(直径20または30μm)を作成したアウターバルーン(OB)とからなるダブルバルーンを組み込んだ新しいカテーテルを開発した。加工後のバルーンを走査型電顕で観察すると、微細孔の配列、直径、形状とも全て設定通りに正確に加工されていた。IBを加圧膨張させると、IBとOBの間腔に満たされた溶液が微細孔からしみ出し、その流出量は注入圧及び孔径に依存性であった。
エキシマレーザーでOBに微細孔を形成した本カテーテルは、IBによる従来の血管拡張機能に、新たにダブルバルーンによる薬物送達機能が賦与され、その量は注入圧及び孔径で制御できることが示された。