人工臓器
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遠隔期に摘出したCarpentier-Edwards牛心膜弁の変化
河野 博之真弓 久則益田 宗孝森田 茂樹戸嶋 良博川内 義人安井 久喬
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1995 年 24 巻 2 号 p. 437-442

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抄録

1985年2月から1994年4月までに、173個のCarpentier-Edwards牛心膜弁(CEP)を使用し、そのうちの13個を再手術で摘出した。それらの弁の変化を検討した結果、Primary tissue failure (PTF)を僧帽弁位で4個(植込後62~94カ月、平均80カ月)、大動脈弁位で1個(同63カ月)に認めた。その様態として、僧帽弁位では弁尖の亀裂、石灰沈着の他に、特異な所見としてワイヤー断裂、ステント変形、亀裂を伴わない弁尖逸脱および短縮、パンヌス異常増生がみられ、大動脈弁位では高度の石灰化が認められた。一方、弁機能が保持されていた僧帽弁位4個(植込後3~71カ月)、大動脈弁位4個(同64~97カ月)の弁にも石灰沈着やパンヌス増生が高率に認められ、将来の弁不全発生の原因となる可能性が示された。これまでの牛心膜弁と異なり、CEPのPTFには弁尖の亀裂や石灰化以外に諸種様態があり、それらを認識した上でのfollow-upが肝要である。

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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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