抄録
エンドトキシンフィルタの開発等浄水化技術の進展により未滅菌透析液を置換液として使用する大量濾過HF, HDFが臨床応用されるに至っている。本研究ではこれら治療法の溶質除去特性の解明, とくに除去効率に及ぼす希釈方式, 濾液流量の影響を明らかにすることを目的とした。水溶液実験ならびに臨床を通じ検討した結果, 以下の結論が得られた。(1) HFにおけるクリアランス(CL)は濾液流量で(QF)とふるい係数の積に等しい。(2)同じQFのHFでは, Post-dMon法(Post法)の方がPre-dilution法(Pre法)よりも高いCLをもつが, 前者は患者血流量に強く規定されるのに対し, 後者は理論的には無限に増大させることができる。(3) Post法HDFではQFとともにCLは増大するが, その傾向は拡散のみによ。るCLが比較的小さい大分子溶質ほど顕著である。(4) Pre法HDFではQFとともにCLは, 大分子溶質で増加, 中分子溶質でほぼ不変, 小分子溶質で若干減少する傾向をもつ。