人工臓器
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中空糸透析膜の流動電位測定法の改良
中村 友一小久保 謙一酒井 清孝
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1995 年 24 巻 3 号 p. 702-706

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抄録

中空糸透析膜におけるイオンの透過機構の解明には荷電状態の評価が必要である。その指標として以前より流動電位の測定から算出されるゼータ電位が検討されている。しかし、中空糸形状の膜に対して標準的な測定方法が確立されていないために、測定者により異なる値が報告されている。そこで我々は、中空糸透析膜の流動電位の値が安定かつ再現性よく得られるように測定法を検討した。50~100本の中空糸内側のみに0.001Nまたは0.01NのKCl溶液を流動させ、両端に生じる流動電位の値を銀-塩化銀電極で測定した。膜の長さが短く、流動液の電解質濃度が希薄であるほど流動電位が早く定常に達し、定常値は再現性良く得られた。この方法でPAN膜とRC膜の流動電位を測定してゼータ電位を算出した結果、-26mVと-5.5mVであり、これらの値は再現性よく得られた。よって、この方法を用いることにより中空糸透析膜の荷電状態を評価できるものと考えられる。

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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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