人工臓器
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人工血管の術後口径拡張に関する臨床的評価法
ノギスを用いた術中口径計測法の応用
宇藤 純一後藤 平明平田 智美宮内 好正
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1995 年 24 巻 5 号 p. 1008-1010

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抄録

近年臨床の場で使用されているゼラチン処理knitted Dacron人工血管(Gelseal®)については, 術後の口径拡張が問題視されている. Y型Gelsealを用い手術を施行した腹部大動脈瘤症例(n=9)を対象にGelsealの口径変化を経時的に観察した. 移植前後に工学用ノギスを用いグラフト口径を実測した. また術後4週目にもCT検査を行い, グラフト径を計測した. 規格径16~22mm(平均規格径18.7±2.1mm)のGelsealが移植された. 移植前の平均外径は22.6±2.3mmであり, Gelsealは移植前すでにその規格径に比し, 3.9mm(21%)大きいことが判明した. 移植直後の外径は22.7±2.4mm, 術後4週目での外径は24.0±2.2mmであり, 移植直後から1か月間に1.3mm(5.7%)の拡張がみられた. 人工血管の径拡大に関しては, 規格径との比較ではなく, 実際のグラフト口径を正確に把握し検討する必要があると思われた.

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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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