人工臓器
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皮下に植え込まれた人工血管の治癒過程におけるbFGFの動向
-皮下結合組織片及び骨髄組織の播種による影響-
冨澤 康子野一色 泰晴大越 隆文西田 博遠藤 真弘小柳 仁
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1996 年 25 巻 2 号 p. 443-447

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抄録
Basic fibroblast growth factor(bFGF)の人工血管における血管新生の状態を血流の影響の無い状態で観察するために実験を行った。(1) 実験動物の皮下組織を細切し布製人工血管壁に圧力注入(TF血管)、(2) EPTFE人工血管壁に骨髄組織を播種(BM血管)の2種を作成し、試料を採取した同じ動物の皮下に植え込み、1日から14日目まで検討した。肉眼的には2日目よりTF血管の周囲は赤色で周囲の組織と一塊になっていた。光顕所見では細小血管は2日目にはTF血管の周囲に集まり、5日目には繊維間に侵入していた。7日目には細小血管及び繊維間の線維芽細胞が強くbFGF陽性に染色された。対照では7日目でも人工血管周囲の組織のみbFGF陽性に染色された。7日目にはBM血管では外側組織から壁内へ細小血管が侵入していた。TF血管およびBF血管は皮下への植え込み後に、産出されるbFGFにより活発に細胞増殖および血管新生していた。人工血管の早期治癒にbFGFが重要な意味を持つことが示唆された。
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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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