人工臓器
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25 巻 , 2 号
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  • 高野 久輝
    1996 年 25 巻 2 号 p. 247
    発行日: 1996/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
  • 築谷 朋典, 赤松 映明, 西村 和修, 朴 昌禧
    1996 年 25 巻 2 号 p. 249-254
    発行日: 1996/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    長期使用可能なターボ型血液ポンプとして開発中の磁気浮上式遠心血液ポンプについて, インペラーが機械的接触なしで回転する長所を利用してモータ電流と回転数のみからポンプ流量と発生圧力を間接的に測定する方法を提案し, 模擬循環回路を用いて精度を検討した. その結果, 流量の変動が速い場合でも精度よい測定ができるが, 流体の密度と粘度が精度に大きく影響するため, 血液の粘度を正確に測定する必要があることが示された.
    また, 遠心ポンプの運転方法として従来の回転数制御に代わり, 制御対象をモータ電流として, 圧力差量特性曲線の勾配を自由に変化させる方法を提案し, 実験により勾配を調節できることを確かめた、これにより, 遠心ポンプの短所の一つである後負荷の変動に対する流量変動を抑えることができるだけでなく, 生体心の心房圧と拍出量の関係にポンプ入口圧と流量の関係が等しくなるような勾配にすることで, 生体心のスターリング則に準じた運転も可能となる.
  • 岡本 英治, 吉田 俊信, 藤吉 雅幸, 三田村 好矩, 三上 智久
    1996 年 25 巻 2 号 p. 255-259
    発行日: 1996/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    体内埋込み型人工心臓用に, 完全水蒸気飽和環境の下, 途中潤滑剤の注油なしに2年間連続稼働可能なボールベアリングを開発した. ベアリングは, 内輪, 外輪, ボール, 保持器をそれぞれステンレス鋼で製作し, 固体潤滑として内輪, 外輪, 保持器の各ボール接触面をPTFEでコーティングした. ベアリングは, φ37mm×φ30mm×4mm(外径×内径×厚み)とφ32mm×φ25mm×φ4mmの2種類製作した. 開発したベアリング(φ37mm×φ30mm×4mm)を耐久試験機に取り付け, 実際のモータ駆動補助人工心臓の駆動を模擬し, 加湿器により完全水蒸気飽和状態を作り, 平均動脈圧100mmHgに相当する負荷6.5kgfをベアリング軸方向に加え, モータ回転数1040rpm, 正反転切り換え頻度100回/分にて駆動し, ベアリングが発生する振動と音を連続的に記録した. 耐久試験は約200日を経過しなお現在継続中で, またベアリング発生振動成分もほぼ一定であり, この間ベアリングが安定に稼働しており, 体内埋込み型人工心臓用ベアリングとして良好な耐久性を有することが示された.
  • 増澤 徹, 妙中 義之, 巽 英介, 宮崎 幸治, 戸田 宏一, 大野 孝, 安在 穆, 中谷 武嗣, 馬場 雄造, 宇山 親雄, 高野 久 ...
    1996 年 25 巻 2 号 p. 260-265
    発行日: 1996/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    長期体内埋込実験可能な全人工心臓システムの実現のために、1) 油圧駆動用血液ポンプの改良、2) モータ駆動方式改良による効率向上、3) 経皮的エネルギー伝送部と体内埋込用電池との結合、4) 急性実験によるシステム埋め込みの検討および埋込時の発熱観察を行った。最大流量8L/min、効率12%の全人工心臓を実現し、経皮的エネルギー伝送および体内埋込用電池にて1時間以上の駆動が可能であることを確認した。また、急性動物実験にて、システム全体が体内に完全に埋込可能であること、体内に埋め込んだ状態で人工心臓の発熱が4℃以下であることを確認した。本結果より十分に長期体内埋込実験に耐えうる全人工心臓システムを実現できたと考える。今後は長期体内埋込評価実験に移行し、システムの更なる評価および改良を行っていく。
  • 巽 英介, 戸田 宏一, 妙中 義之, 宮崎 幸治, 中谷 武嗣, 増澤 徹, 馬場 雄造, 脇坂 佳成, 江屋 一洋, 西村 隆, 武輪 ...
    1996 年 25 巻 2 号 p. 266-270
    発行日: 1996/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    体循環を無拍動流化した場合の急性期の生体反応を、液性循環調節因子の変動の面から検討した。成山羊22頭を用い、全身麻酔下に左房左室脱血、下行大動脈送血の左心バイパス回路を装着し、拍動流および無拍動流ポンプを並列に接続した。100%左心バイパス下に拍動流から無拍動流へと瞬時に移行し、その前後での血行動態および液性調節因子の変化を観察した。無拍動流化後全身灌流量と末梢血管抵抗は変化しなかったが、平均大動脈圧は有意に上昇し(99.2±3.3 vs 106.0±2.9mmHg)、液性調節因子ではノルアドレナリンのみが有意に増加した(299.6±38.9 vs 372.9±52.9pg/ml)。また、平均大動脈圧とノルアドレナリンの変化値の間には有意な負の相関(r=0.53、p<0.05)が観察された。これらの結果は、無拍動流化後急性期に交感神経系の一時的な緊張によって血中ノルアドレナリン値が増加し、同時に圧受容体反射の関与した循環調節が機能している可能性を示唆していると考えられた。
  • 宮崎 幸治, 巽 英介, 戸田 宏一, 妙中 義之, 西村 隆, 江屋 一洋, 脇坂 佳成, 武輪 能明, 中谷 武嗣, 馬場 雄造, 増澤 ...
    1996 年 25 巻 2 号 p. 271-275
    発行日: 1996/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    体循環の無拍動流化が末梢組織循環におよぼす影響について、食道粘膜の組織血流と組織内pH(pHi)の変動の面から検討した。成山羊8頭(51.8±3.3kg)を用い、拍動流ポンプと無拍動流ポンプを並列に接続した左心バイパス回路を装着し、100%バイパス下に拍動流(P-mode)と無拍動流(N-mode)を切り替え、両modeにおける血行動態、動脈血ガス、組織血流、pHiを測定した。組織血流はカラードマイクロソフェア法で、pHiはトノメトリー法で測定した。血行動態、動脈血ガス、酸素供給量にはmode間で有意な差は認めなかった。酸素摂取率(酸素消費量/酸素供給量)はN-modeで有意に低下し、また静脈血酸素飽和度は有意に上昇した。組織血流に変化はみられなかったが(0.42±0.27 v. s. 0.37±0.16ml/min/g)、pHiはP-modeからN-modeへの移行に伴って有意に低下した(7.269±0.100 v. s. 7.230±0.095)。以上より無拍動流化後急性期において、末梢組織での血流代謝不均衡が生じている可能性が示唆された。
  • 竹之内 須賀子, 貸山 紀代, 水上 ちえみ, 中谷 武嗣, 笹子 佳門, 小林 順次郎, 鬼頭 義次
    1996 年 25 巻 2 号 p. 276-279
    発行日: 1996/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    重症心不全患者において全身状態改善に対する補助人工心臓(VAS)の有効性は確立されているが、適応患者の種々のストレッサーに関連した精神的動揺へのケアは確立していない。今回心臓移植適応患者でVAS装着を考慮した成人男子患者3名の心理面の評価と、装着における精神的動揺について検討し、精神面からみたVASの適応について考察した。対象患者に対し、他者評価による東大式エゴグラムを用いた自我状態の評価を行い、待機中のストレッサーに対する不安反応を分析した。その結果、種々のストレッサーに対し自我状態から判断される性格傾向に応じた反応がみられた。したがって、VAS適応患者に対し自我状態の判定を行い、性格傾向を理解し、さらにVAS装着下における精神的ケアに応用する事の重要性が示唆された。
  • MA KASHEM, M OKADA, T MUKAI, T. TSUKUBE
    1996 年 25 巻 2 号 p. 280-285
    発行日: 1996/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    To determine whether myocardial coronary perfusion is impaired by dynamic cardiomyoplasty (DCMP) the assessment of changes of coronary arterial blood flow velocity (CBFV) observed with a Dopplertipped guide wire has been evaluated in chronic model of DCMP. 5 mongrel dogs weighing 10-15kg were used for this study. A posterior myocardial wrap was performed. After several weeks, Doppler guide wire of 0.018 inches diameter was inserted via FA through Judkins catheter into LMT, CBFV was measured with the assistance of FloMap, Cardiometrics following . DCMP on and off. 136%, 118% increases for RVP, PAP, and 35%, 16%, 34% increases for systolic, diastolic and mean AoP were observed with DCMP on. LVP, EF and CO were also increased with DCMP on (23%, 29%, 25% increases) respectively. With DCMP on, the systolic, diastolic peak velocity and time velocity integral were increased from 13.58±2.07 to 27.96±2.94cm/sec, 20.36±2.32 to 29.37±3.99cm/sec and 6.65±0.59 to 9.47±0.59cm, respectively. We thereby concluded that there were no impairment of CBFV rather enhancement were observed with the assisted cardiac cycle.
  • 秦 光賢, 塩野 元美, 折目 由紀彦, 中田 金一, 瀬在 明, 山田 英明, 飯田 充, 根本 光洋, 木下 潤一, 柏崎 暁, 幸島 ...
    1996 年 25 巻 2 号 p. 286-289
    発行日: 1996/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    重症心不全例に対する遠心ポンプによる左心バイパス(LHB)施行時の心内外膜微小循環動態と心筋表面の冠状動脈血行動態について3タイプの血流計を用いて検討し、大動脈内バルーンパンピング(IABP)施行時のそれと比較した。ブタ心筋梗塞モデルを作成し、LHB、IABPにてそれぞれ単独補助を行い、左冠状動脈血流速度及び流量、さらに心内外膜組織血流量を経時的に観察した。LHBにより左室拡張末期圧(LVEDP)は有意に低下し、これと共に心内膜組織血流量は有意に増加した。一方IABPは、心外膜に関してはLHBと同程度の血流補助が可能であるが、心内膜に至る血流補助効果は非力であった。心内膜組織血流量とLVEDPは、有意な負の相関を認め、心内膜血流低下を間接的に表す冠血流速波形における収縮期逆流成分はLHBにより低下した。LHBはIABPに勝る左室減圧効果により心内膜組織に至る心臓内微小循環改善効果を発揮することが示された。
  • 坂田 雅宏, 久野 克也, 安福 正男, 岡田 昌義
    1996 年 25 巻 2 号 p. 290-293
    発行日: 1996/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    山羊胎児循環補助としての臍帯動脈脱血臍帯静脈送血によるECMO AV-bypassにおいて、胎児循環が維持されているか否かを調べるため右室・左室(頚動脈酸素分圧で代用)・下行大動脈での酸素分圧を測定した。左室酸素分圧は42±8mmHgと右室酸素分圧36±7mmHg、下行大動脈の37±7mmHg、に比べ高く(P<0.05),ECMO AV-bypassにおいて胎児循環は維持されているものと考えられた。一方、動脈管の平均血流速度と右室酸素分圧/左室酸素分圧との間にはY=0.002X+0.654 r=0.516と有意な相関は無かったが、右室酸素飽和度/左室酸素飽和度は、y=0.003x+0.530,r=0.631(P<0.05)と有意な相関を認めた。動脈管の血流速度が上昇するにつれ左室と右室の酸素分圧との差が小さくなり、動脈管の狭窄によって胎児循環が障害されるものと考える。
  • 今西 薫, 井街 宏, 阿部 裕輔, 鎮西 恒雄, 吉戸 浩, 神田 克巳, 筒井 宣政, 藤正 巌, 須磨 幸蔵
    1996 年 25 巻 2 号 p. 294-300
    発行日: 1996/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    われわれは経皮的左心補助循環装置を開発中である。今回われわれはMAD Type-4をさらに臨床応用に即した型, MAD Type-5に設計改良を行った。今回, MADT ype-5の性能および補助効果をin vitroおよびin vivoで評価を行った。MAD Type-5の設計の主な変更点は1)流入弁はカニューレ先端部にドーム型のJellyfish弁(外径7mm, 長さ10mm)を設置しカニューレの外径と同一とした。流出弁はカニューレの側孔(6個)の周囲にスリットを設けLantern Valve (L-V)と命名した。模擬循環回路を使用し人工心臓の駆動装置, IABPの駆動装置を使用し最大流量はそれぞれ2.51/min, 1.81/minであった。雑種成犬を使用し, on-off Studyにより、IABPとの補助効果の比較検討を行った。MAD Type-5補助ではIABP補助と比較して、圧補助、流量補助の観点からより強力な補助波形を示した。以上よりMAD Type-5はType-4と比較してより臨床応用に近い型であると思われた。
  • 渡辺 弘, 宮村 治男, 林 純一, 高橋 善樹, 篠永 真弓, 江口 昭治
    1996 年 25 巻 2 号 p. 301-306
    発行日: 1996/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    小児例におけるIABPでは小容量のバルーンを細いカテーテルを介して高心拍で駆動させる必要があるため、駆動装置の特性によりバルーンの応答速度が異なる。駆動装置の特性が応答速度に及ぼす影響をin vitroで評価した。2、4、7、10ccのバルーンを4種類の装置を用い、成人用の通常モードと、2種類の装置では小児用モードで併せて評価した。密閉したモック内で90~180bpmで駆動し、inflation時間、deflation時間を測定した。駆動装置の多くの機種は、成人用のバルーンカテーテルの駆動を目的にしているが、いずれの駆動装置であっても小児用バルーンカテーテルの駆動は可能であった。小児用IABPでは小容量バルーンを細いカテーテルを介して高心拍で駆動するため、駆動装置によりバルーンの応答性は異なった。小児用バルーンのより効果的な駆動のためには、駆動装置の小児用IABPモードへの対応が必要と考えられた。
  • 深田 穣治, 数井 暉久, 田宮 幸彦, 森下 清文, 安倍 十三夫, 小松 作蔵
    1996 年 25 巻 2 号 p. 307-310
    発行日: 1996/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    St, Jude Medical (以下SJM)弁は現在最も信頼度の高い人工弁であるが、縫着輪が貧弱で再弁手術例のように弁輪部の硬化が著しい症例では弁輪との密着性に疑問が残る。最近10年間にSJM弁を用いて僧帽弁単弁置換術(以下MVR)を施行した104例中、僧帽弁修復術後MVR36例(I群)と再MVR44例(II群)の計80例を対象とし、初回僧帽弁手術としてのMVR24例(III群)と遠隔成績を比較検討した。溶血がI群1例(2.78%/pt-yr)、II群1例(2.27%/pt-yr)、thromboembolismがI群1例(1.94%/pt-yr)、anticoagulant-related hemorrhageがII群1例(0.76%/pt-yr)にみられ、structural deterioration、thrombosed valve、prosthetic valve endocarditisは認められなかった。合併症の非発症率、実測生存率は7年でそれぞれ80.2%、80.5%であり、III群との間に有意差を認めなかった。SJM弁による再僧帽弁手術と溶血発生の関連性については、今後の慎重な検討を要するが、他の遠隔成績は初回手術と同様に満足すべきものであった。
  • 下山 嘉章, 田口 真一
    1996 年 25 巻 2 号 p. 311-316
    発行日: 1996/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    1989年12月より1995年9月までの間に, 洞機能に大きな異常のない房室ブロック症例, のべ68例にSingle Lead VDD Pacing Systemを使用した。これらをCCS-B群(心室電極―心房電極間の距離11.12cm; 双極; 40例), CCS-U群(11cm; 単極; 6例), Medico-S群(9.12cm; 双極; 5例), Medico-L群(11.14cm; 双極; 7例), Medtro-S群(11.12cm; 双極; 10例)の5群に分類し比較検討した。植込み時のP波の振幅はCCS-B群1-86±1.02mV, CCS-U群1.32±1.03mV, Medico-S群2.20±1.10mV, Medico-L群0.70±0-66mV, Medtro-S群2.74±1.63mVであり, Medico-L群が不良であったが, この群の心房電極の一つが心室電極より14cmと遠位にあることが原因と考えられた。 Medico-L群以外では遠隔期にも満足すべき結果を得ており, 身長165cm以上かつ心胸郭比60%以上の症例を除き,心房電極の位置が心室電極より短いリードを第一選択として使用することとした。
  • 遠藤 真弘, 中野 秀昭, 椎川 彰, 西田 博, 小柳 仁
    1996 年 25 巻 2 号 p. 317-320
    発行日: 1996/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    開心術の術後管理に胸骨下ドレーンと心嚢内ドレーンを挿入留置し、これとは別個に心房用および心室用の一時的pacemaker wireを固定留置することがルーチン化されている。pacemaker wireが単極から双極、あるいは刺入部位の工夫進歩はあるものの、抜去時の出血等の危険がある。
    我々は抜去時、出血の危険の少ない接触型pacemaker leadと排液ドレーンを一体化し、皮膚を穿通する傷が少なくする一時的ペーシング機構付排液ドレーンを開発し、臨床応用した。10例の冠状動脈バイパス術症例に使用し、排液効果およびペーシング効果は良好で、抜去時の合併症は皆無であった。
  • 荻原 正規, 許 俊鋭, 畠中 正孝, 見目 恭一, 上田 恵介, 朝野 晴彦, 横手 祐二, 尾本 良三
    1996 年 25 巻 2 号 p. 321-324
    発行日: 1996/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    活性化好中球が開心術における再灌流傷害を惹起し、人工心肺中の白血球除去によりこの傷害が減少できる事が解明されてきた。人工心肺用の微小塞栓除去用フィルターに、白血球を減少させる機能をあわせもつ白血球除去フィルター(LG-6)を成人開心術症例に使用し(LG-6群)、通常フィルター使用例(Control群)と比較しその有効性、安全性について検討した。2群の患者、人工心肺条件はほぼ同等であり、副作用の発現は両群とも認めなかった。人工心肺中の白血球および好中球数は、工G-6群で低値をとる傾向を示したが有意差は認めなかった。術後の心機能や合併症の発生にも両群間に差はなく、IG-6フィルターは安全に臨床使用が可能であった。また術後呼吸機能の指標としたRespiratory Index (AaDO2/PaO2)では、LG-6群の術後6時間値で有意(p=0.033)に低値を示し、人工心肺中の白血球除去は、術後の良好な呼吸機能維持に効果的であった。
  • 堀部 まゆみ, 重岡 寛, 川西 秀樹, 山中 健司, 土谷 太郎
    1996 年 25 巻 2 号 p. 325-328
    発行日: 1996/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    人工心肺(CPB)中に連続的にヘマトクリット(Hct)を測定し循環血液量の変化(BV%)として評価し、水分バランスのモニターとしての有用性を検討した。CPB使用下の心血管手術56例に対し連続的Hct測定装置(CRIT-LINETM)をCPB脱血側に装着、Hct、BV%、Hemoglobin酸素飽和度を測定表示した。BV%は次式より算定された。BV%=[(BV-BVinitial)/BVinitial]×100=[(Hctinitial/Hct)-1]×100。BV%は心筋保護液注入やECUMによる除水に鋭敏に反応して変化した。またLOSを呈さなかった51例ではCPB終了時のBV%と水分バランスとは正の相関を示した(r=0.50, p<0.001)。BV%の連続測定はCPB中の水分出納の即時的なモニターとして、またCPB中の総合的な水分バランスの把握に有用であった。
  • 中西 光, 西谷 温, 桑名 克之, 田原 耕一郎, 青木 美子, 尾崎 滋正, C. HU
    1996 年 25 巻 2 号 p. 329-332
    発行日: 1996/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    人工肺用膜の非親水化を目的に、多孔質ポリプロピレン中空糸の外表面にプラズマ処理を行い、環状シロキサン(シリコーン)を薄膜状にコーティングする技術を開発した。これを用いて外部灌流型人工肺を構成することに成功した。コーティングしたシリコーン薄膜の厚みはガスの透過速度より、ほぼ0.2ミクロンであることがわかっている。コーティング中空糸を用いて、コア部にクロスワインドした人工肺を試作した。非コート膜とコート膜の牛血液系におけるガス移動速度を測定した。実験データの工学的解析により、シリコーン薄膜の物質移動抵抗は殆ど無視できるレベルであることを確認した。試作した人工肺は十分臨床に使用できる性能を有しながら、プライミングボリュームは小さく、僅かに245mlであった。
  • 村上 厚文, 関口 茂明, 松尾 義昭, 成沢 隆, 森保 幸治, 饗場 正宏, 村田 升, 山田 眞, 井上 恒一, 高場 利博, 井上 ...
    1996 年 25 巻 2 号 p. 333-336
    発行日: 1996/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    長期体外循環を志向した新しい模型人工肺, クラレ社製AL-4000を用いて経時的pH変化に伴う変形赤血球の膜付着と圧力損失について実験的検討を行った。800mlの牛血, 7%NaHCO3 80ml, ヘパリン1600IUおよび乳酸リンゲル液で総プライミング量を2000mlとし, V/Q比0.5, FiO2 0.8でガスの吹送を行った。実験開始時の平均pHは7.60±0.10で, 急激にpHの上昇を認め10分にはすでに8.13±0.12, 30分で8.47±0.15, 60分で8.67±0.06に達し, 90分では8.77±0.06となった。一方圧損(cm血柱)は開始時0, 30分で0.13±0.06, 60分でも0.47±0.29, 90分で1.10±0.26と極わずかの上昇に留まった。還流終了後膜表面の走査電子顕微鏡でも血液成分の付着は軽度であった。原因として中空糸素材である特殊ポリオレフィンの血液接触面が滑らか且つ空気との接触がなく, 隣合う中空糸の間隔が一定で血液流線に対し直交配列である, など構造上に起因したことが主で, 安全性の高い膜型人工肺と考えられた。
  • 山田 陽, 森下 清文, 桜田 卓, 坂田 純一, 馬場 俊雄, 井上 聡巳, 馬見 知大, 数井 暉久, 安倍 十三夫, 小松 作蔵
    1996 年 25 巻 2 号 p. 337-340
    発行日: 1996/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    COBE社製外部灌流式hollow fiber型人工肺OPTIMAを成人開心術8例に使用し, 同じ外部灌流式人工肺であるTERUMO社製CAPIOX-SXを使用した10例と比較;検討した. OPTIMAは充填量が熱交換器容量も含めて260mlと少なく, 有効膜面積が1.7m2と小型ではあるが, 送血流量が0.5~81/minと広範囲である. ガス交換能(有効肺血流量率, 炭酸ガス較差分圧比など)に両群間で有意差を認めず, 良好な結果が得られた. また, 血球成分に対する影響も, 溶血, 血小板保存の両面で両群間に有意差を認めなかった. さらに, OPTIMAは充填時の気泡の除去が容易で緊急時の使用において有利であると考えられた.
  • 馬場 俊雄, 森下 清文, 坂田 純一, 櫻田 卓, 山田 陽, 馬見 知大, 井上 聡巳, 安喰 弘, 小松 作蔵
    1996 年 25 巻 2 号 p. 341-343
    発行日: 1996/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    ハードシェル型静脈リザーバを一体化したホローファイバー型人工肺Capiox-SX-10Rを小児開心術に臨床応用し、従来当科で使用していたクラレ社製MENOX AL-4000、ディデコ社製D705 MIDIFLOと比較検討を行った。Capiox-SX-10Rは他肺と比較しガス交換能に問題はなかった。また、血球成分への影響は, 溶血,血小板保存の面で有意差を認めず, 良好であった。Capiox SX-10Rは、充填量135mlと低充填量に抑えてあり、しかもリザーバーのポート部分と人工肺部が回転することにより、回路を短縮することができる。これらのことから、実使用における低充填量化が可能となり無輸血体外循環に有用な人工肺であると考えられた。
  • 河野 康治, 竹内 靖夫, 山中 淳, 五味 昭彦, 中谷 速男, 市川 誠一, Shinichiro FUJINO
    1996 年 25 巻 2 号 p. 344-347
    発行日: 1996/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    ヘパリンコーティング回路(Duraflo-II)を用いたLow dose systemic heparinzationで臨床的用性について、従来型回路との比較により検討した. ヘパリン投与量を従来の350IU/kgから200IU/kgへ減量を行ったが、体外循環中のACTは300秒以上を維持することが可能であり, ヘパリン減量に伴う合併症の発生は認めなかった. プロタミン投与後出血量, プロタミン投与後手術時間, 他家血輸血量, ICU滞在日数, 術後入院日数, 術後早期グラフト開存率には有意差を認めなかった. さらに電子顕微鏡を用い、回路を観察した結果、ヘパリンコーティン回路には、ほとんど血小板の付着やフィブリン塊は見られず、動脈フィルタ-メッシュ部には少量の赤血球を認めるのみであった
  • 山崎 一也, 相馬 民太郎, 小菅 宇之, 松田 孝志, 渡邊 俊明, 加藤 謙一
    1996 年 25 巻 2 号 p. 348-350
    発行日: 1996/04/15
    公開日: 2011/10/07
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    336例のセルセーバー使用経験から開心術症例と腹部大動脈瘤手術症例で効果を比較検討した。対象は開心術272例(H群)、腹部大動脈瘤手術64例(A群)。自己血液の回収はHaemonetics社製Cell Saver4を用い、術野吸引血とガーゼ洗浄液の吸引回収を行った。開心術では人工心肺使用中はセルセーバーを使用せず人工心肺回路のサッカーを使用した。セルセーバーの吸引量、回収血量、回収血総Hb量、回収血Hb濃度はH群の方がA群より有意に低値であった。回収率はH群の方が高かったが、回収血中Hb量はH群で低く、H群では吸引量が少量で充分濃縮できずに返血したためと思われた。無輸血率は両群間に差はなかったがどちらも高率であった。
  • 萩野 生男, 青木 満, 石山 雅邦, 星野 修一, 高梨 吉則, 今井 康晴
    1996 年 25 巻 2 号 p. 351-354
    発行日: 1996/04/15
    公開日: 2011/10/07
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    体外循環回路は全身的炎症反応を惹起し、多種の胴器に機能障害という術後合併症を生じさせる。主要な反応系として、キニンーカリクレイン系、凝固系、線溶系からなる接触系と補体系がある。そこで新しい回路として(1)徐放型ヘパリン被覆法で加工した回路(H群)と(2)HEMAとStyreneのブロック共重合体からなるMicrodomain構造に加工した回路(M群)の二種を試作した。内面加工を行なわない従来の回路(C群)を対照として、それらの生体適合性を接触系と補体系の活性化により評価した。血小板数とC5aにおいて有意差は認められなかったが、フィブリノーゲンの減少とC3aの活性化はC群に比しH群とM群において有意に抑制された(P<0.05)。ブラジキニンはM群では増加が抑制される傾向が見られた(P=0.09)。H群とM群はともに凝固系と補体系の活性化を抑制し、さらにM群では接触系の初期段階における活性化も抑制することが期待できる。
  • 古沢 泰伸, 佐々木 栄作, 高木 寿人, 坂東 道哉, 熊田 佳孝, 村川 真司, 不破 誠行, 広瀬 一
    1996 年 25 巻 2 号 p. 355-360
    発行日: 1996/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    体外循環からの離脱の際, 脱血量の調節を鉗子や閉塞装置により行う. しかし, 脱血管が管状のため閉塞する程度と流量は直線的関係ではなく, 低流量での微妙な調節は困難であり, 的確な操作には経験が必要である. われわれは鉗子で挟む長さと比例して連続的に脱血量が変化することを目的とした扁平チューブからなる脱血量調整装置を考案した. まず, 1) その効果を模擬循環回路で検討した. 本装置の扁平部分を徐々に挟んでいくことにより開口度を段階的に調節したところ, 実用範囲内で流入圧に影響されず開口度と本装置の抵抗の逆数との問には強い相関を認め, 開口度と流量比はほぼ正比例関係であった. 次に, 2) ブタを用いて, 体外循環を行い, 本装置の有効性を検討した. 開口幅と脱血量はほぼ正比例関係で, 開口幅により脱血量を比例制御的に調節できた. この脱血量調整装置は構造が簡単で, 最大流量に適したサイズを選択すれば, 脱血量の正確な制御が容易で設定状況の視認性に優れ, 安全と思われた.
  • 島本 亮, 佐藤 友昭, 近藤 智昭, 庄村 遊, 日置 巌雄, 天白 宏典, 馬瀬 泰美, 高尾 仁二, 小野田 幸治, 谷 一浩, 田中 ...
    1996 年 25 巻 2 号 p. 361-364
    発行日: 1996/04/15
    公開日: 2011/10/07
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    体外循環下開心術おける可溶性接着分子(sELAM-1、sICAM-1、sVCAM-1)の変動を把握し、FUT-175の効果を検討した。成人開心術症例20例を対象とし、FUT-175投与(2mg/kg/hr)群(Group A)(n=10)と非投与群(Group B)(n=10)とに分けた。いずれの可溶性接着分子も体外循環中は術前値に比べ減少し、体外循環終了に伴い増加した。特にsELAM-1、sICAM-1はそれぞれ体外循環終了後5分、24時間で最高値に達し、投与群は非投与群に比べ有意に低値(sELAM-1:32.1±11.5vs. 38.6±8.9ng/ml、p<0.05、sICAM-1:327±94vs. 483±106ng/ml、p<0.05)であった。sVCAM-1は体外循環終了後有意な変動を示さなかったが、投与群は非投与群に比べ有意に低値であった。また、投与群では非投与群と比べて術後の合併症が有意に抑制された。以上より、FUT-175は可溶性接着分子を有意に抑制し、臨床的に臓器障害の予防に有効であることが示唆された。
  • 西田 博, 鈴木 進, 西中 知博, 遠藤 真弘, 小柳 仁, 押山 広明, 天野 暢彦, 野川 淳彦
    1996 年 25 巻 2 号 p. 365-370
    発行日: 1996/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    遠心ポンプの操作性を向上させる目的で、テルモ社製遠心ポンプSP-101を用い、自動流量制御システムを開発した。ポンプ特性式と臨床・実験データの解析より得られた仮定を用いることにより生体情報を全く必要とせず、しかも単一で広範囲の流体抵抗に使用し得る簡略なコントロールアルゴリズムを確立した。外部コンピュータを用いた制御でもin vitroおよびin vivo評価で満足し得る制御が得られたが、通信エラーに起因する制御エラーが観察されたためにチェックサム機構を付与しこの問題を解決した上で臨床評価を行い良好な結果を得た。続いてより実際的な使用のために駆動装置内蔵のCPUを用いたBuilt-in型自動流量制御システムを開発しその信頼性・有用性を臨床例にて確認した。本システムによる遠心ポンプの操作性の向上は遠心ポンプの開心術や補助循環へのより広範な普及に寄与するものと思われる。
  • 安福 正男, 久野 克也, 岡田 昌義, 上谷 良行, 中村 肇
    1996 年 25 巻 2 号 p. 371-374
    発行日: 1996/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    比較的充填量の少ない小型膜型人工肺(MENOX EL2000)を用いて、呼吸不全を伴う5例の新生児に6回のECMOを施行したOECMO時間は48~172時間であり、4例は生存したが、再ECMOを要した1例が、死亡した。これらのうち、5回のECMOに対して、人工肺のガス交換能について、酸素付加能VO2、有効肺血流量QP/Qt、炭酸ガス除去量VCO2、炭酸ガス較差分圧比ΔCO2/PoutCO2を用いて検討した。人工肺の酸素加能Qp/Qtは0.82~0.96と良好に維持された。炭酸ガスの除去能ΔCO2/PoutCO2も0.17~0.42と良好であり、低CO2血症に陥るため、5%CO2の添加が必要であった。また、血小板数は24時間で前値の50%に低下し、濃厚血小板血漿の補充を必要とした。小型膜型人工肺(MENOX EL2000)は新生児ECMOに応用して有用であった。
  • 江屋 一洋, 巽英 介, 妙中 義之, 武輪 能明, 戸田 宏一, 脇坂 佳成, 中谷 武嗣, 馬場 雄造, 増澤 徹, 宮崎 幸治, 西村 ...
    1996 年 25 巻 2 号 p. 375-379
    発行日: 1996/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    長期呼吸補助を可能とする人工肺の開発を目的として、血漿漏出のないポリオレフィン膜製人工肺の全血液接触面に共有結合法によるヘパリン化処理を施し、その性能を成山羊を用いた慢性動物実験(n=4)での1週間の血液灌流にて評価した。評価期間中、被検人工肺は良好な酸素添加能、二酸化炭素排出能を示した。また、血小板数、遊離ヘモグロビン、FDP、Fibrinogen等の血液成分に生じる変化は、いずれも軽微なものであった。灌流後の人工肺は、目視による観察では2例においてほとんど血栓の付着を認めなかった。しかしながら、これらの例においても、走査電顕による観察では、中空糸固定用縦糸の部分にはフィブリン塊の沈着を認めた。今後、開発した人工肺のさらなる長期使用を可能とするためには、同部位の抗血栓性の改良が必要であると思われた。
  • 竹脇 幸治, 小久保 謙一, 酒井 清孝
    1996 年 25 巻 2 号 p. 380-384
    発行日: 1996/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    透析患者の合併症の軽減めため、非対称構造を有する高透水性膜が開発されている。このような高透水性膜では、濾過による溶質透過が起こりやすく、膜の濾過特性の評価が必要である。そこで、非対称構造を有するポリスルホン膜(PS-UW, PS-NW, APS)について、試験溶質として分子量の異なるDextranを用い、阻止率を血漿接触前後で測定し、非対称構造と阻止率の関係について検討した。高分子量の溶質では、濾過流束が大きくなるにつれ、阻止率が減少したのに対し、低分子量の溶質では増加した。この傾向は膜の外表面に緻密層を有する非対称膜、あるいは内部よりも開孔率の小さい支持層を有する非対称膜に特有のものである。また、阻止率は純水濾過係数が大きい膜ほど小さかった。血漿接触による阻止率の増加は分子量の小さい溶質ほど、低濾過流束で顕著であった。以上より、非対称構造や溶質の分子量の違いによって阻止率の濾過流束依存性が異なると結論づけられる。
  • 宮崎 哲夫, 内藤 秀宗, 藤森 明, 吾妻 眞幸, 橋本 幸枝, 堀川 聖三郎, 松本 賢一, 小島 弘栄, 似鳥 嘉昭
    1996 年 25 巻 2 号 p. 385-388
    発行日: 1996/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    各種透析膜で生体適合性の評価項目であるElastase, サイトカイン(IL-1β, IL-6, TNFα)の膜付着を、共焦点レーザー走査蛍光顕微鏡で観察した結果、付着の程度、局在性が明らかに観察でき、各透析膜の付着は異なっていた。Polysulfone膜(PS-UW, APS)2膜は、Elastase以外の項目ではほとんど蛍光が観察されず、他の膜と比較し膜付着は少なかった。しかし、これら観察結果と血液中動態との関連性の解明には、さらに詳細な検討が必要であると考えられた。
  • 藤森 明, 内藤 秀宗, 宮崎 哲夫, 吾妻 眞幸, 橋本 幸枝, 堀川 聖三郎, Y. TOKUKODA
    1996 年 25 巻 2 号 p. 389-392
    発行日: 1996/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    臨床使用による透析膜の細孔構造変化がセルローストリアセテート(CTA)膜とPMMA膜とではどのように異なっているかをdifferential scanning calorimeterを用いて解析し比較した。CTA膜では臨床使用により細孔径は変化しなかったが、PMMA膜では臨床使用により細孔半径および細孔体積両方が減少した。走査型電子顕微鏡観察にてPMMA膜(BK-U)では内表面に血液有形成分の付着が目立ったが、CTA膜(FB-U)では厚い蛋白付着層の形成が見られた。臨床使用におけるβ2-ミクログロブリン(β2-MG)除去性能の比較をしたところ、BK-Uは経時劣化の程度が少なくFB-Uよりも高いβ2-MG除去率が得られた。これらの結果より、PMMA膜ではβ2-MGを含む蛋白が細孔内部に付着し細孔径が狭小化するが、CTA膜では蛋白が膜内表面の細孔を部分的に閉塞するような変化が生じているものと推測された。
  • 藤原 功一, 田仲 紀陽, 斎尾 英俊, 阿部 富彌
    1996 年 25 巻 2 号 p. 393-398
    発行日: 1996/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    血液透析装置の配管系の洗浄消毒に電解強酸性水を平成6年11月から平成7年8月迄、約10ケ月間に亘って、従来の洗浄消毒剤である次亜塩素酸Na、酢酸、ホルマリン、との比較を行った。その結果殺菌効果とそれにともなうエンドトキシンの減少が認められ、また即効性で効果も高い結果を得た。加えて電解強酸性水は安全で取扱いが容易であった。水洗・洗浄消毒時間の短縮も可能で水の節約となり、他の洗浄消毒薬なども不必要となるため経済的である。また炭酸塩の析出に対する予防的効果及び除去も可能であった。塩素ガスなどによる腐食の影響も特にみられていない。従って血液透析装置の配管系への洗浄消毒は従来の薬剤方法に比べ種々の点で優れていた。また電解強酸性水の特性から、血液透析装置における配管系及び各種タンクなどの洗浄消毒が広範囲に簡便に行え、これを自動システム化する事により透析液の清浄化がより高いレベルで実現できる。
  • 絵野 沢伸, 鈴木 盛一, 掛札 敏裕, 雨宮 浩, 大政 健史, 菅 健一, 伊藤 尚史, 倉持 健太郎
    1996 年 25 巻 2 号 p. 399-402
    発行日: 1996/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    透析によって血流から除かれる物質は膜のボアサイズに依存し、生体に有用な物質も失われてしまう危険性がある。この点を補うため、肝性昏睡の原因物質の一つとされるアンモニアを血中から選択的に除去する装置の作製をめざし、グルタミン合成酵素を固定化したゲルの調製とその機能について検討した。酵素の固定化ではグルタミン合成酵素をFMP活性化セルロフインと反応させた。酵素固定化率は、反応前後の溶液中タンパク量の差からほぼ100%であったが、活性では、固定化前の5.2±1.2%(4lotの平均±SD)に低下していた。この固定化酵素をカラムに充填し、アンモニア5mMを含む緩衝液及び血清を流したところ、初期速度1.4μmol/ml/分で、アンモニアを減少させた。反応基質としてのATP、グルタミン酸の必要量を計算したところ、体外循環回路として利用することが可能と考えられた。今後の問題として、本酵素はMg2+要求性であることが挙げられ、その解決策として固定化酵素に替わり酵素遺伝子を導入した細胞の利用を計画している。
  • 畑 博明, 塩野 元美, 進藤 正二, 折目 由紀彦, 八木 進也, 塚本 三重生, 奥村 晴彦, 瀬在 幸安
    1996 年 25 巻 2 号 p. 403-405
    発行日: 1996/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    開心術後の急性腎不全は重篤な合併症であり, 迅速かつ適切な対応が重要である。今回我々は, 57歳男性の冠状動脈バイパス術(CABG)術後に横紋筋融解症による急性腎不全を認め(BUN 189.3mg/dl, Cr 7.1mg/dl, 補正GFR 2.1ml/min, 血中ミオグロビン36000ng/ml, 尿中ミオグロビン68000ng/ml), 持続的血液濾過(CHF)を施行した。症例は低心拍出量症候群(LOS)のため大動脈内バルーンパンピング法(LABP)による補助を必要とし, 不安定な血行動態を示したが, CHFは安全に行いえた。7日間CHF施行後血行動態は安定し, 更に血液透析(HD)を10日間施行後離脱し, 軽快退院した。CHFは開心術後循環動態が不安定な症例にも早期から安全かつ有効に腎機能の急速な悪化を防止でき, 極めて有用であると思われた。
  • 阿部 一彦, 鈴木 憲, 岡野 光夫, 桜井 靖久, 堀江 俊伸
    1996 年 25 巻 2 号 p. 406-411
    発行日: 1996/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    PHEMA-PSt-PHEMA ABA型ブロック共重合体(HSB)表面に粘着した膜骨格(MS)解離血小板の超微形態を走査型(SEM)及び透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて解析した。そのTEM像は画像処理解析装置を用いて定量的に評価した。血小板膜貫通性糖蛋白質(GPs)からのMSの解離はジブカインを用いて行った。対照群としてPSt、PHEMA-PStランダム共重合体(HSR)表面を用いた。PSt、HSR、HSB表面に粘着したMS解離血小板はいずれの場合も球状形を呈していた。そして、これらの材料表面に粘着した血小板の1μm2当たりの貯蔵顆粒数はいずれの場合も正常血小板のそれと比べて有意差を示さなかった。本実験結果及び既報のMS非解離血小板(正常血小板)の応答結果との対比から、HSB表面以外のPSt、HSR表面はGPsからMSへの刺激を介して血小板の超微形態変化を惹起することが示唆された。〔略語:PHEMA,ポリ(2-ヒドロキシエチルメタクリレート);PSt,ポリスチレン〕
  • 長岡 昭二, 川上 浩良, 本間 久登
    1996 年 25 巻 2 号 p. 412-416
    発行日: 1996/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    胆道系悪性腫瘍による閉塞性黄疸の減黄に種々のカテーテルが用いられるが、長期間留置の際、カテーテルの閉塞や難治性感染が問題となる。本研究では、in vitroで優れた細菌接着、Biofilm形成抑制効果を示した親水性ヘパリン化材料をコーティングしたポリウレタン製カテーテル(アンスロンTM-PU;東レ)を胆道内瘻術に使用し、長期間留置後抜去して、カテーテル内腔に付着した菌の同定と細菌付着状態を検討した。その結果、長期臨床使用においてもアンスロンーPUは有意に細菌の接着、Biofilmの形成を抑制し胆道系への応用が有効であることがわかった。
  • 津田 透, 北河 康之, 寺町 政美, 清谷 哲也, 李 永浩, 中村 達雄, 清水 慶彦
    1996 年 25 巻 2 号 p. 417-420
    発行日: 1996/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    ヒト羊膜はコラーゲンを充分含んでおり生体材料として利用価値が高い。我々は、ヒト羊膜由来コラーゲン膜を作製し、肺胸膜からの空気漏れ防止材としての有用性について動物実験にて検討した。成犬18頭において、ヒトコラーゲン膜単独群(n=6)、フィブリン糊併用群(n=8)、フィブリン糊単独群(n=4)に分け肺胸膜剥離作成面に使用し、被覆材としての効果を耐圧測定にて評価した。その結果、従来あるフィブリン糊よりヒトコラーゲン膜は空気漏れ防止効果が高く、臨床的にも有用な代用胸膜として使用可能であると考えられた。
  • 中山 泰秀, 松田 武久
    1996 年 25 巻 2 号 p. 421-426
    発行日: 1996/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    可視光照射によりゲルを生成する光反応性ゼラチンを、ゼラチンとキサンテン色素(フルルセイン、エオシンおよびローズベンガル)を水溶性カルボジィミドにより縮合反応させて合成した。光反応性ゼラチン(20wt%)とポリエチレングリコール・ジアクルート(Mw;4000, 10wt%)ならびにアスコルビン酸(0.3wt%)を溶解した生理食塩水を光反応性止血用接着剤とし、これに可視光を照射すると数十秒以内に色素増感光架橋反応と光グラフト重合が起こり水膨潤ゲルを生成した。照射時間を増加させるとゲル収率が増加し、生成ゲルの水膨潤度が減少した。ラット肝臓からの漏出性出血部位に光反応性止血剤を塗布し、可視光照射するとゲル化が起こり止血が肉眼的、および組織学的に確認できた。1週間後にはゲルは消失しており生分解性を有すると考えられる。内視鏡システムを用いた腹腔鏡下実験において本止血剤は小口径カテーテルを通してラット肝臓表面に塗布でき、光ファイバーを通した照射によりゲル化できた。胸腹腔鏡下手術に応用可能と考えられる。
  • 川上 浩良, 長岡 昭二, 窪田 倭
    1996 年 25 巻 2 号 p. 427-431
    発行日: 1996/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    フッ素基を有する新しい芳香族ポリイミド膜を合成、膜型人工肺材料としての可能性を検討するためその化学構造とガス交換能、血液適合性の相関をin vitro in vivoで評価した。ポリイミド非対称膜は乾湿式法により作製し、その構造は緻密な超薄膜skin層と支持体である多孔質層から形成された。ポリイミド非対称膜の表面skin層は無欠陥であるため血漿リークはなく、ガス交換能も極めて高い。その酸素流量・炭酸ガス除去量はシリコーン膜に比べ約25倍向上し臨床応用可能なガス流量を示した。ポリイミド表面の血漿タンパク質吸着量、血小板粘着量はアミノ酸分析により算出した。タンパク質量、血小板量共にシリコーン膜に比べ著しく減少した。末梢静脈内留置法よるin vivo実験でもポリイミド表面には血小板粘着やフィブリンの析出は殆ど見られなかった。以上より、含フッ素ポリイミド膜は高いガス交換能と良好な血液適合性を示すことが明らかになった。
  • 中山 泰秀, 松田 武久
    1996 年 25 巻 2 号 p. 432-437
    発行日: 1996/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    光照射によりラジカル解離し、光イニファタ(ラジカル重合開始-移動-停止剤)として機能するベンジルN, N-ジエチルジチオカルバメート(BDC)の光反応性を利用して表面グラフト重合を行い、その精密3次元制御について検討した。まず、表面にBDC基を有する光反応性高分子フィルムを作成し、ビニルモノマー存在下でこのフィルム表面に紫外光照射した。ESCAスペクトル分析、水晶発振子マイクロバランス(QCM)と水接触角測定、および原子間力顕微鏡(AFM)観察より、グラフト重合は紫外光照射によってのみ開始され、グラフト量は照射エネルギー(光量と時間)の増加に伴ってほぼ直線的に増加することが示された。顕微鏡観察より、グラフト領域は微細な照射部のみに限定されることが示された。高分子表面のXY面(グラフト領域と密度)、およびZ軸(グラフト鎖長)の表面組成、および物性の制御が可能となった。表面ブロック共重合体やグラフト鎖長の傾斜表面の作成を検討し、表面グラフト重合によるメディカルデバイス表面設計の可能性を示した。
  • 稲葉 雅史, 笹嶋 唯博, 東信 良, 郷 一知, 山本 浩史, 久保 良彦
    1996 年 25 巻 2 号 p. 438-442
    発行日: 1996/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    内径3mm以下の小口径血行再建に対し、連結部の内膜肥厚抑制を目的として自家静脈をGlutaraldehyde(GA)で架橋処理しePTFEと吻合するcomposite graftを作成しこれらの再建成績を検討した。下肢末梢血行再建再手術群3例(A群)、内シャント術41グラフト(B群)に本法を施行した。A群3例中早期閉塞の1例は圧迫が原因であり、血栓別除後7か月開存しているが、他の2例はrun off不良、静脈グラフトGA処理境界部はの内膜肥厚にて術後2および9か月で閉塞した。B群では最長観察1年6か月で8グラフト(19%)が閉塞し一次累積開存率は1年で78.6%であった。GA処理した静脈吻合部内膜肥厚が確認されたのは3グラフトであるがGA処理境界部に組織学的にFibrin血栓の存在する例が認められた。また、雑犬による基礎検討では術後2か月で新生内膜増殖を認め組織学的に縫合糸周囲や縫合線よりの組織侵入が推察されるため、さらに吻合部被覆による検討の必要性が示唆された。
  • 冨澤 康子, 野一色 泰晴, 大越 隆文, 西田 博, 遠藤 真弘, 小柳 仁
    1996 年 25 巻 2 号 p. 443-447
    発行日: 1996/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    Basic fibroblast growth factor(bFGF)の人工血管における血管新生の状態を血流の影響の無い状態で観察するために実験を行った。(1) 実験動物の皮下組織を細切し布製人工血管壁に圧力注入(TF血管)、(2) EPTFE人工血管壁に骨髄組織を播種(BM血管)の2種を作成し、試料を採取した同じ動物の皮下に植え込み、1日から14日目まで検討した。肉眼的には2日目よりTF血管の周囲は赤色で周囲の組織と一塊になっていた。光顕所見では細小血管は2日目にはTF血管の周囲に集まり、5日目には繊維間に侵入していた。7日目には細小血管及び繊維間の線維芽細胞が強くbFGF陽性に染色された。対照では7日目でも人工血管周囲の組織のみbFGF陽性に染色された。7日目にはBM血管では外側組織から壁内へ細小血管が侵入していた。TF血管およびBF血管は皮下への植え込み後に、産出されるbFGFにより活発に細胞増殖および血管新生していた。人工血管の早期治癒にbFGFが重要な意味を持つことが示唆された。
  • 薗部 太郎, 永沼 滋, 山家 智之, 柿沼 義人, 秋保 洋, 小林 信一, 南家 俊介, 片平 美明, 仁田 桂子, 仁田 新一
    1996 年 25 巻 2 号 p. 448-454
    発行日: 1996/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    解離などがある脆弱な病変ではPTCA時にしばしば急性冠閉塞が発生する。この問題解決のためにわれわれは冠動脈内接着剤局所注入法という新たな経皮的冠動脈血行再建術を考案した。本法は、特殊なdrug delivery用PTCAバルーンカテーテルを使用して、脆弱な動脈硬化病変の血管壁に局所的に接着剤を注入し、その内壁を補強するというこれまで例をみないユニークな方法である。成山羊の大腿動脈での急性動物実験では、拡張部位の血管内壁に沿い強固な接着剤のトンネルを形成できた。接着剤、カテーテルに改良の余地はあるものの、今後新たな経皮的冠動脈血行再建術として、臨床応用への可能性が大いに期待された。
  • 片見 一衛, 伊藤 滋彦, 山之内 昭介, 熊田 敏彦
    1996 年 25 巻 2 号 p. 455-459
    発行日: 1996/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    anchoring性能の向上および漏血防止を目的として繊維長90μmの内層と30μmの外層の二層構造を有するePTFE人工血管を試作し、イヌ頸動脈置換後の器質化の状態などについて繊維長30μm(標準)および90μm(長繊維)ePTFE人工血管と比較した。血行再開時、長繊維グラフトにおいてのみ壁孔から軽度の漏血が見られた。置換8週後の開存率では三者間に有意な差は見られなかった。長繊維グラフトでは内皮被覆率は少し、仮性内膜厚は有意に大きく、二層化および標準グラフト間ではほぼ同等であった。一方、二層化グラフトでは長繊維グラフトと同様に壁内組織と仮性内膜との組織連絡が密で仮性内膜の良好な固着性が伺われた。以上の成績から、この二層化ePTFE人工血管は長繊維ePTFE人工血管の長所である仮性内膜に対するanchoring性能を保持しつつ、短所である漏血ならびに仮性内膜厚の増加に対処しえることを示した。
  • 仁科 健, 岡林 均, 嶋田 一郎, 大野 暢久, 曽我 欣治, 松林 景一
    1996 年 25 巻 2 号 p. 460-462
    発行日: 1996/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    UBEウーブンダクロン人工血管を平成6年1月から平成7年4月までの腎動脈下腹部大動脈瘤21例(U群)にプレクロッティングせずに使用し、それ以前使用していたシールドグラフトであるゲルシール人工血管(G群)及びヘマシールド人工血管(H群)と比較検討を行った。術中操作では吻合もし易く人工血管からの血液の漏れに関しても問題はなかった。炎症所見の再上昇率は14%にみられ、H群との間に有意差はなかったが少ない傾向にあり、G群間との比較では有意に低率であった。炎症所見の中ではH群と有意差はなかったが、CRP再上昇においてG群より有意に少なかった。UBE人工血管はシールドされた人工血管とは異なり、シールドした物質が溶け出すことにより炎症所見の再上昇をきたすことはなく安全に使用できるため人工心肺を使用しない腹部大動脈瘤手術に対して選択すべき人工血管であると思われる。
  • 中村 雅則, 数井 暉久, 森下 清文, 田中 利明, 小松 作蔵
    1996 年 25 巻 2 号 p. 463-466
    発行日: 1996/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    1992年11月より, 1994年12月までの間にコラーゲン処理woven Dacron人工血管であるHemashieldを使用した胸部大動脈置換術85例のうち, 術後6ヶ月以降にCTを施行した24例を対象とし, 人工血管の拡張性などの問題点について検討した. CTでの計測による人工血管径は, 使用した人工血管径の96.0~123.6%で平均104.3±6.3%であった. 120%を越えた1例でDSAを施行し人工血管径を測定したが, その径は111%であり, 120%を越える拡大症例は認められなかった. woven Dacron被覆人工血管にはknitted Dacronにみられる人工血管の拡張は認められず, 胸部大動脈置換術には有用な人工血管と考えられた.
  • 藤田 浩一, 江嵜 祐造, 小原井 裕樹, 塚本 敦子, 谷川 隆洋, 平石 嘉昭, 高野 良仁
    1996 年 25 巻 2 号 p. 467-472
    発行日: 1996/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    頻回穿刺に耐えられ、かつ形成した内膜や外膜が生体と一体化する性質を付与した新しい透析用人工血管を開発した。この人工血管は、内外層に多孔体、中間層に穿刺後の血液シール機能を付与した三層構造体である。今回は、内径5~6mmの人工血管を用い、in vitro実験により漏水量、刺通抵抗を定量化した。また犬移植実験により操作性、刺通抵抗測定、穿刺実験、移植後10ヶ月までの開存性について評価を行った。その結果、開発した人工血管はプレクロッティングなしでそのまま移植でき、吻合が容易に行えた。また17G透析針による穿刺後の血液漏出はほとんど認められず、止血操作が容易であった。さらに移植10ヶ月までの良好な開存、および血管周辺組織と人工血管との良好な結合を確認した。以上より、開発した透析用人工血管は、生体との一体化と優れた穿刺耐性が達成されており、アクセスフェーリアの軽減が期待された。
  • 中嶋 俊介, 高本 眞一, 辻 隆之, 湯浅 光利, 江崎 祐造, 小原井 裕樹
    1996 年 25 巻 2 号 p. 473-475
    発行日: 1996/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    長期の血液透析には内シャントのトラブルが少なからず認められ, blood accessとして自己血管を使用し得ず, 人工血管を使用せざるを得ない場合も多い。また, われわれは最近, 凍結保存動脈allograftをblood accessに用い良好な結果を得ている。今回, 新しく開発した刺通抵抗解析システムを用いて, 簡便にこれらのblood accessの状態を評価した。内シャントにおける自己静脈はblood access使用期間が2年から3年さらに8年と経過するにつれ刺通抵抗値が上昇することより, 経時的な壁硬化が起こることが示唆された。E-PTFEは移植後早期から3年位まで一定した高値を示し, この期間では経年的変化は少ないことが示唆された。凍結保存allograftは解凍直後, 移植直後から約1年経過まで正常静脈と同等の低値を示し, 有用なblood accessとなる可能性が示唆された。
  • 清谷 哲也, 寺町 政美, 滝本 行延, 中村 達雄, 清水 慶彦, 遠藤 克昭
    1996 年 25 巻 2 号 p. 476-480
    発行日: 1996/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    われわれはこれまでにゼラチンチューブにより10mmの間隙で、坐骨神経が組織学的にも機能的にも再生したことを報告した。今回、臨床応用に向けてさらに長い間隙での末梢神経再生を可能にするために、新たにコラーゲン及びポリグリコール酸によるチューブを作成し、25mmの間隙における神経再生について評価した。8匹のネコの左側坐骨神経を切除し、間隙が25mmになるように、両神経断端をポリグリコール酸コラーゲン複合チューブに挿入し縫合固定した。術後約3ケ月以降には再生坐骨神経が全例で認められ、光顕及び電顕にてシュワン細胞、有髄軸索、及び無髄軸索を含む神経構造が確認された。体性感覚誘発電位及び誘発筋電図により感覚線維及び運動線維の機能回復が確認された。HRP染色により、再生坐骨神経と脊髄及び延髄間の軸索流が回復していることが示された。以上の結果よりわれわれの作成したポリグリコール酸コラーゲン複合チューブは末梢神経再生に有用であると考えられた。
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