抄録
Dynamic cardiomyoplastyでは、広背筋変性が長期予後を規定する要因となっている。従来の筋電極に対して、縫着時に神経・筋の器械的損傷が少ない神経表面刺激電極、筋表面不感電極を作製し、電気的特性を検討した。雑種成犬を用いた急性実験で、刺激閾値、インピーダンスおよび収縮力を測定し、同時に閾値の2倍の電圧刺激下での筋収縮力、刺激伝播様式と収縮の一様性を観察した。表面電極のインピーダンスは筋電極の約3倍で、刺激閾値は約2分の1であった。また、閾値の2倍の電圧刺激では、筋電極、表面電極間に刺激伝播様式と収縮の一様性に差は見られず、計算上では表面電極は筋電極の20分の1のエネルギーで広背筋の駆動が可能なことが示された。表面電極は縫着時の器械的損傷が軽微で、かつ低エネルギー電気刺激で駆動でき、電気的な筋変性の軽減にも有用である可能性が示唆された。