抄録
拡張型心筋症に対し補助人工心臓による循環補助を施行した患者のうち、40日以上生存の患者3名に対し、自転車エルゴメータを用いたリハビリテーションを施行し、その効果を検討した。症例の平均年齢は45歳、循環補助までの完全臥床期間は平均1カ月であった。プログラムは、ベット上、ベットサイド、自転車エルゴメータ、介助歩行、自力歩行の5段階に分け、それぞれ装着後平均1日、4.3日、7.7日、8.7日、17日、18日に開始された。早期離床を目指した筋力回復のリハビリテーションは、合併症の予防、栄養状態の改善促進、および精神的安定に効果があると考えられた。プログラム作成には、浮腫、尖足、褥創および栄養状態を考慮することが重要であった。自転車エルゴメータは、運動量算出まで至らなかったがし歩行訓練が困難な時期でもある程度実施可能である点から、歩行訓練よりも早期に利用できる可能性が示唆された。今後、補助人工心臓装着患者を対象とした運動量算出プログラムについて再検討する必要がある。