抄録
補助人工心臓(VAS)による長期補助を行う上で適応患者のQuality of Life (QOL)の向上を図ることが重要である。そこで長期VAS施行患者のリハビリテーションの有用性を考察した。対象は1994年より国循型左房脱血方式VASを適用した6例で、鎮静期間、運動療法(屈伸及び内転・外転、内旋・外旋運動)開始日と日常生活動作(ADL)及び関節拘縮の関係を検討した。統計処理はスピアマンの順位相関係数により行い、p<0.05を有意とした。鎮静期間の長さは上肢の動作に影響があり、関節拘縮の程度に有意に相関を示した。屈伸運動はベッド上の運動回復に有意に相関した。内転・外転、内旋・外旋運動は4例において覚醒後に開始したが、関節拘縮の程度に有意に相関した。以上よりVAS適応患者の鎮静期間の短縮を図り運動療法を出来る限り早期に行うことは、ADLの向上、関節拘縮の予防、全身状態の改善に有効であり、覚醒を促せない場合でも積極的な運動療法を行うことが重要と考えられた。