人工臓器
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BICARBON弁の早期臨床成績
桑木 賢次安倍 十三夫小松 幹志光島 隆二小松 作蔵
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1996 年 25 巻 3 号 p. 596-598

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抄録
中心開放型二葉弁であるBICARBON弁(BC弁)の早期臨床成績を検討した。1994年1月-1994年7月までに20例に対し, 23個のBC弁を使用した。病院死はなく, 平均18.4カ月(15.0-21.5カ月)の経過観察期間で遠隔死も認めていない。2例に再手術を要したが, 構造的な機能不全, 血栓塞栓症, 抗凝血療法に伴う出血, 心内膜炎などの合併症は認めなかった。弁機能の評価として, 大動脈弁位, 僧帽弁位の弁最大圧較差と僧帽弁有効弁口面積をドップラー心エコー法にて測定し, SJM弁と比較し両者で有意差を認めなかった。X線シネ撮影による弁開放角および閉鎖角に問題はなかった。心臓カテーテル検査では全例,術後の心機能は良好に改善した。溶血の評価として血清LDH値は, SJM弁と有意差は認めなかった。NYHA心機能分類は術前平均2.8から術後平均1.3へ有意に改善し, BC弁の早期臨床成績は良好であったが, 今後の長期の経過観察を要する。
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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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