抄録
DDDペースメーカーを植え込まれた20例(71.0±11.0〈SD〉歳)においてAV delay短縮による心機能改善と拡張期僧帽弁逆流の関係について検討した。AV delay 115 msecと215 msecにおける、心拍出量(CO)、肺動脈楔入圧(PCWP)をSwan-Ganzカテーテルを用いて測定し, pulsed Doppler法を用いて拡張期僧帽弁逆流の有無を調べた。20例中12例においては、拡張期僧帽弁逆流は認められず、CO, PCWPに有意の変化を認めなかった。20例中8例において拡張期僧帽弁逆流はAV delayが115 msecに設定された時に認められず、215秒に設定された時、認めらるようになり, COは3.9±0.6より3.6±0.61/分に低下し(p<0.05)、PCWPは1例(88%)で増加した(p<0.01 vs. AV delay 215 msecにて拡張期僧帽弁逆流認められなかった症例: 17%)。拡張期僧帽弁逆流の有無が、short AV delayの有効性の指標となることが示された。