抄録
新しく開発された膜型肺Optima(以下O群)を, 後天性弁膜症開心術11例に臨床応用し、従来よりの外部潅流型膜型肺Sarns-46310(以下S群)とガス交換性能、血液適合性について比較検討した。Optimaは、ポリプロピレン中空糸膜よりなるプライミングボリューム削減を目的とした人工肺で、充填量は260ml、全例に無輸血体外循環が可能で、無輸血開心術達成率は0.64であった。ガス交換能は、臨床使用において問題になることはなかった。溶血は軽度で、血小板数も体外循環終了時には良好に維持されていた。補体系では、O群のC3a値が経時的に増加してS群よりも高値となったが、C3, C4, CH50値はほぼ同様の変動を示し、体外循環終了時はO群がS群よりも高値を示し、補体系に与える影響も少ないものと思われた。以上より、Optimaは臨床応用が十分可能で、輸血量削減に有用な、優れた膜型人工肺であると考えられた。