人工臓器
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慢性透析患者の開心術における術中透析の検討
饗場 正宏関口 茂明松尾 義昭成澤 隆森保 幸治村田 升村上 厚文山田 眞井上 恒一高場 利博
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1996 年 25 巻 3 号 p. 629-631

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抄録
慢性透析患者の開心術における周術期管理として術中血液透析(HD)の有用性を検討した.
対象は成人開心術6例で, 術中HD施行群(HD群)と非施行群(N群)それぞれ3例において周術期の血中尿素窒素(BUN), 血清クレアチニン(Cr), 血清カリウム(K), ヘマトクリット(Ht)を比較した, 術直後のBUN, Cr, K, HtはHD群とN群は33.1 vs 41.5mg/dl, 4.8 vs 6.2mg/dl, 4.3 vs 3.9mEq/l, 24.6 vs 35.1%で, HD群でBUN, Crが低い傾向があったが有意差はなかった.
本検討から1. 慢性透析患者の開心術において術中HDは術直後のBUN, Cr, Kを有意に低下させる効果はなかった. 2. 待機手術では術直前のHDでBUN, Cr, K, Htを充分に補正し, 術中は限外濾過を術後はnafamostat mesilateを用いたCVVH及びHDを行うことで周術期の管理は行えると考えられた.
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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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