人工臓器
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体外循環時の凝固線溶反応に関する臨床的検討
―従来回路とヘパリンコーティング回路の比較―
服部 浩治
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1996 年 25 巻 3 号 p. 649-654

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抄録
ヘパリンコーティング(HC)人工心肺回路の使用により体外循環(CPB)に伴う凝固線溶反応が抑制されるか否かにっき検討した。対象は成人開心術30症例で、HC回路を用いたHC群と、非HC回路を用いたNHC群に分けた。CPBは両群とも活性化凝固時間を400秒以上に維持して行い、術前からCPB終了後24時間までの11時点でthrombin-antithrombin III (TAT)、fibrinopeptide A (FPA)、antithrombin III (AT-III)、α2 plasmin inhibitor-plasmin complex (PIC)、D-dimer (DD)を測定した。TATとFPAは両群とも著明に上昇したが、CPB中はHC群の方が低値をとる傾向にあり、特にHC群ではNHC群でみられたFPAの有意な上昇を認めなかった。PICとDDは両群でCPB中から上昇したが、CPB中・後を通じてHC群の方が有意に低値であった。以上よりCPBに伴い凝固線溶反応は充進するが、HC回路の使用によりこれらは抑制され、開心術におけるHC回路の使用は有用であると考えられた。
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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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