人工臓器
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ゼラチン被覆処理Y型人工血管使用症例における術後の炎症反応とエンドトキシン値の変動に関する検討
川嶋 隆久上沢 修長谷川 伸之三澤 吉雄長谷川 嗣夫布施 勝生
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1996 年 25 巻 3 号 p. 720-722

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抄録
ゼラチン被覆処理Y型人工血管(Gelsoft®)を使用した腹部大動脈手術44症例の, 術後炎症反応とエンドトキシン値の変動について検討した。術後第7病日に37.5℃以上の発熱遷延例は11例あったが, 人工血管が原因と考えられたのは1例のみであった。第14病日にも発熱遷延を認めたのは3例で感染が原因であった。発熱遷延例(F群11例)と非遷延例(N群33例)の比較では, 最高体温はF群で経過中高かったが, 第14病日には解熱した。WBCはF群において低下遅延傾向が認められたが, 両群とも第7病日には正常域に低下した。CRPは両群に差なく変動したが, 術後第7, 14病日にも正常域に低下しなかった。エンドトキシン値は, 感染例4例を除く全例で, Toxicolor値のみが術直後より上昇, その後漸減したが, Endospecy値に上昇は認められなかった。Toxicolor反応物質が人工血管移植後上昇するが, エンドトキシンではなく, またエンドトキシンを術後発熱遷延の原因とするのは不適当と考える。
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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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