人工臓器
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透析用として新たに開発されたE-PTFE人工血管の物理的特性
中川 芳彦太田 和夫河合 達郎渕之上 昌平寺岡 慧阿岸 鉄三
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1997 年 26 巻 1 号 p. 244-248

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抄録

われわれは、血液透析用として新たに開発されたE-PTFE人工血管(Diasta®、新グラフト)の物性を検討した。このグラフトは、従来のストレッチ型E-PTFE人工血管(旧グラフト)を本体とし、透析時の穿刺部をE-PTFE繊維とE-PTFEシートで二重に被覆されている。1)新グラフトを透析用穿刺針で穿刺した時の貫通応力は、旧グラフトの2.1倍であった。2)新グラフトを100ヶ所穿刺した後の引っ張り強度は、旧グラフトの16.8倍であった。3)旧グラフトに水で220mmHgの内圧を負荷すると水漏れが観察されたが、新グラフトでは水漏れはなかった。4)透析用穿刺針で穿刺した後の旧グラフトからの針孔からの漏水量は、内圧50mmHg、5分後で新グラフトの4.3倍量であった。以上よりDiastatは、穿刺抵抗は強いが、穿刺後の針孔からの止血は容易で術後早期からの使用が可能となり、さらに瘤発生の頻度は、少なくなることが期待され、透析用人工血管として有用であることが示された。

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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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