人工臓器
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経皮的エネルギー伝送システムの伝送効率に関する検討
田代 良一壁井 信之土屋 喜一
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1997 年 26 巻 2 号 p. 293-297

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抄録

完全埋込型人工心臓を駆動するために必要な電気的エネルギーを体外から供給する際、皮膚を貫通させる有線式は長期的に見ると感染症を起こす可能性が高くなると考えられるので、経皮的電気エネルギー伝送(TET)システムが有利であるが、エネルギー伝送損失が発生する。特に、2つのコイルの形状およびその配置法が伝送効率を左右しやすいと考えられる。今回は、DC-ACインバータ、整流回路、空芯コイルの試作を行い、特にコイルの配置(垂直、水平方向のずれ)によるエネルギー伝送効率について実験的検討を加えた。その結果、一次、二次側とも同形状のコイルの組み合わせが最も伝送効率がよいが、水平方向のずれに対する安定度は低い。一方、大小の形状の組み合わせでは、2つのコイルの小さい方の空芯部が大きい方の空芯部に含まれるようなずれの範囲であれば、一定の負荷に対し、一次側供給電力、二次側消費電力、総合伝送効率は安定していることがわかった。

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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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