人工臓器
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26 巻 , 2 号
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  • 高場 利博
    1997 年 26 巻 2 号 p. 275
    発行日: 1997/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
  • 山西 秀樹, 渡辺 直, 林 和秀, 冨岡 秀行, 筒井 宣政
    1997 年 26 巻 2 号 p. 277-279
    発行日: 1997/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    挿入時の血管損傷や、ラッピングがほどけやすいといったシースレスの欠点を克服すべく、スライディングラップを開発、1995年8月~1996年8月までの間に6症例に使用する機会を得たので報告する。使用したIABPは、バルーン長さ195mm、バルーン容量35cc、カテーテル部分の外径9.0Frである。先端のチップは硬く、尖った形を呈しており、バルーンを覆い隠すようにラッピングした薄い鞘(スライディングラップ)が装着されている。これは先端チップと段差がなく密着しているため、動脈硬化が強い血管で挿入する際に無理な力が加わっても、ラッピングがほどけたり、血管壁を貫けないということはなく、スライディングラップと共にバルーンカテーテルを挿入し、挿入後はpeel awayするので血管内腔はカテーテル部分のみとなる。スライディングラップを装着することにより下肢虚血合併症が少なく、シースレスIABP挿入時の操作性が向上した。
  • 西中 知博, 西田 博, 遠藤 真弘, 小柳 仁, 鈴木 進, 田島 行雄, 遠山 範康, 岡本 美樹
    1997 年 26 巻 2 号 p. 280-282
    発行日: 1997/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    Delphinポンプ(3M社製)はin vitroの検討において他の遠心ポンプに比較し溶血が多いとする報告が多い。開心術使用においてこの差がどのように現れるかを評価する為にDelphinポンプ(D群10例)を用いて冠状動脈バイパス手術を施行し、人工心肺中の血小板数、血清遊離ヘモグロビン、及びβthromboglobulinの変化量を測定した。対照群は使用ポンプによってHPM15群(日機装社製, N群14例)、Biopump群(BioMedicus社製, B群10例)、Capiox群(Terumo社製, C群10例)、Lifestream群(SJM社製, L群10例), ローラーポンプ群(R群10例)と5群に分類した計54例とした。この結果、溶血、血小板損傷いずれもD群と各対照群との間に有意差を認めなかった。in vitroにおける血液損傷の差が開心術においては認められなかった理由は人工心肺回路の吸引の影響など種々の要因が関連していると考えられる。今後は人工心肺システム全体の改良の中で遠心ポンプの評価もされていくべきであると考えられる。
  • 村上 文彦, 碓氷 章彦, 廣浦 学, 川村 光生, 小山 富生, 村瀬 允也
    1997 年 26 巻 2 号 p. 283-285
    発行日: 1997/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    現在体外循環装置の吸引は主にローラーポンプによって行われているが、吸引側の貯血槽に低陰圧をかけその圧を調節することによって吸引量をコントロールする方法を陰圧吸引式とし、比較検討を行った。連続した冠状動脈バイパス術症例80例をローラーポンプ式40例(A群)、陰圧式40例(B群)に分け比較を行った。背景因子としての年齢、性差、体表面積、バイパス数、輸血の頻度・量等には両群間で有意差は認められなかった。遊離ヘモグロビン値は体外循環開始60分(84.6±23.9 vs 56.6±28.1、P<0.05)および90分後(1162±38.4 vs 60.9±20.4、P<0.01)でB群が有意に低値であった。ハプトグロビン値は体外循環開始120分で有意にB群が高値であった。また他のCPK、GOT、LDH、血清K値を術前後で測定したが、LDHの値はA群が有意に高値であった。以上より陰圧吸引式が溶血の度合いが少ないと考えた。
  • 北村 昌也, 石戸 谷浩, 木原 信一郎, 斎藤 聡, 八田 光弘, 小柳 仁
    1997 年 26 巻 2 号 p. 286-292
    発行日: 1997/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    Novacor LVASの術後各時期の駆動制御法を検討した。術後左室機能低下が著しい時期は, end of fill threshold (EFT)を低くし, 十分なeject delay (ED)をつけることで自己心のcounter-pulsationとなるように設定した。術後ICUで心房細動となった際には, EFTを低くし, minimum stroke volumo (MSV)を高くすることにより, 可及的にfill-to-empty作動を維持した。術後の心室性期外収縮の多発時には一時的にfixed rateとし, MSVを高く設定してLVSの最大駆出を得るようにした。ICU滞在中は洞調律でも自己左室からの駆出が不十分な場合は, MSVを高めに設定することにより十分なLVA駆出を維持した。病棟帰室後の遠隔期の洞調律では, EFT ED等はほぼ標準値を維持していた。術後の各病態におけるNovacor LVASの至適な駆動制御は, trigger modeの変更と各設定値の調整により十分に可能であった。
  • 田代 良一, 壁井 信之, 土屋 喜一
    1997 年 26 巻 2 号 p. 293-297
    発行日: 1997/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    完全埋込型人工心臓を駆動するために必要な電気的エネルギーを体外から供給する際、皮膚を貫通させる有線式は長期的に見ると感染症を起こす可能性が高くなると考えられるので、経皮的電気エネルギー伝送(TET)システムが有利であるが、エネルギー伝送損失が発生する。特に、2つのコイルの形状およびその配置法が伝送効率を左右しやすいと考えられる。今回は、DC-ACインバータ、整流回路、空芯コイルの試作を行い、特にコイルの配置(垂直、水平方向のずれ)によるエネルギー伝送効率について実験的検討を加えた。その結果、一次、二次側とも同形状のコイルの組み合わせが最も伝送効率がよいが、水平方向のずれに対する安定度は低い。一方、大小の形状の組み合わせでは、2つのコイルの小さい方の空芯部が大きい方の空芯部に含まれるようなずれの範囲であれば、一定の負荷に対し、一次側供給電力、二次側消費電力、総合伝送効率は安定していることがわかった。
  • 柴 建次, 越地 耕二, 周 英明, 塚原 金二, 土本 勝也, 大海 武晴, 藤巻 鉄哉, 高橋 克己, 大野 孝, 増澤 徹, 巽 英介 ...
    1997 年 26 巻 2 号 p. 298-303
    発行日: 1997/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    体外結合型経皮エネルギー伝送システム(Extemally-Coupled Transcutaneous Energy Transmission System, ECTETS)を長期問安全に動作させるためには、回路各部の損失を減らし、発熱を抑えることが重要である。MOSFET、ゲート入力抵抗、コイルの巻き方と巻き数、整流方式などを検討することにより、DC-DCエネルギー伝送効率は動作電力19W(拍動数70bpm、拍出流量7.0L/minに相当)の条件において86%以上、動作電力38W(二次電池充電同時動作に相当)において80%以上を可能とした。回路各部の温度上昇は1.6~5.9℃程度に抑制され、ECTETSの信頼性が向上した。また、完全埋込型人工心臓を動作させ拍出流量を測定したところ、3.8L/min (45bpm)~8.0L/min (90bpm)を得ることができた。
  • 荒木 賢二, 穴井 博文, 押川 満雄, 鬼塚 敏男, 柴田 紘一郎
    1997 年 26 巻 2 号 p. 304-308
    発行日: 1997/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    翼列理論を用いた軸流式血液ポンプ設計法の問題点について考察する. まず, 設計点を設定し, 性能が既知の翼形を用い, 翼列理論に基づき, 翼の迎え角と長さを計算する. 被験ポンプは, 設計点が流量6L/min, 揚程90mmHgにて回転数14000rpm, 比速度898のポンプAと, 回転数22000rpm, 比速度1412のポンプBである. 翼形はNACA No. 6409を用いた. ポンプAの14000rpm, 6L/minでの発生揚程は65mmHgと設計値である90mmHgに至らず, 最高効率点はシフトした. ポンプBの22000rpm, 6L/minでの発生揚程は128mmHgと設計値を越え, 見込み以上の効率を示した. 比速度1200以上で設計したポンプは高い効率が得られた. 比速度の低いポンプは, 効率が低く, 最高効率点がシフトし, 翼列理論による設計には限界があると思われた. 1また, 翼の剥離域が使用域と重なっており, 使用域が制限される可能性が示唆された.
  • 岡本 英治, 藤吉 雅幸, 三田村 好矩
    1997 年 26 巻 2 号 p. 309-314
    発行日: 1997/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    体内埋込み型人工心臓用に開発したPTFEコーティングボールベアリングを, 一定負荷型耐久試験装置および拍動性負荷型試験装置により評価した. その結果, 水蒸気100%飽和環境下, 動脈圧10mmHgに相当する一定負荷を加え, モータ回転速度1040rpm, モータ回転方向切換頻度60回/分で耐久試験を行ったところ507日間異常はなく, 現在もなお継続中で良好な耐久性が示された. 一方, 拍動性負荷型耐久試験装置では, 拍動性負荷と一定負荷を加えた場合, 異なる大きさの拍動性負荷を加えた場合, 拍動性負荷を加え異なる回転速度でベアリングを稼働させた場合, それぞれについてベアリングから発生する振動について解析を行った. その結果, 拍動性負荷を加えた方が低周波振動成分(~100Hz)が大きくなること, 拍動性負荷が大きいほど周波数中域(~1.5kHz)の振動が大きくなること, ベアリング回転速度が小さいほどベアリングから発生する振動が小さいことが分かった.
  • 壁井 信之, 田代 良一, 土屋 喜一
    1997 年 26 巻 2 号 p. 315-320
    発行日: 1997/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    揺動運動式ポンプの代表例の一つであるスクロール型血液ポンプを試作した。このポンプは二つのスクロール円盤, 揺動機構とそれに接続されるモータおよび円筒状のシール膜から成り立っている. シール膜はペレセンかラテックスゴムで製作した. 上下二つの円盤にそれぞれ取り付けられた同一の渦巻き形状のスクロールを180度ずらせて互いに組み合わせ, 一方を固定し, 他方を揺動運動させることでポンプ作用が発現する, ポンプ本体の外径は60mm, 高さは約20mmとなった. 揺動運動の半径となる偏心量は3.0~4.5mmの範囲で変化させ, スクロールと円盤問の間隙距離は0.1~1.2mmの範囲で可変とした、シール膜がペレセンの場合では偏心量が4.0mmの設定で, 間隙が0.1mm, 900rpmで500mmHg, 8.44L/minの出力が得られた. 間隙が0.5mmの場合, 回転数680rpmで負荷圧120mmHg, 吐き出し量6L/minの値を得ることができた. エネルギー変換効率は生理的食塩水にて最大で約24%であった.
  • 小林 学, 水野 浩司, 水野 勉, 山口 昌樹, 苅田 充二料, 前田 豊, 松浦 雄一郎, 福永 信太郎, 山田 一
    1997 年 26 巻 2 号 p. 321-326
    発行日: 1997/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    1993年に実施した急性動物実験で得られた経験に基づいて, リニアモータの推力向上と血液ポンプの流入口の径を大きくしたリニアモータ駆動型全人工心臓(リニアTAH)を試作した。模擬循環試験装置を用いてリニアTAHの効率を測定した結果, ポンプ拍動数120[bpm]において, 入力電力30、18[W], 機械出力2.03[W]であり, 効率は6.7%であった。リニアTAHの損失のうち, 鉄損が19.4[W]であった。羊を用いた急性動物実験において, ポンプ拍動数が85[bpm]の時, 量大左心ポンプ拍出量4.2[Llmin]が得られた。ポンプ拍動数60~100[bpm]の範囲内において, 左右流量差は0~9.1%であった。2時間の循環代行後のリニアモータの表面温度は49[℃]まで上昇した。
  • 巽 英介, 宮崎 幸治, 戸田 宏一, 妙中 義之, 中谷 武嗣, 馬場 雄造, 増澤 徹, 脇坂 佳成, 江屋 一洋, 西村 隆, 武輪 ...
    1997 年 26 巻 2 号 p. 327-332
    発行日: 1997/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    体循環の無拍動流化後の急性期の全身酸素代謝の変化を、交感神経活動を反映すると考えられる血中ノルアドレナリン濃度(NAD)との関係に着目して検討した。成山羊10頭を用い、全身麻酔、開胸下に拍動流ポンプと無拍動流ポンプを並列に接続した左心バイパス回路を装着し、100%バイパス下で体循環を瞬時に無拍動流化した。無拍動流化にともなってNADの増加、全身酸素消費量(VO2)の減少、酸素摂取率(ExO2)の低下、および静脈血酸素飽和度(SvO2)の上昇を認めた。また、血中乳酸値も有意に増加した。拍動流時、無拍動流時ともにNADはVO2およびExO2と正の相関を示し、同じVO2およびExO2レベルでは無拍動流循環時でより低値を示した。以上より、全身麻酔、開胸下の急性実験では、無拍動流化後急性期に全身酸素代謝効率が低下し、同時に観察される交感神経系の緊張は、無拍動流化にともなって生じる血流/酸素代謝不均衡に対する生体反応として引き起こされている可能性が示唆された。
  • 碓氷 章彦, 廣浦 学, 大島 英揮, 冨田 康裕, 村上 文彦, 吉田 勝彦, 日比 道昭, 川村 光生, 村瀬 允也
    1997 年 26 巻 2 号 p. 333-337
    発行日: 1997/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    新規開発されたシリコンコーティング人工肺(エクセランプライム)の肺機能評価をACバイパス術15例(SC群)において行い、非コーティング人工肺と比較検討した(NC群10例)。有効肺血流量率(Qp/Qt)、酸素加能(TO2)、二酸化炭素較差分圧比(ΔCO2/PaCO2)および二酸化炭素排出量(TCO2)は体外循環中有意の変動を示さず、両群間に有意差を認めなかった。血中遊離ヘモグロビン値は体外循環中に両群とも上昇を示すが、群間に有意差を認めなかった。人工肺による圧損は両群とも100mmHg前後であり、有意差を示さなかった。エクセランプライムはコーティングに伴うガス交換能の有意な低下を示さなかった。
  • 中村 都英, 鬼塚 敏男, 桑原 正知, 荒木 賢二
    1997 年 26 巻 2 号 p. 338-340
    発行日: 1997/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    心臓血管外科手術後に発生した急性腎不全に対する持続的血液濾過法(continuous vehovenous hemofiltration; CVVH)につき検討を加えた。対象は1992年から1996年4月の間に施行された心臓血管外科手術742例中、術後の急性腎不全に対しCVVHを施行した14症例である。発生頻度は1.9%であったが、人工心肺使用例では2.6%であった。11例79%が緊急手術であり、7例が術前ショック状態を呈し、術前の血清クレアチニン値は平均2.1±1.4mg/dlであった。7例50%がCVVHより離脱し、4例29%が長期生存し得た。CVVHは循環動態に影響が少なく、低心拍出量症候群(Low output syndrome; LOS)例でも安全に施行し得た。CVVH施行前と3日後の血清クレアチニン値(Cre)、BUNを比較するとCre; 5.0±2.0mg/dl→4.5±2.1mg/dl、BUN; 65.6±33.0mg/dl→67.6±30.0mg/dLと代謝産物の上昇は抑えられ、水分管理は容易であった。動脈瘤破裂例やLOS例はCVVHが長期化しSepsisとなり、救命が難しかった。成績の向上には感染対策が重要であると思われた。
  • 畑博 明, 塩野 元美, 折目 由紀彦, 八木 進也, 塚本 三重生, 奥村 晴彦, 中田 金一, 瀬在 幸安
    1997 年 26 巻 2 号 p. 341-344
    発行日: 1997/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    1995年4月以来, 心臓大血管手術術後の5症例に対し, 持続的血液濾過(CHF)を施行した. 施行手術は症例1.57歳男性: 冠状動脈バイパス術, 症例2.72歳男性: 僧房弁置換術+大動脈弁置換術+左房内血栓摘出術, 症例3.72歳女性: 大動脈弁置換術+上行大動脈置換術, 症例4.37歳男性: 上行大動脈置換術,症例5.37歳男性: 弓部下行大動脈置換術であり, 症例3, 4, 5は急性解離性動脈瘤に対する緊急手術であった. 症例1, 2, 3は術後急性腎不全を発症し, 症例4, 5は慢性腎不全のため腹膜透析中であった. 症例3をメシチリン耐性黄色ブドウ球菌敗血症による多臓器不全(MOF)で失ったが, 他の4例は救命しえた. 症例1と3は, 加療後血液浄化療法が不要となった. CHFは開心術後の重篤な患者にも安全に施行でき, 非常に有効であった. しかし敗血症を伴うMOFに対する血液浄化はエンドトキシン吸着療法などが必要と思われた.
  • 大島 永久, 木山 宏, 秦 一剋, 今関 隆雄, 山田 崇之
    1997 年 26 巻 2 号 p. 345-348
    発行日: 1997/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    開心術における出血量減少, 輸血節減のためのアプロチニンの投与が普及してきたが至適投与量, 投与時期は確立されていない。体外循環中200万単位(100万単位体外循環充填, 10,000単位/分持続点滴)のアプロチニン投与が出血量減少や輸血量の節減に有効かどうかをアプロチニン投与群(AP(+)群)40例, 非投与群(AP(-)群)36例で出血量, 無輸血率について, 9例ずつのsubgroupでアプロチニンの凝固線溶系(ACT, Fbg, AT III, TAT, FDP, Dダイマー, PIC)に対する効果について検討した。術後15時間ドレーン出血量は439ml, 297mlとAP(+)群が少なく, 無輸血率も83%, 61%とAP(+)群で高かった。凝固系ではTATは2群ともにCPB中著増したが差はなく, 線溶系のDダイマー, PICはAP(+)群が低値であった。体外循環中アプロチニン投与は出血量減少効果があり, この効果は体外循環時の凝固亢進に引き続く線溶元進の抑制によると考えられた。
  • 渡辺 孝, 保浦 賢三, 柵木 隆志, 大原 康壽, 伊藤 敏明, 湯浅 毅, 西沢 孝夫, 瓦谷 義隆, 村瀬 允也
    1997 年 26 巻 2 号 p. 349-353
    発行日: 1997/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    HemochronとACT IIは、通常ACT測定値の比較では臨床的には差異は認められなかったが、ACT IIによるヘパリナーゼ添加ACT測定は、ヘパリン以外の要因(低体温、希釈等)によるACT値延長を検索するのに有用である。ACT値からヘパリン血中濃度は予測できず、ヘパリン血中濃度から算出したプロタミン中和必要量は、従来よりも有意に少なく、有用と考えられた。ヘパリン血中濃度を2.5mg/kg以上を目標に維持した場合、ACT値を400~450秒以上を目標として維持した場合よりもTATの増加が少なく、凝固線溶系の亢進を有意に抑制すると考えられたが、真に適正なヘパリン血中濃度を決定するには、まだ今後の考察が必要である。
  • 許 俊鋭, 朝野 晴彦, 田邊 大明, 上田 恵介, 鈴木 義隆, 宮本 直政, 横手 祐二, 関口 敦, 見目 恭一, 尾本 良三
    1997 年 26 巻 2 号 p. 354-358
    発行日: 1997/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    VAS治療例で透析施行ユ3例(透析群)と透析非施行6例(対照群)を比較した。1ヶ, 月生存は透析群5例(38%)・対照群3例(50%)、VAS離脱は透析群4例(31%)・対照群1例(17%)、生存退院は透析群2例(15%)・対照群1例(17%)で差はなかった。血液透析(HD)7例、腹膜透析(PD)3例、PDからHDへの移行(PD+HD)は3例で1ヶ月生存はHD例3例(43%)、PD例0例、PD+HD例2例(67%)でこの2例は長期生存した。Cr最高値はPD中7.8±2.3mg/dl、HD中4.9±1.6mg/dlで、透析関連合併症はHD中に3例(43%)に出血傾向、1例(14%)にポンプ感染、PD中に1例(17%)に出血傾向を見た。 (1) 透析群の成績は対照群に比較して遜色はなかった。 (2) PDの透析効率はHDに劣るが、透析関連合併症は少なかった。 (3) 初期にPD、安定期にHDに移行する透析法が望ましい。
  • 榛沢 和彦, 大関 一, 諸 久永, 渡辺 弘, 林 純一, 江口 昭治, 成冨 博章
    1997 年 26 巻 2 号 p. 359-363
    発行日: 1997/04/15
    公開日: 2011/12/02
    ジャーナル フリー
    脳塞栓症の危険性の高い症例及びV-A ECMOの経頭蓋超音波検査(TCD)によるHigh Intensity Transient Signal (HITS)検出を試みた。HITSはTC2020 (EME)、2MHzプローブを用い、中大脳動脈で15分間自動検出した。HITSは健常人では0個(n=20)、脳梗塞以外の神経疾患で平均0.5個(n=17)、人工弁置換術以外の開心術後では0.08個(n=11)、脳梗塞のうち抗血小板剤内服群(3個:n=22)では抗血小板剤非服用患者(13個:n=20)に比べて有意に少なかった(p<0.01)。人工弁置換患者のうち術後脳梗塞を発症した患者(83個(n=8))は脳梗塞既往の無い患者(7個:n=42)に比して有意に多かった(p<0.01)。V-V ECMOでは0(n=1)、V-A ECMOでは118個(n=6、ACT=200)で、またACTの延長で減少を認めた。HITSは脳塞栓症の危険性の高い群で有意に多く検出され、抗凝固療法で減少すること等からV-A ECMOにおける抗凝固療法の指標となりうると考えられた。
  • 木村 元彦, 杉浦 敏文, 福井 美仁, 木村 泰三, 原田 幸雄
    1997 年 26 巻 2 号 p. 364-368
    発行日: 1997/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    横隔膜ペーシングと肋間筋のペーシングを同時に行なう換気補助を試みた。横隔膜ペーシングは、中枢性肺胞低換気または呼吸不全を伴った四肢麻痺が主な適応となるが、ペーシングによる横隔膜の疲労現象が大きな問題となっている。本研究では、横隔膜と肋間筋を同時にペーシングする事によって、横隔膜の疲労現象を緩和できる可能性を調べた。2頭の雑種成犬に対して、横隔膜と肋間筋を同時にペーシングし、その換気状態を測定した。肋間筋ペーシングとして、両側の第3から第6肋間筋をペーシングした。横隔膜ペーシングとして、横隔膜筋内部に刺激電極を縫着する横隔膜直接刺激によるペーシングをした。横隔膜と肋間筋を同時ペーシングすることによって、横隔膜ペーシングのみの場合に得られる一回換気量に対して、38%~58%の増加を観た。同時ペーシングを適用すれば、横隔膜ペーシングの刺激強度を弱める事により、横隔膜の疲労現象の軽減ができる可能性がある。
  • 水谷 登, 小林 正, 加藤 勲
    1997 年 26 巻 2 号 p. 369-374
    発行日: 1997/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    洞不全症候群における至適ペーシングモードについて検討を行った。正常な房室伝導を持つ症状ある洞機能不全の症例にDDDRペースメーカーを植込んだ26例が対象となった1ペースメーカー植込み慢性期にAAI, AAIR, DDDRの各モードでトレッドミル運動負荷を行った。AAIモードの検討で26例中7例が心房変時性不全(ACI)を示した。AAIRモードにおけるstimulus-R間隔は正常適応群、無適応群、逆行的適応群の3群に分類可能であった。逆行的適応群にはACIの6例が含まれ、その因子としてACIの他に心房内伝導障害、薬剤干渉、不適切なセンサーの選択が考えられた。逆行的適応群ではVVI時に認められると同様な血行動態の不利益が存在し、所謂“AAIR症候群”を引き起こすと考えられた。正常適応群ではAAIRペーシングは好ましいペーシングであるが、無適応群、逆行的適応群においてはAAIRペーシングは無効であり、AMS機能を有するDDDRペーシングを選択することが望ましいと結論された。
  • 柴原 宏, 久野 勉, 森田 宏一, 岡田 一義, 奈倉 勇爾, 高橋 進, 上松瀬 勝男
    1997 年 26 巻 2 号 p. 375-379
    発行日: 1997/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    従来, ウロキナーゼ固定化ダブルルーメンカテーテル・コアクシャル型ば血液浄化法の一時的ブラッドアクセスとして使用されてきた. 今回我々は, オブチュレーターの中心にホールを有した輸液ルート用のオブチュレータータイプインナーカテーテル(OBT)を開発した. OBTは, 輸液ルートとしての使用により, 中心静脈栄養, 薬物の精密持続点滴が可能である. 当院にて体外循環による血液浄化療法中で輸液が必要な患者10例について臨床的有用性を検討した. カテーテル留置期間は平均14.0±12.6日で, カテーテル抜去時に血栓形成を認めたのは10例中1例で, カテーテルに起因する全身性感染症, OBTの閉塞, 挿入部の出血は1例も認めなかった. 血流不良例は無く最大血液流量は平均318.6±44.9ml/minであった. 再循環率は血液流量200ml/minの条件で1.45±0.99%であった. 以上, 本カテーテルは臨床的に有用であると判断した.
  • 金岡 健, 佐々木 重幸, 松居 喜郎, 安田 慶秀
    1997 年 26 巻 2 号 p. 380-385
    発行日: 1997/04/15
    公開日: 2011/10/07
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    1984年以降, 心血管周術期の重症心不全に対し遠心ポンプによる補助循環を13例で施行した. 患者は成人10例小児3例, 平均年齢49.5±7.4歳, 先天性心疾患が3例, 虚血性心疾患(IHD)が6例, 弁膜症が3例, 弓部大動脈瘤が1例であった. 補助循環は左心バイパスが2例, 両心バイパスが1例, VAバイパスが10例(うち成人7例はPCPS)であった. 5例(38.5%)が離脱でき, 全例がIHDであった(P=0.0236). 離脱後に1例を脳出血で失った(生存率30.8%). 離脱例では術後40時間以内に心機能が回復したが, 非生存例では60時間以上で脳障害, 多臓器不全などが見られた. IHD患者の周術期重症心不全はmyocardial stunningが原因となっている可能性があり, 遠心ポンプを用いた補助循環は有用で, 48時間以内の短期間の使用が適切と思われる.
  • 山根 隆志, 西田 正浩
    1997 年 26 巻 2 号 p. 386-389
    発行日: 1997/04/15
    公開日: 2011/10/07
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    モノピボット磁気支持遠心血液ポンプに対し, 体内埋込み可能なサイズとするため, インペラ以外に可動部を有しないダイレクトドライブ機構を採用した。本方式により, 駆動部厚みを8mmに抑え, しかも低発熱・高効率で駆動できることを示した。クローズドインペラおよび放射状ベーンの採用により, インペラ回転数を30%低減することができた。その結果, 溶血試験においては, 本モデルの溶血量は, 通常の体外循環遠心ポンプの1~3倍程度であった。
  • 木島 利彦, 前川 純, 野尻 知里, 杉由 知子, 城戸 隆行, 堀内 邦雄, 赤松 映明
    1997 年 26 巻 2 号 p. 390-395
    発行日: 1997/04/15
    公開日: 2011/10/07
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    右心用小型磁気浮上ポンプを試作し、ポンプ特性、及び磁気軸受け消費電力に関し、従来の左右用磁気浮上ポンプとの比較検討を行った。標準動作点とした流量5L/分、揚程20mmHgでの回転数及びポンプ効率は、2000rpm、28.3%であったが、試作したポンプはマグネットカップリング間距離を1.85mmに設定することにより、流量8L/分, 揚程150mmHg程度まで動作可能であり、左心用としても使用し得る可能性が示唆された。磁気軸受けの消費電力については、8L/分、90mmHg程度まで動作可能な、マグネットカップリング間の距離2.4mmにおいて約13.5wとなった。また、比較対称とした左心用磁気浮上ポンプでは、磁気軸受け消費電力が回転数1600rpm付近で急減する現象がみられ、羽根車に作用する流体力も磁気軸受け消費電力に大きく影響している可能性が示唆された。
  • 稲本 太郎, 飯島 達彦, 野川 雅道, 高谷 節雄
    1997 年 26 巻 2 号 p. 396-399
    発行日: 1997/04/15
    公開日: 2011/10/07
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    遠心ポンプ等の連続流ポンプは、単純な構造と小型さで埋め込み型循環補助装置として注目されている。しかし、これらを制御するには連続的に流入圧や流量を測定する必要があり、長期使用が困難である。これを排除した流量制御法を開発するための研究を行った。遠心ポンプを左心心尖部脱血、大動脈送血型として設置し、心室内での吸い付き現象をシミュレートするために収縮性のあるチューブを流入側に使用し、流量、流入圧、電流を測定した。心拍数、ポンプの回転数を変え、流量と電流の変化を見るためにパワースペクトル密度(PSD)とクロススペクトル密度(CSD)を計算した。CSD解析から約4Hzまでは電流と流量には相関があった。また、吸い付き現象が起こると電流波形のPSDの第2次高調波に変化が生じた。これらの結果から、吸い付き現象による流渥の低下及び心室への危害が生じないようなモータ電流による遠心ポンプの流量の自動制御が可能であると考えられる。
  • 太田 裕治, 多田 洋子, 土肥 健純, 堀内 孝
    1997 年 26 巻 2 号 p. 400-404
    発行日: 1997/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    Omnicarbon弁において血栓弁と結び付かない開放角低下現象が報告されており、血栓による開放角低下との判別が臨床的に求められる。本研究では水圧駆動式循環モデルを用い僧帽弁位にて連続超音波ドプラ信号のスペクトル幅による判別を試みた。弁流量を2相性波形及び心房細動模擬(AF)波形とした場合、流量低下時に正常弁でも開放角は低下し、これを正常開放角低下モデルとし、また弁葉に強制的開放制限を加え弁別対照である開放制限モデルとした。弁後方流れにて信号計測を行いFFTによりスペクトル幅(WoS)を求めた結果、正常開放角低下モデルの2相性波形駆動の場合、平均開放角OA69度、平均WoS390Hz、AF波形の場合OA63度、WoS394Hzであり、開放制限モデルでは、OA61度、WoS545Hz、ないしOA55度、WoS522Hzと後者でWoS値が増加し、60度前後の開放角低下の場合、WoS値の利用も開放角低下の評価に有効と示唆された。
  • 武輪 能明, 巽 英介, 赤城 治彦, 江屋 一洋, 妙中 義之, 中谷 武嗣, 増澤 徹, 脇坂 佳成, 西村 隆, 大野 孝, 瀧浦 晃 ...
    1997 年 26 巻 2 号 p. 405-409
    発行日: 1997/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    人工肺と血液ポンプを一体化した長期間使用可能な新しい心肺補助装置を開発し, 動物実験にて性能を評価した. 本装置は人工肺部分の両側を2つのプッシャープレート型血液ポンプではさむ構造を有し, 血流鬱滞を解消することで抗血栓性の向上を計った. また, 人工肺部分には血漿漏出のない特殊ポリオレフィン膜(膜面積1.5m2)を使用し, 血液接触面にはヘパリンの共有結合処理を施した. in vitro試験では, 最大拍出量7L/min, 圧損失約10mmHg/L/minのポンプ特性を示した. 成山羊2頭を用いた完全VAバイパスの急性実験では, 血流量5L/minにて, 酸素運搬量300ml/min, 炭酸ガス除去量250ml/minのガス交換能を示し, 6時間安定して呼吸循環を代行し得た. また, 他の成山羊2頭を用いた右心バイパスの慢性実験では, 抗凝血薬非投与下に7日間の駆動が可能で, 良好な抗血栓性を示した. 以上より本装置の長期心肺補助装置としての有用性が示唆された.
  • 高島 征助
    1997 年 26 巻 2 号 p. 410-417
    発行日: 1997/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    現在、臨床使用されている素材の異なる血液透析用の中空糸膜における活性酸素種の消去活性のうち、とくに、・Oラジカルおよび・OHラジカルに対する影響について検討した。
    すなわち、減圧下で過酸化水素を気化してグロー放電(・O)、および紫外線(254nm)照射(・OH)によってラジカルを生成させ、それぞれのラジカルに特異的に反応する試薬を含浸した中空糸膜と接触させた。それらの試薬の反応率を紫外・可視スペクトルの変化から算出し、個々の中空糸膜のラジカル消去活性を比較した。ラジカル消去活性における中空糸膜の素材の影響は、・OHラジカルよりも・Oラジカルの挙動に差異が観察された。
  • 大段 剛, 長谷川 育代, 大石 竜, 西山 敏郎, 雨宮 均, 奥山 寛, 小林 力, 秋澤 忠男, 出浦 照國, 日吉 辰夫, 宮崎 誠
    1997 年 26 巻 2 号 p. 418-422
    発行日: 1997/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    大孔径セルロース透析膜AM-FP(旭メディカル社製)の膜孔及び透過性能に相当するPEGグラフト表面改質セルロース膜の至適PEGグラフト量を臨床的に検討した。安定期透析患者6例を対象に, AM-FP膜及びFP膜に中空糸1g当たりPEG100, 200, 300, 470, 540ppmをグラブトした中空糸からなる膜面積1.5m2の6種類の透析器を無作為の順序で同一透析条件下にクロスオーバーで使用した。白血球数, 活性化補体C3a, 血小板放出因子β-TGの透析中の変動はPEGグラフト量にほぼ依存し抑制され, TATは200ppmのグラフト量をピークに抑制は低下した。溶質クリアランスにPEGグラフトによる明らかな低下は見られなかったが, β2-MGの筋い係数は最もPEGグラフト量の高い540ppmにおいて低下が認められた。PEGグラフトによる表面改質は大孔径セルロース膜においても生体適合性の向上に有用であるが, 補体系, 血小板系と凝固系で抑制に要する至適グラフト量は異なると思われた。
  • 長見 英治, 斎藤 晃, 内田 幸男, 右川 康隆, 山崎 英隆, 市川 久志, 青木 康之, 清水 学, 堀川 哲彦, 犬丸 達也, 新井 ...
    1997 年 26 巻 2 号 p. 423-428
    発行日: 1997/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    透析中におこる血圧低下を早期発見する新しい透析監視システムの研究として、血液回路の動脈側および静脈側の圧差(以下AV圧差)の連続モニターを18症例に対し実施し、収縮期血圧(SBP)との関係を調べ、以下の知見を得た。AV圧差の変化率とSBPは17症例で、有意な相関関係が認められた。相関がとれなかった1症例は、降圧剤服用患者であった。また、透析開始0.5時間後のAV圧差の上昇率では、2症例(女性、60歳以上、DM)において他の症例と比較して有意な上昇があった。今回検討したのべ回数157回中、100mmHg以下にSBPが低下したの1は21回で、AV圧差の変化率が+20%付近でSBPが低下することが分かった。AV圧差の変化率の上昇を+20%未満にとどめることで、透析中の血圧低下を防ぐことが可能であった。以上より透析中AV圧差を連続モニターすることは臨床上有用であると思われた。
  • 山下 明泰, 崎山 亮一
    1997 年 26 巻 2 号 p. 429-432
    発行日: 1997/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    寒天中に活性炭や酵素を分散させた溶質除去装置を試作し、その溶質除去特性を水溶液で評価した。水道水300mlに寒天粉末を加え、そのままの状態、活性炭8.0gまたはウレアーゼ0.5gを分散させてから、底板に60個の小穴が開いたアクリル管中で固化させた(各々、モジュールA、C、U)。これらの寒天ゲルの長さ方向に、直径3mmの小穴を20個あけ、血液の流路を確保した。クレアチニン、ブロモフェノールブルー(以下BPB)、あるいは尿素の水溶液800mlを疑似体液とし、流量200ml/minで各モジュールの評価を行った。クレアチニンの濃度は、モジュールAを用いると10%程度の低下にとどまったが、モジュールCを用いると8時間に渡って徐々に低下し、最終値に収束した。BPBの場合モジュールCでは、48時間以上に渡る緩徐な除去ができた。またモジュールUにより、尿素の連続分解も可能であった。これらのモジュールと小型濾過器を組み合わせ、携帯型人工腎臓を構築できる可能性が示唆された。
  • 梅田 優
    1997 年 26 巻 2 号 p. 433-438
    発行日: 1997/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    保存期腎機能障害患者および血液透析患者で骨密度(Bone mineral density; bone mineral content/bone width, BMC/BW)を測定し, 重回帰モデルをもちいて回帰式を作成した. 保存期腎機能障害患者ではBMC/BW=0.00108 CCr-0.0011iPTH-0.00143Age+0.6387+C(C=+0.0854男性/-0.0854女性)(CCr; creatinine clearance, iPTH; intact PTH). BMC/BWの実測値と上記式による計算値は相関係数0.8122, 差の平均-0.0002, t=-0.013で有意差は認められずよく一致した. HD患者ではBMC/BW=0.00004Ferritin+0.00315VD3-0.0034Age+0.7768+C(C=+0.0903男性/-0.0903女性)(VD3;1,25VD3)この場合も実測値と計算値の相関係数0.7580, 差の平均-0.0023, t=-0.1542でよく一致した.
    以上から保存期腎機能障害患者および血液透析患者での骨密度の変化が重回帰式で表現された.
  • 信澤 正美, 安藤 亮一, 竹田 篤, 千田 佳子, 井田 隆, 秋葉 隆, 丸茂 文昭
    1997 年 26 巻 2 号 p. 439-442
    発行日: 1997/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    従来、セルローストリアセテート(CTA)膜による血液濾過透析(HDF)には、臨床使用時に経時的劣化等の問題があった。今回改良の加えられたCTA膜(FB-150FH)を用いて血液透析(HD)、10L置換HDF、15L置換HDF時における膜性能について比較検討した。小分子量領域の除去性能は、HDに比べHDFで高い傾向を示し、低分子蛋白領域においてもHDFで有意に除去性能の高値を認めた。HDFでは透水性能と溶質除去性能の経時的な劣化を認めたが、その劣化の程度は僅かであった。これらのことよりFB-150FHは、大量置換のHDFにも応用可能な透析濾過器であると考えられた。
  • 野一色 泰晴
    1997 年 26 巻 2 号 p. 443-454
    発行日: 1997/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    サイトカインを産生できる未分化細胞をもつ組織を組み込む新しい型の人工臓器の概念を提唱した。実例として骨髄をフィブリン長の長いe-PTFE人工血管に播種し成犬に植え込んだ。その結果、骨髄細胞の生着と造血活動の維持、bFGFの産生、毛細血管の新生を伴い、新生内膜が急速に形成されることを実証した。従来の考え方では高度に分化した特殊機能細胞を人工マトリックスと組み合わせ、細胞機能を最大に発揮させる方法を採用していたが、我々の考え方は生体内の有利な環境下でその場に応じたサイトカイン産生、細胞分化を誘導し、人工マトリックス上で意図した高機能器官を形成させるものであり、自分自身を刺激し形成させるためのサイトカインを出すことからオートクリン型人工臓器と名付けていたものをさらに踏み込んで考え方を拡大したものであり、未来型人工臓器のアイデアの一つになると考えている。
  • 松下 琢, 小山 伸吾, 井嶋 博之, 中澤 浩二, 祇園 智信, 調 憲, 島田 光生, 竹中 賢治, 杉町 圭蔵, 船津 和守
    1997 年 26 巻 2 号 p. 455-459
    発行日: 1997/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    初代イヌ肝細胞はポリウレタンフォーム(PUF)孔内で自発的にスフェロイドを形成した。そこで多細管型PUF/スフェロイド培養装置をスケールアップし、イヌ肝細胞を用いたハイブリッド型人工肝臓モジュール(PUF充填体積;300cm3)を開発した。イヌ肝細胞は本モジュール内においてもスフェロイドを形成し、また静置培養と同程度のアルブミン分泌速度が確認された。さらにこの人工肝臓モジュールを含んだ体外循環シス沃みを開発し、温虚血性イヌ肝不全モデルに適用した結果、良好な血中アンモニアの解毒、血糖の維持、血中LDH上昇の抑制が確認された。
    これらの結果は、現在アメリカで肝移植までのブリッジユースとして臨床応用されているマイクロキャリアー付着型単層培養を利用したハイブリッド型人工肝臓の、ほぼ同一条件で行なわれた動物実験の成績と同等かそれを上回るものであり、本人工肝臓の有用性が示唆された。
  • 駒井 喬, 宮本 啓一, 宮下 警一, 鴇田 昌之, 伊藤 貴春, 清水 学, 小林 直之, 坂下 栄治
    1997 年 26 巻 2 号 p. 460-464
    発行日: 1997/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    自己免疫病の患者から除去されるCryogelは、フィブロネクチン(FN)-フィブリノーゲン(Fbg)会合体を、ヘパリン(Hep)が凝集させて形成されるという機構を我々は提案してきた。本研究ではHepのCryogel形成過程での役割を明確にするため、Hep様モデル物質として硫酸化セルロースを用いてゲル形成と硫酸化セルロース構造との関係を検討することを目的とした。in vitroにおけるCryogel形成能は濁度測定により評価した。ゲル形成能を単位硫酸基あたりの濃度で規格化すると、グルコースユニットの6位の炭素に結合している水酸基が硫酸基に置換された試料より、2位の位置が置換されている試料の方がHepに類似した挙動を示すことがわかった。従来、Cryogelを形成させるにはHepが必要とされてきたが、今回Hep様の材料を用いても同様のCryogel形成の効果があることが示された。
  • 宮本 啓一, 下西 祥幸, 宮下 警一, 中村 崇人, 鴇田 昌之, 駒井 喬, 米川 元樹, 川村 明夫, 小林 直之, 坂下 栄治
    1997 年 26 巻 2 号 p. 465-471
    発行日: 1997/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    免疫複合体病患者の血液を冷却した際に生じるCryogelの主な組成は、フィブロネクチン(FN)とフィブリノーゲン(Fbg)そしてヘパリン(Hep)であり、特に高率に細胞性EDA(+)FNを含んでいる。EDA(+)FNは、Cryogel形成の要であると考えられる。本研究ではCryogelを構成する物質間の会合体形成挙動を、光の透過率および動的光散乱の測定により検討した。その結果、Fbgの自己会合体とFN-Fbg会合体をHepとEDA(+)FN間の親和力で凝集させる機構でCryogelを成長させることを明らかにした。特に血漿FNとEDA(+)FNとの濃度比率がCryogel形成の重要であることを明らかにした。更に、HepはFbgの自己会合を阻害し、Hep過剰濃度においてはCfyogelは形成されないことも明らかにした。
  • 内村 英一郎, 宮崎 浩明, 片岡 一則, 岡野 光夫, 桜井 靖久
    1997 年 26 巻 2 号 p. 472-475
    発行日: 1997/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    我々は、糖鎖認識部位であるフェニルボロン酸基を側鎖に有する水溶性ポリアクリルアミド誘導体がリンパ球増殖活性を示すことを明らかとしてきた。しかし、フェニルボロン酸のpKaは8.6付近のため、生理的pH7.4においては、細胞膜上にある糖鎖と結合可能な4価のボロン酸基の数が必ずしも充分ではない。そこで本研究では、この結合能を上げるためにボロン酸ポリマー中にアミノ基を導入した。すなわち、アミノ基をボロン酸基に配位させることにより生理的pH7.4においても糖鎖との安定なコンプレックスを形成させるという概念である。アミノ基含率の異なるボロン酸ポりマーを調製しリンパ球増殖活性評価を行なった。その結果、アミノ基含有ポリマーは、アミノ基のないものに比べて、低い濃度においても活性を示し、その活性化能の増大が観察された。これより『、アミノ基導入による配位効果により効率的にリンパ球の活性化が可能であることが示された。
  • 阿部 一彦, 鈴木 憲, 岡野 光夫, 桜井 靖久, 堀江 俊伸
    1997 年 26 巻 2 号 p. 476-484
    発行日: 1997/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    正常血小板を44℃に1時間浸せきすると、血小板膜糖蛋白(GPs)、特にGPIIb/IIIaの機能がほとんど失われることが知られている。本研究は、ミクロドメイン構造を有するPHEMA-PSt-PHEMA ABA型ブロック共重合体(HSB)表面に対するGP IIb/IIIaの機能を阻害した血小板の粘着に伴う超微形態変化に注目し検討を行った。特に、血小板の透過型電子顕微鏡(TEM)像の画像処理解析による定量的な評価法の確立を目指しながら研究を進めた。ミクロドメイン構造表面に対して、疎水性の均一表面を有するPSt、PHEMA-PStランダム共重合体(HSR)表面を対照群として検討を進めた。粘着血小板のTEM像から、その周囲長、最大長、幅、面積、丸さの度合い、凹凸の度合い、針状の度合い、1μm2当たりの貯蔵顆粒数について解析した。PSt、HSR表面では、正常血小板のとき粘着に伴い大きな超微形態変化が認めらるのに対し、GPIIb/IIIaの機能を阻害した血小板ではその変化は小さくなることが観察された。一方、ミクロドメイン構造表面のHSBでは正常血小板でその超微形態変化が抑制されていたことに加えて、GPIIb/IIIaを阻害しても血小板の粘着変化に影響しないことが確認された。[略語:PHEMA、ポリ(2-ヒドロキシエチルメタクリレート);PSt、ポリスチレン]
  • 阿部 一彦, 鈴木 憲, 岡野 光夫, 桜井 靖久, 堀江 俊伸
    1997 年 26 巻 2 号 p. 485-491
    発行日: 1997/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    親水性と疎水性から成るラメラ状のミクロドメイン幅がそれぞれ80A(N-5、平均分子量:5500)及び160Å(N-4、平均分子量:10600)のPHEMA-PSt-PHEMA ABA型ブロック共重合体(HSB)を調製した。これらの材料表面における粘着血小板の超微形態変化抑制能の程度の違いについて画像処理解析装置(IA)を用いて定量的に評価した。粘着血小板の周囲長、面積、凹凸の度合い、1μm2当たりの血小板貯蔵顆粒数は両者間に有意差は認められなかった。一方、粘着血小板の幅、最大長、丸さの度合い、針状の度合いに有意差が認められた(p<0,05)。これらの結果から、N-5表面はN-4表面に比べて正常血小板の形態である平円盤形をより球状形に移行させることが明らかになった。N-4表面はN-5表面より血小板の活性化を抑制することから、HSBの血小板活性化抑制に最適なラメラ状のミクロドメイン幅は160Å付近にあることが示された。[略語:PHEMA、ポリ(2ーヒドロキシエチルメタクリレート);PSt、ポリスチレン]
  • 古川 克子, 牛田 多加志, 立石 哲也
    1997 年 26 巻 2 号 p. 492-497
    発行日: 1997/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    血管様構造の生体外再構築のためには, 血管を構成する細胞の共存培養系から内皮細胞のみを材料表面へ誘導させることが必要である. そのため, 内皮細胞に特異的にその走化性と増殖能を促進するVEGFの濃度勾配に着目して基礎的な検討を行った. VEGFは内皮細胞の遊走を有意に促進し, 平滑筋細胞の遊走は促進しないことが確かめられた, 内皮細胞と平滑筋細胞を共存培養したところ, 内皮細胞の遊走は強力に抑制され, VEGFの効果も強力に抑制されることがわかった. TGF-βが内皮細胞のVEGFに対する遊走を強く抑制したことから, 共存培養系でもTGF-βが内皮細胞の遊走を抑制している可能性が示唆された. しかしながら, TGF-βの作用を抑えるために抗-TGF-β抗体とプラスミンインヒビターを共存培養系に投与しても内皮細胞の遊走能が回復しないことが見出された. 今後さらに, 内皮細胞と平滑筋細胞の共存培養による内皮細胞の遊走能の抑制のメカニズムを追究することが, 小口径の人工血管の開発に重要であると考えられた.
  • 薗部 太郎, 山家 智之, 小林 信一, 南家 俊介, 静和 彦, 柿沼 義人, 永沼 滋, 片平 美明, 秋保 洋, 坂内 裕和, 仲村 ...
    1997 年 26 巻 2 号 p. 498-503
    発行日: 1997/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    急性冠閉塞の問題に対して、我々は柔軟なドラックデリバリー用PTCAバルーンと抗血栓性接着剤を使用し血管病変部内壁に接着剤の樹脂製ステントを形成させるといった接着剤冠動脈壁局所注入塗布法を考案した.今回は、成山羊の大腿動脈、腎動脈を使用し、接着剤のトンネルの的確な形成のために血管内径とバルーンの外径、接着剤の注入量のバランス関係を究明すると共に、高粘性の接着剤も使用して検討を行った。血管内径/バルーン外径比Rがややバルーンオーバーサイズの特定範囲にあるときトンネル形成成功例が多かった。成功例で接着剤注入量が接着剤注入時の血管の伸展度に依存している可能性と、トンネル形成の成否に接着剤注入量がほとんど関係しないRの領域が、バルーンオーバーサイズ、アンダーサイズの両方にある可能性が判明した。また、粘度の高い接着剤の場合、接着剤のデリバリーが困難であり、カテーテルの改良が必要であると考えられた。
  • 今泉 均, 佐藤 公一, 明田 克之, 佐藤 守仁, 吉田 正志, 七戸 康夫, 浦 信行, 金子 正光
    1997 年 26 巻 2 号 p. 504-507
    発行日: 1997/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    高ビリルビン血症患者に対して, ポリスチレン系多孔性陰イオン交換樹脂を用いたビリルビン吸着筒(メディソーバBLR, クラレ社製)による血漿灌流(流量:25ml/min)を, 総ビリルビン(T-Bil)の吸着率が30%以下になるまで施行し, 11回のビリルビンと胆汁酸の吸着率を経時的に検討した.
    血漿灌流施行前のT-Bilは6~19mg/dl(12.3±5.3mg/dl)で, 直接ビリルビン(D-Bil)は6.3±2.2mg/dl, 間接ビリルビン(ID-BiDは6.0±2.1mg/dlであった. 血漿灌流施行時間は7~18時間(13.6±3.3時間)であり, 血漿灌流開始7時間後の吸着率は, T-Bilで45±7%, D-Bilは38±7%, ID-Bilは54±11%, 胆汁酸は60±8%であった. 血漿灌流後に血小板の有意な減少を認めなかったが, フィブリノーゲン(Fbg)は有意に減少した.
    血漿灌流開始7時間程度までは30%以上のBil吸着が可能であるが, Fbgの低下など止血・凝固系の変化に注意が必要である.
  • 岡崎 正之, 大前 博昭
    1997 年 26 巻 2 号 p. 508-512
    発行日: 1997/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    人工歯根膜用素材としてのコラーゲン単体膜および炭酸アパタイト・コラーゲン複合体膜との積層膜を試作した。SEM観察では両単体膜・複合体膜の間に良好な接合が認められだ。UV照射した積層膜は、生理食塩水中(37℃、一ヶ月)で不溶性を保持し、炭酸アパタイト67wt%含有試料は最大の引張強度を示した。また、不溶化の程度は4hr-UV照射で最大となった。ラット腹部皮下に埋入2週間後の所見ではきわだった炎症反応は認められず、生体親和性は良好で軟組織と積層膜間に新たなる結合組織様生成物が認められた。さらに家兎脛骨骨膜下においても良好な生体親和性を示した。この積層膜は、歯根膜欠損部の修復のみならず、広く軟・硬組織への代替材料としての応用が期待される。
  • 土生 拓史, 金森 敏幸, 酒井 清孝
    1997 年 26 巻 2 号 p. 513-518
    発行日: 1997/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    Type Iアテロコラーゲンをグルタルアルデヒドで架橋したコラーゲンゲル平膜について、様々な分子量の溶質の透過性を調べた。現行の透析膜と比較すると、アルブミンが両者でほぼ同等に阻止されているのに対し、他の溶質ではコラーゲンゲル平膜が遥かに優れた溶質透過性を示し、コラーゲンゲルは透析膜として理想的な溶質透過性を持つことがわかった。そこでコラーゲンゲルの強度の増大および薄膜化を図るために、コラーゲン溶液を血漿分離膜により濾過することにより、その細孔にコラーゲンゲルを充填した複合膜を作製した。走査型電子顕微鏡による観察、閉塞濾過式および迷宮細孔モデルでの解析により、細孔内へのゲルの充填状態を検討した。充填膜の細孔内にはコラーゲン溶液より作製したゲル平膜と溶質透過性が同等である薄層のゲル充填層が存在することが確認され、本研究で用いた充填法の妥当性が示唆された。
  • 伊藤 穂高, 植木 貴之, 妙中 敦, 長崎 幸夫, 片岡 一則, 加藤 政雄, 鶴田 禎二, 鈴木 憲, 岡野 光夫, 桜井 靖久
    1997 年 26 巻 2 号 p. 519-523
    発行日: 1997/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    高い血液適合性とガス透過性を併せ持つ材料創出を目的として疎水部に有機ケイ素を有するHEMA-スチレン誘導体ブロックポリマーの合成を行った。このように有機ケイ素を有するセグメントをポリHEMAに導入することにより、ガス交換能だけでなく、その血液適合性も飛躍的に向上した。例えば、ポリHEMAに疎水性セグメントとしてポリ[4-ビス(トリメチルシリル)メチルスチレン](ポリBSMS)を10モル%導入(BH(10))したブロックポリマーは、疎水性セグメントの導入にもかかわらずその膨潤度がポリHEMAの2倍にも達した。さらに、その血小板との接触試験において吸着性及びカルシウムイオン放出試験の両者とも、ポリHEMAと比較して極めて良好な結果であった。これらの結果はBH(10)のミセル状構造に基づく高含水性ポリHEMA鎖が血液成分に対して極めて高い親和性を発揮したためと考えられる。
  • 冨澤 康子, 高梨 吉則, 野一色 泰晴, 今井 康晴, 小柳 仁
    1997 年 26 巻 2 号 p. 524-528
    発行日: 1997/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    小児に使用された小口径人工血管が評価されることは希であるが、大人の閉塞性動脈硬化症患者に用いられた人工血管の変化と異なることに注目し形態学的に検討した。先天性心疾患で姑息的シャント術を受けた症例の根治術時に6症例8本の人工血管の一部を採取し組織学的に比較検討した。2種類はePTFE人工血管4本と布製人工血管4本で、摘出時年齢は4.2歳、植え込み期闇は11ヶ月から5年7ヶ月、平均3.5ヶ月であった。摘出時に全ての人工血管は開存していた。ePTFE人工血管は血栓形成、内膜肥厚、壁の石灰化、組織の易剥離性が観察され、壁内にはマクロファージのみ存在し線維芽細胞や毛細血管は認められなかった。布製人工血管は内膜は厚く、異型虚細胞が散在していたが、壁を貫通する血管新生が観察され、これは内面の内皮細胞による被覆の可能性を示していた。人工血管の内皮細胞被覆の機序および石灰化の機序を解明する上でも興味深い結果であった。
  • 池 修, 玄 丞恷, 筏 義人, 清水 慶彦, 和田 洋巳, 人見 滋樹
    1997 年 26 巻 2 号 p. 529-533
    発行日: 1997/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    Poly glycolic acid-L-lactic acidを用いて生体内吸収性シスプラチン徐放性マイクロスフェア(CDDPMS)を作製した。CDDP-MSはin vitroでは約3週間かかって全てのCDDPを一定の放出率で徐放した。CDDP-MSによる癌性胸膜炎の治療を行い、血液中、胸水中のCDDPを定量した。CDDP-MS投与後、2週目までの血液中に、また、ドレーン抜去時の最長8日目までの胸水中にCDDPが定量された。CDDP-MS投与後の血液中のCDDP濃度はCDDP溶液投与例に比べて低値であり、全身的な副作用の軽減に寄与したと考えられた。CDDP-MS投与後に胸水中に排出されたCDDPの総量は全投与量の1%以下であり、胸水の細胞診の陰性化例もあった。CDDP-MS投与にはhydrationを必要とせず、ドレーン抜去までの期間は, CDDP溶液投与に比べて短期間であった。癌性胸水の制御にはCDDP-MSはCDDP溶液よりも有効であり、患者のQOLの改善に寄与した。
  • 嘉悦 勲, 内田 熊男, 塩見 隆史, 宮本 正章, 保木 昌徳, 大柳 治正, 須谷 康一
    1997 年 26 巻 2 号 p. 534-538
    発行日: 1997/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    エチオニンおよびリポポリサッカライドをアクリレートモノマーと混合し、光重合によってタブレット状に成形したもの、同じ薬物をポリ乳酸と混合し溶融成形したものをDDS (Drug Delivery System)試料とし、それぞれ膵炎および敗血症のモデル動物育成を目的としてラット腹腔内に埋入した。1ヶ月後、徐放性エチオニン試料を投与したラットでは、炎症組織所見やα-アミラーゼの血中濃度の増加が認められ、膵炎の初期段階の症状が認められた。また、徐放性リポポリサッカライドのDDS試料を投与したラットでは、投与後まもなく体温の上昇が認められ、TNF(Tumor Necrosis Factor)の血中濃度が上昇して1時間後にピークに達したのち低下し、約24時間後に再び上昇して再度ピーク値を示すことがわかった。これは、再度にわたるサイトカインの増加によって重要臓器が障害を受けるとするSIRS (Systemic Inflammatory Response Syndrome)の二段階攻撃機構説を支持する結果と考えられる。
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