人工臓器
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血液循環の無拍動流化に対する急性期の全身酸素代謝の変化―とくに血中ノルアドレナリン濃度との関係について
巽 英介宮崎 幸治戸田 宏一妙中 義之中谷 武嗣馬場 雄造増澤 徹脇坂 佳成江屋 一洋西村 隆武輪 能明大野 孝高野 久輝
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1997 年 26 巻 2 号 p. 327-332

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抄録

体循環の無拍動流化後の急性期の全身酸素代謝の変化を、交感神経活動を反映すると考えられる血中ノルアドレナリン濃度(NAD)との関係に着目して検討した。成山羊10頭を用い、全身麻酔、開胸下に拍動流ポンプと無拍動流ポンプを並列に接続した左心バイパス回路を装着し、100%バイパス下で体循環を瞬時に無拍動流化した。無拍動流化にともなってNADの増加、全身酸素消費量(VO2)の減少、酸素摂取率(ExO2)の低下、および静脈血酸素飽和度(SvO2)の上昇を認めた。また、血中乳酸値も有意に増加した。拍動流時、無拍動流時ともにNADはVO2およびExO2と正の相関を示し、同じVO2およびExO2レベルでは無拍動流循環時でより低値を示した。以上より、全身麻酔、開胸下の急性実験では、無拍動流化後急性期に全身酸素代謝効率が低下し、同時に観察される交感神経系の緊張は、無拍動流化にともなって生じる血流/酸素代謝不均衡に対する生体反応として引き起こされている可能性が示唆された。

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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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