人工臓器
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アプロチニン投与体外循環の出血量減少効果と凝固線溶系に対する効果
大島 永久木山 宏秦 一剋今関 隆雄山田 崇之
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1997 年 26 巻 2 号 p. 345-348

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抄録
開心術における出血量減少, 輸血節減のためのアプロチニンの投与が普及してきたが至適投与量, 投与時期は確立されていない。体外循環中200万単位(100万単位体外循環充填, 10,000単位/分持続点滴)のアプロチニン投与が出血量減少や輸血量の節減に有効かどうかをアプロチニン投与群(AP(+)群)40例, 非投与群(AP(-)群)36例で出血量, 無輸血率について, 9例ずつのsubgroupでアプロチニンの凝固線溶系(ACT, Fbg, AT III, TAT, FDP, Dダイマー, PIC)に対する効果について検討した。術後15時間ドレーン出血量は439ml, 297mlとAP(+)群が少なく, 無輸血率も83%, 61%とAP(+)群で高かった。凝固系ではTATは2群ともにCPB中著増したが差はなく, 線溶系のDダイマー, PICはAP(+)群が低値であった。体外循環中アプロチニン投与は出血量減少効果があり, この効果は体外循環時の凝固亢進に引き続く線溶元進の抑制によると考えられた。
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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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