人工臓器
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開心術においてヘパリンコーテイングは有用か
―待機的冠状動脈バイパス手術における臨床的検討―
浜田 良宏河内 寛治中田 達広山本 哲也加洲 保明門田 稔
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1998 年 27 巻 1 号 p. 129-134

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抄録
人工肺および人工心肺回路のヘパリンコーテイング(H群)が臓器障害予防に役立つか, 待機的冠状動脈バイパス手術において, コーティングしていない群(N群)と心, 肝, 腎, 肺の各臓器機能を比較検討した. 心機能では, 心係数左室仕事量係数ともに差はなかった. 肝機能として, T. Bil, GPT, H)H値に差はなかった. 腎機能としての血清クレアチニン値, 尿量, クレアチニンクリアランス, 自由水クリアランスに差はなかった. 呼吸機能は, 肺胞動脈血酸素分圧較差, 呼吸指数ともに差がなかった. 肺内シャント率は手術終了直後, H群が有意に低かった(H群, 17.4±4.8%: N群, 23.6±4.5%). 挿管時間, ICU滞在日数, CRP, 白血球数にも有意差は無く, 臨床経過上差はなかった. ヘパリンコーテイングは術前の呼吸機能低下例で, 人工心肺後呼吸機能障害予防に有用となる可能性があると考えられた.
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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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