人工臓器
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27 巻, 1 号
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  • 三田村 好矩
    1998 年 27 巻 1 号 p. 1
    発行日: 1998/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
  • 原 茂子
    1998 年 27 巻 1 号 p. 2
    発行日: 1998/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
  • 遠藤 誠子, 増澤 徹, 巽英 介, 妙中 義之, 中谷 武嗣, 大野 孝, 脇坂 佳成, 西村 隆, 武輪 能明, 中村 真人, 瀧浦 晃 ...
    1998 年 27 巻 1 号 p. 3-7
    発行日: 1998/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    当施設で開発中の電気油圧駆動方式全人工心臓(EH-TAH)は, アクチュエータが油圧オイルを移動させることにより血液ポンプを交互駆動する。アクチュエータで発生する熱は表面から周囲へ放散する一方, 油圧オイルを介しダイアフラムから血液側にも放散する。本研究では, EH-TAHの放熱特性についてIn vitroおよびIn vivo実験にて評価した。In vitro実験では, 生理食塩水を満たした閉鎖模擬回路で入力電力20Wで駆動した時, アクチュエータで発生した熱は, TAH表面と血液室にほぼ同等に放散していると見積もられた。In vivo実験では, 体重62kgの牛の胸腔内にEH-TAHを埋め込み, 10日間駆動した。組織との接触面の温度は39~41℃であり, 組織学的にはデバイスに接した肺と胸膜に壊死などの悪影響の所見は認めなかった. 通常使用域では本デバイスの温度上昇は許容範囲内である可能性が示された
  • 堀 由美子, 中谷 武嗣, 笹子 佳門
    1998 年 27 巻 1 号 p. 8-12
    発行日: 1998/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    補助人工心臓(VAS)装着患者に対するリハビリテーション(リハビリ)は, 身体活動性を向上する上で重要である。我々はVAS装着中及び離脱後のリハビリプログラムを作成し, VAS装着患者のリハビリについて検討した。対象は1994年より国循型左房脱血方式VASを適用した5例である。VAS装着中リハビリは, 4段階(ベッド上, 端坐位・立位, 100m歩行, 自転車漕ぎ)とし, 各段階で負荷試験を行い, 判定基準をクリアすれば次の段階へ進めた。VAS離脱後リハビリは, 7段階(ベッド上, 立位・室内歩行, 50m歩行, 200m歩行, 500m歩行, マスター1/2, マスターシングル)で行った。VAS装着中リハビリは, 4段階で行ったが有用であった。リハビリは, 早期より開始したが問題なかった。また, VAS装着前に肝機能障害を生じた患者は装着後肝機能の改善に1ヶ月を用紙, リハビリ開始が遅延した。VAS離脱後リハビリは7段階的で行ったが, 50m歩行負荷までの段階は, 心拍数の増加・心不全症状に注意し慎重に進めることが重要である
  • 西原 有香, 水上 ちえみ
    1998 年 27 巻 1 号 p. 13-16
    発行日: 1998/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    重症心不全患者において全身状態の改善に対する補助人工心臓(VAS)の有効性は確立されているが, 適応患者における精神的動揺に対するケアは確立されていない1). 今回, 心臓移植適応患者でVAS装着を行った成人男子患者2名の心理面の評価と装着における精神的動揺の評価を行った. 対象患者に対し, 東大式エゴグラムを用いての自我状態の評価を行い, 不安の定量的評価をSTAIを用いて行った.また心の健康の指標となるうつ状態の変化をSDSを用いて行った. その結果, 潜在する不安に対しては, 自我状態による特徴と考えられる行動パターンをとり, それぞれの不安が自己で処理されていた. これによりVAS適応患者に対し自我状態の判定を行い, 不安の存在を理解しVAS装着下における精神的ケアに応用することの重要性が示唆された
  • 上薗 恵子, 山口 陽子, 水上 ちえみ
    1998 年 27 巻 1 号 p. 17-19
    発行日: 1998/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    全身状態の悪化した心臓移植適応患者において補助人工心臓(VAS)装着は身体面の改善に有効であるが, 装着患者のQOLは必ずしも満足すべきものではない。当施設では現在までに心臓移植適応の5例にVAS装着を行った。今回VAS装着により心機能の回復を認め, VASより離脱できた2例のうち, 最近の1例において, QOLの身体的側面と心理社会的側面をSIPで, さらに心の健康の指標となる抑うつの評価をSDSを用いて行った。その結果, 身体的側面はVAS装着により衝撃は増大するが, ADL拡大に伴い軽減し, VAS離脱後も全身状態が安定していたことにより衝撃はさらに軽減した。心理社会的側面においては, VAS装着からADL拡大まで身体的側面と同様の変化を示したが, VASが長期化すれば再び衝撃は増加していく傾向にある事がわかった。SDSにおいては, 本症例ではVAS装着・離脱での影響を認めなかった
  • 北村 昌也, 上部 一彦, 八巻 文貴, 中野 秀昭, 川合 明彦, 青見 茂之, 八田 光弘, 西田 博, 遠藤 真弘, 小柳 仁
    1998 年 27 巻 1 号 p. 20-24
    発行日: 1998/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    開心術後の心不全に対するZeon社製LVAS5例と拡張型心筋症の急性増悪に対するNovacor社製LVASによる心臓移植へのブリッジ1例において, 術後各時期の至適な駆動制御法と心機能の回復, 臨床経過, 合併症などを検討した。Zeom LVASでは全例にIABP補助が行われており, LVAS装着後, ポンプの駆出を自己心の拡張早期に, IABPの膨張・収縮を拡張後期に同期させて行った。5例中3例でLVAS離脱に成功し, うち2例が退院した。LVAS駆動中2例に多臓器不全, 1例に感染を認めた。
    Novacor LVASでは主にfill rate trigger駆動が適応され, 各パラメーターの微調整により自己心の拡張期に同期する制御が行われた。約6ヵ月のブリッジ期間中に心エコーによる左室機能の部分的回復が認められ, 退院後に通常の生活が可能であった。以上の結果から自己心の拡張期に同期するLVASの駆動制御法は, 全身循環および心室機能の回復に有用と思われた
  • 中村 真人, 巽 英介, 増澤 徹, 大野 孝, 妙中 義之, 瀧浦 晃基, 孫 領相, 遠藤 誠子, 西村 隆, 武輪 能明, 脇坂 佳成 ...
    1998 年 27 巻 1 号 p. 25-30
    発行日: 1998/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    全人工心臓(TAH)埋め込み後早期の循環血液量(CBV)とCBV調節に関係する液性因子の変動を、仔牛4頭を用いた慢性動物実験により検討した。正常対照1頭と電気油圧型または空気駆動型TAHの埋め込みを行った3頭を対象に、CBVとANP、ADH、血漿レニン活性、アンギオテンシン-I、IIを測定した。TAH埋め込み動物では術後4、8日目のCBVは、術前の111~155%へと増加していた。ANPはTAH装着による低下を示さず、ADHも1頭で術後2日目に一過性の上昇を認めた以外はほぼ正常範囲で経過し、ANPとADHの変化が直接CBVを増加させた可能性は低い。一方、TAHを埋め込んだ2頭においてレニン-アンギオテンシン系の亢進がみられ、CBV増加と関連していた可能性が示唆されたが、TAH埋め込みに共通した変化とはいえなかった。以上より、TAH装着後早期からCBVは増加するが、これらの因子が直接原因となっている可能性は低いと考えられた
  • 巽 英介, 中村 真人, 増澤 徹, 妙中 義之, 孫 領相, 中田 雅子, 大野 孝, 遠藤 誠子, 西村 隆, 武輪 能明, 中谷 武嗣 ...
    1998 年 27 巻 1 号 p. 31-36
    発行日: 1998/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    電気油圧駆動方式全人工心臓(EHTAH)の心房間シャント(IAS)の左右差代償能力を評価した。閉鎖型模擬回路を用いたin vitro評価では、気管支動脈流量の増加に伴って心房間圧較差も増大し、その程度はサイズの小さいIASほど顕著であった。径4.4mm以上のIASでは5%までの気管支動脈血流において許容できる心房間圧較差であった。シャント流量波形上観察された右→左方向の逆流成分は、心嚢膜で形成した一方向弁を取り付けたIASではほぼ完全に消失した。慢性動物実験によるin vivo評価では、体重62kgの仔牛にEHTAHを埋込み、径4.5mmのIAS(弁なし)を形成して10日間駆動した。実験期間中の心房間圧較差は4±1mmHgで安定して推移し、広い範囲の心房圧に対して動的な左右差の代償を行い得た。剖検時にIASの内部や周辺に血栓形成を認めず、良好な開存状態を示した。以上より、IASはEHTAHシステムの左右差を代償するための基本的能力を有することが示された
  • 飯島 達彦, 稲本 太郎, 羽藤 栄記, 結城 明, 野川 雅道, 箕輪 隆, 三浦 正道, 島崎 靖久, 高谷 節雄
    1998 年 27 巻 1 号 p. 37-40
    発行日: 1998/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    現在、埋め込み型補助人工心臓として連続流ポンプが拍動流ポンプよりも利用されるようになってきた。
    しかし、連続流ポンプではモータの回転数が低ければ血流の逆流を起こし、高ければ心室内での狭窄現象をおこすため、回転数の制御が重要な課題となる。本研究ではまず遠心ポンプを模擬回路で評価した。その結果バイパス流量波形は遠心ポンプのモータ駆動電流波形と低周波範囲でよく相関していることが示された。
    またモータ電流波形の周波数解析から、基本周波数割る高調波成分で示す比率(ひずみ率)が狭窄発生時に減少する事が示された。この結果は成山羊での実験でも証明された。適切な補助流量は狭窄が起る回転数よりやや低い値に設定することで得ることができる。さらに、両心補助型模擬回路において我々は上記の方法を利用して左心補助ポンプのモータ電流により左房圧の変化を推測、右心補助ポンプの回転数を制御し、狭窄を抑えることができた
  • ―駆動制御方式の検討―
    稲本 太郎, 飯島 達彦, 本田 敦久, 三田 地宙, 野川 雅道, 箕輪 隆, 三浦 正道, 島崎 靖久, 高谷 節雄
    1998 年 27 巻 1 号 p. 41-45
    発行日: 1998/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    日本では、信頼性の高い完全置換型人工心臓と補助人工心臓はまだ完成されていないという現状を踏まえて、我々は体重60Kgの成人に使用することを念頭に人工心臓の試作および制御方法の検討を行った。我々はスターリングの法則に基づいて制御した場合の人工心臓駆動効率の向上を目指して、当研究室で開発した人工心臓を3種類の駆動波形を用いて駆動し、効率を測定した。その結果、電圧一定の方形波で駆動した場合が最も効率がよいことが明らかになった。スターリングの法則に基づいた制御は安静時には有効であるが、酸素消費量が急激に変化する場合には2次的な制御を行う必要があると思われる。そこで、血中酸素飽和度の変動や、心拍変動から自律神経系の情報を取得し、その情報を人工心臓の制御に応用するために検討を行った。その結果、SvO2の変動をもとに、酸素消費量が急激に変化する場合にも対応できるように人工心臓を制御することが可能であるという結論に達した。さらに心拍変動の時系列データを解析することで得られた自律神経系の情報をもとに人工心臓を制御することも可能であるという結論に達した
  • 岡本 英治, 嶋中 瑞樹, 三田村 好矩
    1998 年 27 巻 1 号 p. 46-51
    発行日: 1998/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    簡易型携帯電話(PHS)を利用し, 体内埋込み型人工心臓装着患者の遠隔管理システムの開発を行った. 体内埋込み型人工心臓装着患者は, 体内の駆動制御装置と通信回線がつながった小型コンピュータを携帯する. 患者携帯コンピュータにはPHSを接続し, 病院内に設置するホストコンピュータと双方向データ伝送を行う. ホスト側から体内駆動制御装置へのコマンドコードは32bits, 駆動制御装置からホスト側へのデータ(モータ電流, モータ回転角度)を8bitsとした. PHSによるデータ伝送では, ホスト側でのデータの誤り判断のためデータのフレーム化処理後伝送し, ホスト側で誤り検出時には再送請求により誤り訂正処理を行う. 伝送されたデータは, ホスト側でリアルタイムの波形として表示される. 屋内にて伝送実験を行った結果, PHS電波状態が悪い状況でも, 通信速度9600bpsでデータ伝送を行えることを確認した
  • ―第2世代から第4世代へ―
    末田 泰二郎, 季白 雅文, 渡橋 和政, 平井 伸司, 松浦 雄一郎
    1998 年 27 巻 1 号 p. 52-55
    発行日: 1998/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    第2世代のCPI社製Ventak P1600、第3世代のCPI社製Ventak PRXII、Medtronic社製PCD、第4世代のCPI社製Ventak miniおよびMedtronic社製Jewel Plus PCDの5種類のAICDの機能、植え込み手技の問題点を検討した。現在使用可能な第2世代のCPI社製Ventak P1600は除細動機能しかなく、心室頻拍への抗頻拍ペーシングができない。またAICD本体が大きく、腹部への植え込みを要する。第3世代のPCDは経静脈リードを2本挿入する必要があり、かつ皮下パッチも要する症例が50%ある。また本体が大きく、腹部植え込みを要する。植え込み手技も若干の工夫を要し、除細動の効率にも問題がある。第4世代のAICDは1本の経静脈リードの挿入で除細動、抗頻拍ペーシングが可能で、かつ胸部皮下に植え込み可能である。第4世代AICDの使用許可が早期に望まれる。
  • 尾本 正, 四津 良平, 申 範圭, 又吉 徹, 三丸 敦洋, 井上 仁人, 長 泰則, 茂呂 勝美, 加島 一郎, 中尾 佳永, 堤 浩二 ...
    1998 年 27 巻 1 号 p. 56-58
    発行日: 1998/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    当施設で施行した高齢者(65歳以上)に対するMICSの手術成績について検討を行った。対象は96年12月より97年8月までに施行した65歳以上のMICS症例5例で内訳は、僧房弁置換術2例、僧房弁形成術1例、左房粘液腫腫瘍摘出術1例、大動脈弁置換術1例であった。全例に対し術前に自己貯血を行った。胸部切開線は7~10cmであった。大動脈遮断時間は127±29分で人工心肺灌流時間は240±49分であった。輸血は2名に対して行い、術後合併症、手術死亡、遠隔期死亡を認めず、平均術後在院日数は20±7日であった。手術に際しては、MICS用開胸器、MICS用人工心肺回路、IVC用デシャン、体外式除細動パッド、胸骨リトラクター、経食道エコー等工学的支援を必要とした。高齢化社会をむかえた現在、MICSの導入によって、術後疼痛からくる肉体的精神的負担の軽減、入院期間の短期化による経済的負担の軽減等が期待される。
  • 穴井 博文, 葉玉 哲生, 荒木 賢二, 押川 満雄, 森 義顕, 重光 修, 宮本 伸二, 迫 秀則, 添田 徹, 吉松 俊英, 和田 朋 ...
    1998 年 27 巻 1 号 p. 59-62
    発行日: 1998/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    遠心, 斜流, 軸流ポンプの3種のターボポンプの溶血特性を比較検討した。各ポンプともインペラ最大径20mm, 同一設計点で設計, 試作した。閉鎖型模擬循環回路で, 様々な駆動点にで, 溶血試験を行った。各駆動点における単位時間のヘモグロビン遊離量(ΔfHb)を計測し, Δf-Hbとポンプの外的仕事率, 回転数および総合効率との関係を検討した。遠心ポンプでは, Δf-Hbはポンプの外的仕事率に比例した。斜流ポンプでのΔf-Hbは, ポンプの外的仕事率が1W以下では, ポンプの外的仕事率および回転数の増加に伴い増加するが, 1W以上では外的仕事率および回転数の増加に伴い減少した。軸流ポンプでは, 2群に分かれ, それぞれの群でΔf-Hbはポンプの外的仕事率に比例した。遠心および軸流ポンプでは, Δf-Hbは回転数に比例する傾向を示した。
  • Yukio OHASHI, Eiki TAYAMA, Don B. OLSEN, Robert BENKOWSKI, Deborah MOR ...
    1998 年 27 巻 1 号 p. 63-67
    発行日: 1998/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    心臓移植手術までのブリッジ使用を目的に、軸流ポンプ型補助心臓DeBakeyVADの研究開発がBaylor医科大学で行われている。In-vitroでの基本性能、ex-vivoでの抗血栓性の評価を終え、現在長期植え込み実験が進行中である。97年8月までに100kg前後の子牛を用いて6例の実験が行われた。ポンプ流入部は左室心尖部から挿入され、流出部は下行大動脈に縫合された。ポンプ本体は胸腔内に配置され体外からコントロールされた。実験期間は手術死亡例1例を除いて6から72日。流量はL型Inflow Cannulaを用いた5症例で平均3.5から5.0L/minを得た。遊離Hb値は5.0mg/dl以下、塞栓症はいつれの症例にも認めなっかた。3例でDriving Lineに問題を認めたが、材質変更によって解決された。以上の長期植え込み実験を通して、DeBakey VADが優れた生体適合性と高い信頼性を有する、有望な植え込み型補助人工心臓であることが確認された。
  • 櫻井 一, 前田 正信, 中山 雅人, 竹村 春起, 早川 政史, 杉浦 辰美, 坂本 亮輔, 小山 富生
    1998 年 27 巻 1 号 p. 68-71
    発行日: 1998/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    MAP液添加濃厚赤血球(RC-MAP)とアルブミン液による回路内充填液に対して血液濾過(HF)を行い, これを用いた開心術でHF前後と体外循環(CPB)前後の接触因子の変動を検討した. RC-MAP, HF前, 後, 濾液, CPB前, CPB5, 60分後, CPB終了時の, 高分子kininogen(HMWK), prekallikrein(PK), 血液凝固第XII因子(F XII), bradykinin(BK)を各10検体測定した. 充填血液の希釈や回路との接触により, HMWK, PK, F XIIは消費され大量のBKが産生されていた. しかし, HFによりBKはよく除去されていた. CPB開始後HMWK, PK, F XIIは希釈により低下したが, それ以外はCPB中有意な変化はみられなかった. BKは強い細動脈拡張作用と血管透過性亢進作用を有するため, 血液充填が不可欠な新生児, 乳児期早期の開心術ではとくに, 充填血液に対するHFがCPB開始時の初期血圧低下の防止や術後の浮腫の軽減に有用であると考えられた.
  • 菊川 大樹, 村上 泰治, 遠藤 浩一, 石田 敦久, 田淵 篤, 森田 一郎, 正木 久男, 稲田 洋, 藤原 巍
    1998 年 27 巻 1 号 p. 72-75
    発行日: 1998/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    過去5年間に20例にECMOを行った。男性15例、女性5例、年齢は10~75歳(平均62.5歳)、冠動脈バイパス術9例、弁置換術4例、大動脈瘤グラフト置換術3例、PTCAの補助1例、急性心筋梗塞の循環補助1例、肺切除術後2例であった。ECMOからの離脱は、冠動脈バイパス術9例中2例(22.2%)、弁置換術4例中1例(25.0%)、大動脈瘤グラフト置換術3例中1例(33.3%)、一側肺全切除術後2例中2例(100%)であった。離脱例と非離脱例との間に補助循環時間に有意差はなかった。以上の結果からECMOは循環不全時の補助循環として有用な手段であるが、なかでも呼吸不全による右心不全に対しては高い有効性が望める手段であることが示唆された。
  • 小林 彰, 下川 新二, 牛島 孝, 金城 玉洋, 増田 宏, 久富 光一, 井畔 能文, 渡辺 俊一, 森山 由紀則, 豊平 均, 平 明
    1998 年 27 巻 1 号 p. 76-80
    発行日: 1998/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    体外循環(CPB)下の体血管抵抗(SVR)変動に関与する要因を検討した。対象はSVRに影響する血管作動薬をCPB開始から終了前まで使用せず、その影響を無視しうるとした成人待機的心臓手術34例(CABG15例、弁置換術19例)である。CPB中は直腸温27~30℃で維持し、ポンプ流量はほぼ一定(2.4L/min/m2)とした。SVRの変動に疾患差はなかった。高齢者、糖尿病合併例でSVRはCPB中常に高値を示した。CPB中isofluraneを麻酔維持に使用した群ではCPB中およびCPB終了後もSVRは有意に低下していた。低ヘマトクリット値(25%未満)のままCPBを終了した群ではCPB終了直後のSVRは有意に低下していた。CABG症例ではCPB終了時のSVR低下は体動脈圧低下からバイパスグラフト灌流量の低下につながるため、CPB離脱時に適切な対応が肝要である。
  • 舟久保 昭夫, 福井 康裕, 佐久間 一郎, 樋上 哲哉, 河村 剛史
    1998 年 27 巻 1 号 p. 81-86
    発行日: 1998/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    膜型人工肺は開心術、PCPS、ECMOなど短期から長期に及ぶ呼吸補助・代行に幅広く応用されている。膜型人工肺は、外部灌流型と言う血液を中空糸膜の外側に灌流するタイプのものがその大部分を占めるが、この型の人工肺では血液はハウジング内を自由に流れることができるため、同等の仕様でも設計により性能に差が生じる。しかし、人工肺の設計・開発はtry and errorによるところが多く、実際の人工肺の血液の流れの解析はほとんど行われていない。そこで我々は、実際の人工肺の流れ方に影響を与えると考えられる中空糸膜の集束方法およびハウジング形状に注目し、流れの計測を伝導度の異なる流体と電極を用いることで試みた。また、計測データに基づき3次元表示を行った。その結果、流入部での血液の拡散の仕方が性能に影響を与えることなどが考えられた。本システムの応用により膜型人工肺の性能向上および開発労力が改善できるものと考える。
  • 山崎 武則, 大島 英揮, 碓氷 章彦, 村瀬 允也
    1998 年 27 巻 1 号 p. 87-91
    発行日: 1998/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    ONO-5046は特異的な顆粒球エラスターゼ(以下PMN-E)の阻害剤である。雑種成犬を用いた部分体外循環モデルで肺障害に対するONO-5046の抑制効果を検討した。雑種成犬12頭を用いて体外循環(以下CPB)を非開胸下に1時間(平均流量800ml/min)施行した。その後離脱を行い5時間血行動態を維持した。実験中ONO-5046を持続投与(15mg/kg/h)した群(ONO群:n=6)と投与しなかった対象群(コントロール群:n=6)に分け肺機能、肺水分量、病理組織学的所見、血中PMN-EおよびIL-6の変動について検討した。ONO-5046の使用は肺水分量の増加を軽減し酸素化を改善したが、肺への好中球集積は抑制しなかった。またPMN-E値のみならずIL-6値の上昇も抑制し白血球を取り巻く炎症のネットワークに影響を与えていることが示唆された。CPBに起因する肺障害の予防に対しONO-5046は有用と考えられた。
  • 冨澤 康子, 北村 昌也, 小柳 仁
    1998 年 27 巻 1 号 p. 92-96
    発行日: 1998/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    長期植え込み型人工臓器の体内での変化、宿主に対する影響、相互作用、および遠隔成績を植え込み前の限られた評価から行うことは困難である。最近、臨床から得られるデータを蓄積、解析しフィードバックすることにより使用する機種の選択及び用具の設計に役立てる傾向にある。英国では、全国規模のレジストリーが行われており、今回これらの施設を視察し、訪問先で得た情報より日本における全国規模のインプラントデーターシステム設立の重要性、必要性および可能性につき調査研究を行った。設立に必要な場所、人員、年間予算、センターの選び方、入力、用紙、セキュリティー.フィードバック、プライバシー、法律に関して研究成果を述べる。本邦においても長期植え込み型人工臓器の将来に向けて、長続きする全国規模のレジストリーシステムを設立することが必要な時期となっている。予算、人員およびスベースが限られている日本においても、目的をはっきり持って設立すれば成功すると考える。
  • 三宅 仁
    1998 年 27 巻 1 号 p. 97-102
    発行日: 1998/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    医療・福祉分野における治療・看護・介護の補助に役立っ医用・福祉用ロボット開発や高機能義手の開発の一環として、ヒトの腕の持っ多彩な動作の実現に欠かせない回内・回外運動を実現できるロボットアームシステムの開発を目的とし、具体的にはヒトの前腕部の骨格、筋肉をモデルとして、ドアノブを回すという日常的な動作を行うことを目標とした重量155[g]、全長300[mm]の前腕部回内ロボットアームシステムを作製した。駆動源には人の特性に近いという特徴を持っSMAワイヤを使用した。また、作製したロボットアームシステムが使用目的に適った特性を持っているかどうかを確認するための評価を行った。動作角度、トルク、角速度にっいては、目的とする用途では十分実用的であると考えられる結果が得られた。
  • 壁井 信之, 田代 良一, 土屋 喜一, 坪井 文則, 石塚 宣三, 片山 國正
    1998 年 27 巻 1 号 p. 103-108
    発行日: 1998/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    生体の運動を一次エネルギー源とし, 直線運動で発電できる超小形可変容量型静電発電機を提案し, その可能性を検討した. 発電機構の中心となる可変容量型コンデンサとしてハニカム型を採用し, 静電容量の異なる三種類の可変コンデンサA, B, Cを試作した. Aは3.0~9.3nF, Bは3.5~10.8nF, Cは75~240nFの問で容量を変化させることができる. AとBは静電容量はほぼ同じであるが, 蒸着フィルムの積層方式が異なっている. 実験の結果コンデンサAの発電量は測定不能であったが, コンデンサBでは初期電荷を6Vで供給した場合で8μJ/cycleの値が得られた. さらにコンデンサCでは, 初期電荷を6Vで供給した場合には70μJ/cycleのエネルギーを発生した. コンデンサCを1Hz以上で動作させれば, ペースメーカに十分な電力を安定して供給できることから, この方式の実用化の可能性があることが分かった.
  • 田中 三津子, 川村 明夫, 玉置 透, 此枝 義記, 高橋 昌宏, 久木田 和丘, 目黒 順一, 米川 元樹, 澤本 雅昭, 坂下 栄治
    1998 年 27 巻 1 号 p. 109-112
    発行日: 1998/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    臨床に準じたラットの反復体外灌流モデルとして, silastic tubeとpolypropylene connectorを用いて頚部に右総頚動脈から左外頚静脈に流入する外シャントを作成した。シャント流量は15-20ml/minで, 外シャント作成による血液凝固系への影響はみられなかった。外シャントの開存日数は, コネクターを装着しない場合は平均5.75日, 最長9日であったが, コネクターを接続した場合はヘパリンを毎日投与したにもかかわらず平均3.60日に短縮され, その原因としてコネクター接続部分の血栓形成が考えられた。3回の反復体外灌流を行った群では平均7.50日, 最長10日であった。silastic tubeは柔軟性に富み溌水性が高く外シャントチューブとして適していると考えられたが, さらに長期間の開存を得るために抗凝固剤の使用方法, 材料の抗血栓性, とくにコネクターの形状, 材質を改良することが最も重要であると考えられた。
  • 村上 厚文, 饗場 正宏, 村田 升, 山田 眞, 道端 哲郎, 井上 恒一, 高場 利博
    1998 年 27 巻 1 号 p. 113-117
    発行日: 1998/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    テルモ社製ヘパリンコーティング(共有結合型)回路が生体反応を抑制し、生体適合性向上にどのように寄与しているか検討を行った。対象はヘパリンコーティング回路使用群9例(H群)、従来型9例(C群)である。測定項目はC3a, C4a, 顆粒球エラスターゼ, IL-6, IL-8, TNF, TAT, FPA, fibrinogen AT-III, D-dimer, α2-PI, 腎機能, 肝機能である。術前、体外循環(CPB)開始後60分(A2)、CPB終了直後(AF)、CPB終了後24時間、術後3日の5ポイントで測定した。両群間でいつれの項目においても統計学的有意差(P<0.05)は認められなかった。しかしIL-6, C3aとこれらに関連した顆粒球エラスターゼがH群において反応が軽度にとどまる傾向を認めた。またD-dimerのピーク値はC群でAFだったのに対しH群は遅れて24Hであった。ヘパリンコーティング回路は生体適合性向上に寄与していると考えられるが、臨床的臓器障害の評価方法は検討の余地があると考えられた。
  • 半田 伸子, 安田 利貴, 舟久保 昭夫, 福井 康裕
    1998 年 27 巻 1 号 p. 118-123
    発行日: 1998/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    体外循環中の血液は, 血液回路, 人工臓器など様々な形状を持つ流路内を循環するため, その際に生じる血液への負荷により, 溶血を生じさせると考えられる. この溶血を生じさせる直接的な要因は, 表面粗さ, せん断速度, 圧力, 温度などの物理的因子であると考え, 我々は, これら物理的因子の単独による溶血への影響について牛血を用い検討を行った. その結果, 表面粗さ, せん断速度, 圧力, 温度の各因子単独では溶血への影響はわずかであり各因子を複合させることによる相乗効果が溶血へ影響を及ぼすことが確認された. 特に, 従来溶血が生ずるとされていたせん断速度である1500s-1を付加した際に, 圧力, 温度の影響がより大きく現れた. 溶血を生じさせる要因は, 他にも衝撃的な力などが考えられるが, 体外循環回路内の血液の流れ方を考慮し, そこで生じる物理的因子の大きさが判れば溶血を減少させることも可能になると考えられた.
  • 大門 敏也, 藤原 功一, 田仲 紀陽, 阿部 富彌
    1998 年 27 巻 1 号 p. 124-128
    発行日: 1998/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    平成6年11月から平成9年8月までの2年9ヶ月間にわたり、血液透析装置配管系の洗浄消毒に電解強酸性水を継続使用し、次亜塩素酸Naや弱酸性水ライン等と比較し有用性の検討を行ってきた。今回、電解強酸性水の長期使用における、洗浄消毒効果と透析配管部品への影響等を検討した。電解強酸性水使用ラインは2年9ヶ月間の使用においても他のラインに比べ、殺菌効果を高く維持し良好な結果であった。また電解強酸性水浸漬試験においてSUS 316金属に微量の鉄イオンの溶出を認めたが、腐食量としては0.01mm/year以下で問題となるレベルではなかった。樹脂製品の劣化は軽度に認められたが大きな問題点もなく安全に使用できた。電解強酸性水の有用面においては、殺菌効果、およびエンドトキシンの不活化作用、さらに使用特性からみても人体、環境に対する安全性が高く血液透析装置配管系の洗浄消毒剤として有用であった。
  • ―待機的冠状動脈バイパス手術における臨床的検討―
    浜田 良宏, 河内 寛治, 中田 達広, 山本 哲也, 加洲 保明, 門田 稔
    1998 年 27 巻 1 号 p. 129-134
    発行日: 1998/02/15
    公開日: 2011/12/02
    ジャーナル フリー
    人工肺および人工心肺回路のヘパリンコーテイング(H群)が臓器障害予防に役立つか, 待機的冠状動脈バイパス手術において, コーティングしていない群(N群)と心, 肝, 腎, 肺の各臓器機能を比較検討した. 心機能では, 心係数左室仕事量係数ともに差はなかった. 肝機能として, T. Bil, GPT, H)H値に差はなかった. 腎機能としての血清クレアチニン値, 尿量, クレアチニンクリアランス, 自由水クリアランスに差はなかった. 呼吸機能は, 肺胞動脈血酸素分圧較差, 呼吸指数ともに差がなかった. 肺内シャント率は手術終了直後, H群が有意に低かった(H群, 17.4±4.8%: N群, 23.6±4.5%). 挿管時間, ICU滞在日数, CRP, 白血球数にも有意差は無く, 臨床経過上差はなかった. ヘパリンコーテイングは術前の呼吸機能低下例で, 人工心肺後呼吸機能障害予防に有用となる可能性があると考えられた.
  • 市川 由紀夫, 梶原 博一, 浜田 俊之, 山崎 一也, 森 琢磨, 佐藤 順
    1998 年 27 巻 1 号 p. 135-139
    発行日: 1998/02/15
    公開日: 2011/12/02
    ジャーナル フリー
    CABG症例でヘパリンコーティング回路50例をH群、非ヘパリンコーティング回路50例をN群としヘパリンコーティング回路の有用性を検討した。ヘパリンはH群1mg/kg, N群3mg/kgを初期量とし、ACTが、300秒,400秒以上を保つよう追加した。H群、N群で手術時間、ドレーンの出血星と抜去日数、輸血量、赤1血球、Ht、Hb、血小板の各値を比較検討した。H群はN群の約1/3のヘパリン量,プロタミン量で手術を安全に施行できた。ドレーン出血量(H群;360±144ml、N群;506±329ml)、ドレーン抜去日数(H群;4.0±1.1日、N群;4.4±1.1日)、輸血量(H群;466±765m1、N群;969±1417ml)は、H群で有意に低値であった。血小板の変化率はH群が有意に高値を示した。総手術時間(H群;366±64分、N群;421±103分)と、心肺離脱から終刀までの時間(H群;125±29分、N群;147±54分)はH群で有意に短く、止血時間が短縮したと考えられた。
  • 村田 聖一郎, 井野 隆史, 安達 秀雄, 山口 敦司, 紙尾 均
    1998 年 27 巻 1 号 p. 140-143
    発行日: 1998/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    長期経皮的心肺補助(PCPS)の可能性と今後の課題を検討した. 連続して1週間以上にわたってPCPSを施行し得た7症例(長期補助群)と1週間未満の短期補助群48例を比較検討した. 長期補助群の疾患の内訳は胸部大動脈瘤術後の低心拍出量症候群(LOS)1例, 劇症型心筋炎4例, 広範囲肺塞栓症1例, 急性心筋梗塞による心室中隔穿孔1例であった. これら7例中6例(85.7%)が離脱し5例(71.4%)が生存したが, 群間に有意差はなかった. 長期補助群の3例に開始後4~5日目に著明な溶血が観察された. 長期補助群7例中6例が最新のヘパリン化PCPSを用いていた. このシステムは人工肺, 遠心ポンプともに耐久性に優れており長期使用に適していたが, 安定した長期補助のためには感染予防を始めきめ細かい管理が必要と考えられた.
  • 古川 博史, 八田 光弘, 北村 昌也, 川合 明彦, 青見 茂之, 西田 博, 遠藤 真弘, 小柳 仁, 鈴木 進
    1998 年 27 巻 1 号 p. 144-146
    発行日: 1998/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    導入の容易さから重症心不全を起こした拡張型心筋症などの救命に経皮的心肺補助装置(PCPS)が臨床に使用されその成績は安定してきたが、長期補助における限界や適応についていまだ解決すべき問題点は多い。1992年8月から1997年2月までに当科で長期補助循環を施行した非手術症例5例についてPCPSを使用した長期補助循環中の問題点について検討を加えた。基礎疾患は拡張型心筋症が3例、急性心筋梗塞が1例、急性心筋炎が1例で、補助循環時間は44から256時間(平均109.2時間)であった。補助循環から離脱し、生存退院したのは1例(20%)。補助循環中の全身状態は補助循環時間が72時間を越える頃からMOFの兆候が認められた。このような症例に対して心臓移植が考慮された場合、MOFが発現する時間内での長期補助循環システムの適応が考えられるべきである。
  • 岩倉 篤, 朴 昌禧, 山里 有男
    1998 年 27 巻 1 号 p. 147-149
    発行日: 1998/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    当施設で急性循環不全に対し経皮的心肺補助装置(PCPS)による循環補助を要した25例の成績と問題点を検討した。性別は男性14例、女性8例で、年齢は47から76(平均65.2)歳であった。原因疾患は急性心筋梗塞12例、梗塞後左室破裂4例、冠動脈バイパス術後の人工心肺離脱困難4例、胸部解離性大動脈瘤破裂2例、心筋炎、僧帽弁置換術後左室破裂、医原性右室穿孔各1例であった。そのうちの14例(56%)にPCPSもしくは通常の体外循環下に治療を施行した。補助循環時間は0.25から64(平均22.3)時間で、25例中16例(64%)がPCPSから離脱し、うち11例(44%)が生存した。補助循環時間が24時間以内の短期群では原疾患への治療の有無により救命率が大きく異なり、PCPS適応後は迅速な治療への移行が重要である。24時間以上の長期群ではPCPS離脱後の心不全死も多く、早期左心補助への移行も考慮すべきであると考えられた。
  • 押川 満雄, 荒木 賢二, 中村 都英, 鬼塚 敏男, 穴井 博文
    1998 年 27 巻 1 号 p. 150-153
    発行日: 1998/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    左心補助のみでは効果が不充分な急性心不全に対して経皮的に使用可能な右心補助法3タイプを考案し, 比較検討した. タイプ1は送血, 脱血の2本のカニューラを使用し, タイプ2は, ダブルルーメンカニューラにて遠心ポンプを使用し送脱血した. タイプ3は, フレキシブルな軸を持つ小型心室内軸流ポンプである. 溶血試験をウシ新鮮血で閉鎖回路にて, 流量2L/min, 揚程40mmHgで行った. 急性動物実験は雑種成犬にて行い, 心室細動下に左心補助を行い, 右心補助on-off試験でその効果を評価した. 溶血試験では, タイプ1, 2, 3の溶血係数は050, 2.90, 0.84g/100Lで, タイプ2の溶血が著明であった. よって急性動物実験は, タイプ1, 3に対して行った. 両者とも心拍出量, 動脈圧は右心補助併用にて著明に改善し有効であった. 軸流ポンプによる経皮的右心補助法は遠心ポンプによる方法と同様に, 簡便で有効な方法と考えられた.
  • 江本 秀斗, 堀越 茂樹, 宇野 吉雅, 鈴木 博之, 宇野 光晴, 田口 英昭
    1998 年 27 巻 1 号 p. 154-157
    発行日: 1998/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    常温体外循環(36.5℃)と軽度低体温体外循環(32℃)を比較検討した。体外循環時間, 大動脈遮断時間には常温群、低温群で有意差は認めなかったが、再灌流時間は常温群で有意に短かった。体外循環中の体血管抵抗は常温群で有意に低かった。体外循環中の尿量は両群間で有意差は無かった。術後24時間までの出血量は常温群で低温群に比べ少ない傾向にあった。血清creatinine値、血清GOT値、血清GPT値, 血小板数を術前、術後第一、二病日とで比較したが両群間で有意差は無かった。結論として、1. 常温体外循環では軽度低体温体外循環に比べ末梢血管抵抗が低かった。2. 常温体外循環での術後肝腎機能は軽度低体温体外循環と比較して差がなかった。3. 常温体外循環では再灌流時間が短縮された。以上より、常温体外循環は安全で有用な方法と考えられた。
  • 藤本 哲男, 真木 康隆, 白石 泰之, 梅津 光生, 苗村 潔, 阿久津 敏乃介
    1998 年 27 巻 1 号 p. 158-163
    発行日: 1998/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    機械式心臓代用弁の開放期の動特性を検討した. 前年度までには傾斜型単葉ディスク弁Björk-Shiley Monostrut (φ23)を研究対象として, その開放過程における動特性を検討し開放開始初期0~20[msec]における同部位の流速が開放期の動特性に影響することが認められ報告してきた. 本論文では, さらにディスクの形状の異なる2種の機械式人工弁Björk-Shiley Spherical (φ23)およびSt. Vincent (φ23)を試験対象に加えて, それらの開放特性を比較検討した. これらの人工弁を模擬回路内の僧帽弁位に設置し人工弁の開放過程におけるディスク角度を高速ビデオカメラを用いて500[frame/sec]にて測定した. その結果, 開放初期において各弁の抗力が大きく, 抗力係数は104程度に達していることが推定された. またディスク形状により流体から受ける回転モーメントが異なることが判明し, 本法は人工弁の性能評価および設計に有用であることが示唆された.
  • 井畔 能文, 山下 正文, 山下 拓哉, 増田 宏, 森山 由紀則, 下川 新二, 豊平 均, 平 明
    1998 年 27 巻 1 号 p. 164-167
    発行日: 1998/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    小口径弁使用の許容限界について21mm未満の大動脈弁単独症例25例の術後および遠隔成績を検討した。人工弁はOmnicarbon 19mm 10例, Medtronic-Hall 20mm 10例、St. Jude Medical 19mm 5例で、平均年齢は61±9歳、男女比は4:21、BSAは1.28-1石8m2(1.39±0.12m2)であった。手術死亡、病院死亡はなく遠隔期の心エコーによるLVDd, Dsは(前50.7±9.1mm, 32.6±10.3mm後44.1±69mm, 25.6±5.9mm)有意に改善し、左室心筋重量も(前2561±92.0g/m2, 後171.5±5489/m2)有意に改善していた。術後の圧較差(PG)は33.3±16.8mmHgで体表面積との有意な相関はなかったが40mmHg以上のPGは7例中6例がBSA1.40m2以上であった。小口径弁の使用は慎重に行わなければならないが、術後遠隔期のQOLも十分満足でき、体格、日常生活等を勘案の上で妥協しうる選択の1つであると考えられた。
  • 李 桓成, 下岡 聡行, 三田村 好矩, 山本 克之, 勇田 敏夫
    1998 年 27 巻 1 号 p. 168-173
    発行日: 1998/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    近年、動物や人体に埋植された人工弁に弁表面壊食を伴う破損例が報告され、研究が進められているが、加速耐久試験に関しては詳しく検討されていない。我々は本研究室で製作した加速耐久試験装置を用いて試験を行い、人工弁付近のコンプライアンス付加により弁表面の壊食が進行することを示してきた。本研究では、コンプライアンスを付加する位置と大きさを変えた人工弁固定用ホルダーを製作してコンプライアンスがディスクの壊食に与える影響を検討した。また、弁の閉鎖速度が表面壊食に影響を与えると考え、高速度ビデオカメラを用いて閉鎖速度を調べた。その結果、コンプライアンスが増加すると弁の閉鎖速度が速くなり、ディスクの表面壊食が進行することが示された。
  • 高原 善治, 須藤 義夫, 砂澤 徹, 佐藤 敏朗, 中村 常太郎
    1998 年 27 巻 1 号 p. 174-177
    発行日: 1998/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    Carpentier-Edwards牛心膜弁が使用されて12年が経過したので、左心系の代用弁としての遠隔成績、適応について報告する。対象は1985年4月から1994年3月までに置換したA弁位32例、M位48例で最長12年の遠隔成績を検討した。弁関連合併症は、A弁位でPVE:2、人工弁構造的劣化(ST):1、M弁位ではPVE:5、ST:6、血栓塞栓症:1であった。12年のactuarial freedom from STはA弁位94%、M弁位52%であった。しかし60歳以上の症例ではA弁位100%、M弁位82%であった。STの原因は石灰化と弁尖硬化によるマウント部分のずれであった。以上より従来から述べられている出産を希望する若い女性、抗凝固療法が困難な例および平均余命を考慮して70歳以上の高齢者はA弁位だけでなくM弁位においても良い適応になると思われる。
  • 松居 喜郎, 須藤 幸雄, Jan DUDRA, 椎谷 紀彦, 村下 十志文, 安田 慶秀
    1998 年 27 巻 1 号 p. 178-182
    発行日: 1998/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    stentless人工生体弁による人工弁置換術時予想される軽度逆流存在時の対策を検討した. ブタより摘出した上行大動脈15個を用い, 大動脈側から100mmHgの圧負荷をかけ逆流量を計測した. 大動脈弁1尖に5mm程度の切開を加えた逆流モデルでは損傷弁弁腹拡大でcoaptation zoneは拡大せず, むしろ逆流が増加した. 弁輪縫縮により全例で逆流は消失し, この時の弁輪径は15.7±1.8mmで, 30.7±6.9%の縫縮率であった. valsalva洞3箇所のパッチによるST junction (STJ)拡大モデルの弁輪径は21.7±0.7mm, STJは35.9±2.2mmであった. STJ拡大により中心性の逆流をみとめ54±18mL/minの逆流量が得られた. STJを縫縮すると全例で逆流は消失した. この時のSTJは29.6±1.4mmで, 22.0±6.0%の縫縮率であった. Homograftに近い性状の人工生体弁を使用する際に, 種々の理由で軽度逆流が残存した際は, 原因により弁輪縫縮, STJ縫縮が有効である.
  • 中野 清治, 小林 順二郎, 笹子 佳門, 山本 文雄, 小坂井 嘉夫
    1998 年 27 巻 1 号 p. 183-186
    発行日: 1998/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    高齢者の弁置換術における代用弁の選択を検討した。対象は1980年から1996年までに70歳以上の高齢者に行った弁置換162例と、1995年以降65歳に行った、Stentlessブタ大動脈弁(SPV)による大動脈弁置換術(AVR)6例である。大動脈弁位(A)機械弁(M)61個、生体弁(B)43個、僧帽弁位、M54個、B18個を使用した。12年間の実測生存率はA-M59%、A-B21%、僧帽弁位M(M-M)39%、M-B20%、弁関連合併症に対する12年間のevent freeはA-M85%、A-B67%、M-M81%、M-B90%でいずれも、機械弁生体弁間に有意差を認めなかった。現在、AVRではMとBの二者択一でinformed consent後弁選択を行い、僧帽弁置換術(MVR)あるいはAVR+MVR例ではMを第一選択としている。また、65歳以上のAVR例ではSPVの適応も考慮している。
  • 北村 昌也, 青見 茂之, 中野 秀昭, 八巻 文貴, 上部 一彦, 前田 朋大, 川合 明彦, 八田 光弘, 遠藤 真弘, 小柳 仁
    1998 年 27 巻 1 号 p. 187-190
    発行日: 1998/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    70歳以上50例(E群)と60歳台403例(Y群)の機械弁置換術後の遠隔成績として, 実測生存率(SR)及び各イベントの回避率(再手術:RF, 血栓塞栓症:TF, 全イベント:AEF)を比較検討した。術後早期死亡はE群3例(6.0%), Y群12例(3.0%)であり, 両群で差はなかった。遠隔期死亡はE群6例(12.0%), Y群58例(14.4%)で, うち弁関連死亡はE群5例(83.3%), Y群31例(53.4%)であった。両群の術後6年の遠隔成績をE群/Y群で示すと, SR79.5/82.2%, RF100/99.7%, TF97.9/92.5%, AEF75.3/79.9%。術後の各イベントの平均発生率(%/患者・年;E群/Y群)は, 血栓弁0/0.05, 血栓塞栓症0.71/1.49, 出血性イベント2.13/0.55であった。70歳以上の機械弁置換術後の遠隔成績は60歳台と同様に良好であったが, 遠隔期の弁関連死亡率, 出血性イベントの発生率が高く, 厳密な長期管理が重要と思われた。
  • 水谷 登, 加藤 勲, 小林 正
    1998 年 27 巻 1 号 p. 191-196
    発行日: 1998/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    ペースメーカー(PM)植込み後の不整脈管理の重要性は良く知られるところであるが、不整脈の検出にホルター心電図やモニター心電図を用いても必ずしも満足のいくものではない。そこで、著者らはDDDペースメーカーに内蔵された不整脈診断補助システムであるAIDA(Automatic Interpretation for Diagnosis Assistance)の有用性を前向きに検討した。DDDPMが植込まれた14症例(房室ブロック9例と洞不全症候群の5例)が対象となった。対象とした14例中3例でPM植込み前に発作性心房細動を認めた。試験はD1とD28の2期に分け検討した。D1ではAIDAプログラムの信頼性を体表面ホルター心電図と24時間比較した。D28における心房性不整脈の発生は、28日間記録されたデータをもとにしてAIDAプログラムにより自動的に解析された。D1における検討では、8症例で18回の心房性不整脈の出現がAIDAにより分析されたが、これらすべての不整脈は体表面ホルター心電図により確認が可能であった。D28におけるAIDAの分析はPM植込み前に心房性不整脈を認めなかった症例でも、数多くの無症候性不整脈が出現することを示した。
    AIDAプログラムはPM植込み後の不整脈の評価に有用であり、殊に無症候性不整脈の検出に優れていた。さらにAIDAプログラムにより薬効評価も詳細に判定されることが示唆された。
  • 中野 秀昭, 平田 欽也, 椎川 彰, 林 和秀, 秋本 剛秀, 小柳 仁
    1998 年 27 巻 1 号 p. 197-201
    発行日: 1998/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    胸壁植込み型第4世代植込み型除細動器(ICD)植込みに際し, 電極極性変更や植込み部位に工夫を要した症例を全21例(1995年4月~1997年4月)中4例に経験した. 通常のRV電極陰極, Can陽極での除細動が不可能であったため極性変更を要した症例が2例(内1例はSVC電極を併用), 右胸壁植込みが2例であった. 右胸壁植込み症例はいずれも第3世代ICD感染症例で, ICD本体及び皮下電極摘出, 感染が治癒した時点で第4世代ICDを右胸壁に植え込んだ. 2症例ともCan及びRV電極の2極問除細動が可能であった.第4世代ICDの除細動時のインピーダンスは, 極性変更では変化せず, SVC電極を加えた3極問除細動で有意(P〈0.01)に低下した.第4世代ICDは通常形式での除細動のみならず, 極性変更や心内電極の追加によって有効な除細動が得られ, 植込み部位をも選択できる長所を有するものと考えられた.
  • 久木 田和丘, 小山 内誠, 安原 満夫, 内藤 昌明, 高橋 禎人, 田中 三津子, 高橋 昌宏, 玉置 透, 目黒 順一, 米川 元樹, ...
    1998 年 27 巻 1 号 p. 202-205
    発行日: 1998/02/15
    公開日: 2011/12/02
    ジャーナル フリー
    ダブルルーメンカテーテル留置後のトラブルの一つとして"へばりつき現象"が挙げられる。このトラブル防止を目的として動静脈孔の中間に2mlのバルーンを有するカテーテルが開発された。このカテーテルを15例に10日~28日間使用し、トラブルの発生状況を検討した。血液透析時バルーンを拡張、非透析時縮小した12例では、1例に刺入部の発赤、2例に血栓がみられたが、残り9例においては"へばりつき現象"を含めたトラブルの発生を認めなかった。血液透析時にもバルーン拡張を行わなかった3例中1例に"へばりつき現象"と考えられる血流低下がみられ、バルーン拡張を行うことにより、充分な血流量が得られた。以上より、バルー・シ付きダブルルーメンカテーテルにおいては感染、血栓等のトラブルは残るものの、"へばりつき現象"は回避できるものと考えられた。
  • 峰島 三午男, 金子 岩和, 佐中 孜, 阿岸 鉄三
    1998 年 27 巻 1 号 p. 206-211
    発行日: 1998/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    大量濾過型血液浄化器の性能を水系で簡便に評価することを目的とし、分子量(Mの範囲の広いデキストラン水溶液を用いた評価法を導入し、その有用性について検討した。実験としてはHDならびに定速濾過のHF、HDF実験(濾液流量QFを7.5-193ml/minに変化)を施行した。試験浄化器としては、FB-150U、BK-1.6P、PNF-17DX、PS-1.6UWの4種を用い、デキストラン濃度: の定量はGPC法で行った。実験の結果、MW 15,000から60,000までのデキストランのクリアランス(CL)からCL曲線を、みかけのふるい係数から分画曲線を簡便に求めることができた。また、CL曲線、分画曲線ともQFによって大きく変化し、濃度分極ならびに血液流れ方向の濃縮効果が性能に大きく影響を及ぼしていることが明らかとなった。デキストラン水溶液一GPC法による性能評価は、広範囲かつ密に分子量溶質の濃度を測定できるため、大量濾過型血液浄化器の性能評価に有用と考えられた。
  • 藪下 肇, 松山 家久, 小川 一
    1998 年 27 巻 1 号 p. 212-216
    発行日: 1998/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    《BIOREX》膜AM-BC-Fは、
    (1)従来製膜法とは異なるFIS(Fine lnner Surface)テクノロジーにより膜内表面構造の平滑性を高め、中空糸内表面での血液の流動抵抗が抑制される
    (2)分子末端にアルキル部分を持ったアルキルポリエチレングリコール鎖(PEG鎖)をセルロース膜内表面に反応させて、ポリマーの疎水性基・親水性基のバランスによって膜表面に形成される「散漫層(PEG鎖の水和ゲル層)」により、生体適合性が付与される
    等の特徴を有する。本研究ではこれらの検証を行った。
    原子間力顕微鏡(AFM)での膜内表面観察では、従来膜に比べて《BIOREX》膜AM-BC-Fの膜内表面の方がμmオーダーでの凹凸が軽減され、内表面の平滑性が確認された。これにより、《BIOREX》膜では血液流動抵抗が軽減され、血小板粘着量が小さくなると考えられた。また、臨床評価では、AM-BC-150F透析器の散漫層によるロイコベニア抑制効果及び補体C3a活性化抑制効果が確認された。さらに、その溶質除去率は従来のAM-FP-150透析器と同等あるいはそれ以上の性能を持つが、これは両膜の孔構造の違いによることが示唆された.
  • 川西 秀樹, 山中 健司, 土谷 晋一郎
    1998 年 27 巻 1 号 p. 217-221
    発行日: 1998/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    パイロジェンフリーとした透析液を置換液・透析液として用いる大量置換可能なon-line CHDFを開発・臨床使用した。システムは密閉容量制御式個人用透析装置を用い自動的にHDFを行うon-lineHDFであり、配管内にパイロジェン除去膜を設置した。Pre膜はRO配管中。1次膜は装置出口に装着し全濾過で透過させ透析液とし、一部を2次膜に部分濾過で透過させ置換液とした。1, 2次膜は症例ごとに交換した。後希釈を基本とし症例によっては前や前・後希釈に変更した。エンドトキシン活性は開始直前は全ライン中より、治療中は連日1次・2次膜透過後を測定し置換液・透析液が1 IU/l以下であることを確認した。消毒剤として弱酸性電解水を用いRO配管を含む全ラインを消毒し、非使用時はその貯留方式とした。31症例・2570時間にon-line CHDFを行い19例の離脱を得た。この間装置に起因する異常はなく汚染が生ずることもなかった。on-1ine CHDFにより大量置換が可能となり、一部のサイトカインを含む中~大分子量物質除去に優れた強力な急性血液浄化療法が完成された。
  • 中澤 浩二, 井嶋 博之, 金子 充, 伊東 俊純, 松下 琢, 祇園 智信, 調 憲, 島田 光生, 竹中 賢治, 杉町 圭蔵, 船津 和 ...
    1998 年 27 巻 1 号 p. 222-226
    発行日: 1998/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    本研究ではポリウレタンフォーム(PUF)/肝細胞スフェロイド培養法を利用したハイブリッド型人工肝臓の開発を目的に, 初代ブタ肝細胞の高機能発現のための最適培養条件の設定を行った。平板PUFプレート(25×25×1mm)に初代ブタ肝細胞を播種し, 静置下で最適培養培地の検討を行った。また, 一多細管型PUF充填層モジュール(PUF体積: 18.8cm3)で初代ブタ肝細胞の灌流培養を行い, 最適な固定化細胞密度及び培地流速を検討した。
    初代ブタ肝細胞は静置及び灌流培養下のPUF孔内において自発的にスフェロイドを形成した。基本培地(Williams'E medium)に10~20%FBSを添加することで, 初代ブタ肝細胞スフェロイドの良好なアンモニア代謝能の発現が見られた。また, モジュールを用いた灌流培養において, 固定化細胞密度1.0×107cells/cm3-module, 細管内線速度60~80cm/minの時に良好なアンモニア代謝能およびアルブミン分泌能の発現が見られた。本研究によって, PUF/初代ブタ肝細胞スフェロイドを利用した人工肝臓モジュールの最適.な培養条件が得られた。
  • 星野 正巳, 原口 義座, 酒井 基広, 三枝 弘志, 林和 城, 大沢 寛行
    1998 年 27 巻 1 号 p. 227-232
    発行日: 1998/02/15
    公開日: 2011/10/07
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    人工膵(日機装社製STG-11A, 22)の測定血糖値(BGAP)の変動原因を、1)患者要因、2)採血カラLテル、3)採血チューブ、4)人工膵本体に分けて検討した。カテーテルは上大静脈に留置し、glucose液、血液を用いたin vitro実験も施行した。【結果】臨床使用時、1)上大静脈圧上昇でカテ-テル先端血液希釈濃度(以下希釈率)が増加し、BGAPは10-80%上昇した。2)カテーテル先端閉塞で希釈率が低下してBGAPは低下し、IVHカテへの近接でBGAPは増加した。3)細径(径0.3mm)チューブの使用でBGAPは30%以上低下した。4)血栓の電極付着でBGAPは1/3に低下した。電気的アティファクトでBGAPが瞬時に10倍以上となった。実験結果は、1)カラLテル先端を50cm高くすると、希釈率は30%上昇した。2)チューブ抵抗2.7倍増加で希釈率は45%上昇した。しかし、血液を用いると、吸引量が低下して希釈率は逆に低下し、細径チュープ使用時のBGAP低下原因と思われた。【結語】人工膵の臨床使用上、血糖誤差要因に熟知しておくことは重要と考えられた。
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