抄録
近年、動物や人体に埋植された人工弁に弁表面壊食を伴う破損例が報告され、研究が進められているが、加速耐久試験に関しては詳しく検討されていない。我々は本研究室で製作した加速耐久試験装置を用いて試験を行い、人工弁付近のコンプライアンス付加により弁表面の壊食が進行することを示してきた。本研究では、コンプライアンスを付加する位置と大きさを変えた人工弁固定用ホルダーを製作してコンプライアンスがディスクの壊食に与える影響を検討した。また、弁の閉鎖速度が表面壊食に影響を与えると考え、高速度ビデオカメラを用いて閉鎖速度を調べた。その結果、コンプライアンスが増加すると弁の閉鎖速度が速くなり、ディスクの表面壊食が進行することが示された。