抄録
経皮的または、小切開・小開胸により挿入可能な心嚢内バルーンの作製を行い、実験的にその有効性を検討した。このバルーンは血液に接触しない補助循環装置として、心嚢内に挿入し、心拍動の収縮期に同期して心室を圧迫することにより循環補助効果を得る循環補助装置である。実験方法は、雑種成犬を全身麻酔下小切開下に第6肋骨床開胸より心嚢内にバルーンを挿入し、胸骨正中切開を施行。心電図モニター、右大腿動脈から下行大動脈に圧トランスジューサーカテーテルを、右大腿静脈からスワンガンツカテーテルを挿入し、上行大動脈に電磁流量計を装着した。急性心不全モデルは左心室駆動はβプロッカーによって、右心室駆動は肺動脈狭窄にて作製した。バルーンの駆動は心電図同期とし、バルーンのoff-on testにより、大動脈流量が左心室駆動で7.7%増加、右心室駆動で6.8%増加した。左右共に流量補助効果が認められた。