抄録
ヘパリンコーティング人工心肺回路の生体適合性、臨床的有用性評価を、アプロチニン、ステロイド投与症例において検討した。活性化血液凝固第12因子(XIIa)、凝固・線溶系のマーカー、サイトカインの血中濃度、thrombomodulinを測定し、ヘパリンコーティング群において体外循環中の血中XIIa因子、TAT、IL-6、IL-8値の上昇抑制を認めた。またヘパリンコーティング人工心肺回路において回路表面への血液成分付着抑制がみられた。以上から、ヘパリンコーティング人工心肺回路とアプロチニン、ステロイド投与の併用は更なる生体適合性向上効果を有しており、生体侵襲軽減に有効な手段と考えられた。