抄録
現行のSingle Pass VDD Leadを模擬した系において、多様な条件下で心房波センシングおよび心房ペーシング特牲データを取得し、Single Lead DDDの実用化に向けた基礎検討を行った。心房波の選択的検出には、心房電極の電極間距離を短く、電極表面積を小さくし、高位右房に電極対が位置するように留置することが最も望ましかった。一方、心房ペーシングにおいては、フローティング刺激時は、電極表面積が小さいほど刺激閾値は低く、かつ心房壁と電極との位置関係に至適電極間距離が依存することが判明したが、非フローティング状態と比較すると、何れの条件でも明らかに刺激閾値は高かった。
また、右房ペーシングにおける明らかなペーシング至適部位の存在は認めなかった。
今回の実験結果からは、フローティング電極を用いて確実な低出力心房刺激を達成する条件は見出せず、Single Lead DDDペーシングの実用化には、刺激極性を含めた更なる検討が必要と考えられた。