人工臓器
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高吸水性ポリマーを用いた腸管内吸水剤の腎不全ラットにおける基礎的検討
米川 元樹川村 明夫久木田 和丘玉置 透山岡 一平網屋 毅之
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1998 年 27 巻 2 号 p. 484-489

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抄録
腎不全患者では、経口摂取した水分のうち、代謝に関与する必要最小限の水分以外は余分である。そこで血液に吸収される前に消化管に高吸収性ポリマーを投与して水分を吸収し、循環系へ入る量を減らす方法を考案した。ラットに高吸水性ポリマーを消化管内投与すると、ポリマーは水分を消化管で吸収し、大腸で水分を吸収されることなく、軟便として排泄された。5種類のポリマーを作成し腎全摘ラットに投与すると、ポリマー投与群では、生存時間が延長し、特にKO-Li, KO-02, KO-03群で平均17時間、23時間、26時間延長した。ポリマー(KO-Li, KO-02, KO-03)投与群ではcontrol群に比べ、血清K、Ca、Mgの低下、Pの上昇がみられ、さらに腎全摘後の体重増加を抑制する効果を認めた。高吸水性ポリマーの消化管内投与は、体重増加を抑制でき、さらに便秘に対する効果も期待でき、透析患者のQOLの向上や延命に寄与できるものと考えられた。
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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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