1998 年 27 巻 2 号 p. 551-554
実用性の高い人工臓器開発には産学の密接な共同作業が不可欠である。国内企業との連携の強みには対外国意識の共有に加え迅速な相互フィードバックの容易さがあげられる。単なる臨床試用ではなく教室で開発段階から共同作業を続け上市された循環器系人工臓器の経緯をたどると、(1)IABPバルーン・…本邦人に過長なバルーンによる合併症防止、(2)遠心ポンプ…・全回路抗血栓性左心バイパス回路作成のための国産化、(3)PCPS system…・人工肺・遠心ポンプ両者を製作し得る国内企業との連携により簡便に導入可能なpreassembly system作成、(4)silicon薄層コーティング中空糸人工肺・…耐久性に優れる新技術導入に際する流路設計等、臨床のニーズやデータが動機に占める要素大である。今後の日本発人工臓器に向けての臨床側からのKey Wordsは大規模・長期的展望にたつプロジェクトのみに固執しない、cost effectiveness、QOL等患者の視点も含む実用性・普遍性を取り入れたバランス感覚と考える。