人工臓器
Online ISSN : 1883-6097
Print ISSN : 0300-0818
ISSN-L : 0300-0818
炎症性メディエーターからみたヘパリンコーティング体外循環回路の生体適合性に関する臨床的検討
熊野 浩
著者情報
ジャーナル フリー

1998 年 27 巻 2 号 p. 561-566

詳細
抄録

ヘパリンコーティング(HC)回路使用, ヘパリン減量下の炎症性メディエーターの変動からみたHC回路の生体適合性を検討した. 待期的開心術30例を従来回路使用10例(N群), HC回路使用10例(H群), HC回路を使用し, かつヘパリンを減量した10例(L群)に分け, 顆粒球エラスターゼ(GEL), C3a, インターロイキン6(IL-6)および8(IL-8)を, 術前から体外循環(CPB)終了24時間後までの11時点で測定した. N群とH群は初回投与ヘパリンを300U/kg, L群は150U/kgとした. その結果, N群のGEL, C3aはCPB中にH群, L群よりも有意に高値であったが, H群とL群の間に差がなかった. IL-6, IL-8はCPB後にL群では他の2群よりも有意に低値であり, N群ではHC回路の2群よりも高値をとる傾向がみられた. HC回路使用により白血球・補体活性化, サイトカイン上昇は抑制され, ヘパリン減量に伴いこれらの抑制効果はさらに向上することが示された.

著者関連情報
© 一般社団法人 日本人工臓器学会
前の記事 次の記事
feedback
Top