人工臓器
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人工心肺中の血液希釈に関する臨床的検討
脳酸素代謝からの評価
山口 博一郎山内 秀人迫 史朗濱本 浩嗣
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1999 年 28 巻 1 号 p. 104-109

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抄録
軽度低体温体外循環 (CPB) 中の血液希釈時の脳酸素代謝について検討した.成人無輸血CPB下手術17例を対象とし, CPB中の6ポイントの脳組織酸素化率 (%oxyHb: 酸化Hb/全Hb) と内頸静脈血酸素飽和度 (SjO2) を測定した. (1) Ht<20% (L群) とHt20%≧ (H群) のポイントの%OxyHb, SjO2の比較と (2) 術中指標との間の回帰分析から脳酸素代謝に対する危険因子と至適灌流条件を検討した. (1) L群は48, H群は51ポイントで, L, H群の%OxyHbは54.1±10.9, 63.8±13.8, SjO2は66.9±15.3, 745±16.7で, H群で高値であった (p=0.05). (2) %OxyHbとHt (r=0.53), PaCO2 (r=0.32), SjO2 (r=0.54) との間に相関を認めた (P<0.O1). L群で%OxyHb≧60の85%は, PaCO2≧35mmHgであった. 血液希釈は脳酸素代謝に影響したが, 高度希釈時でも高PaCO2の維持により, 局所脳酸素化の低下が抑制されることが示唆された.
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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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