人工臓器
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選択的内臓動脈シャントを用いた胸腹部大動脈瘤の手術一臓器保護の臨床的評価
椎谷 紀彦国原 孝山内 英智上久保 康弘宮武 司村下 十志文佐々木 重幸松居 喜郎佐久間 まこと安田 慶秀
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1999 年 28 巻 1 号 p. 100-103

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抄録
胸腹部大動脈瘤手術時の腹部臓器保護法として導入した, 選択的内臓動脈シャントの回路の工夫と臨床的臓器保護成績を報告する. 98年9月までの手術例47例中腹部分枝遮断を要した40例に, ポンプによる選択的潅流18例, 選択的シャント6例, ポンプ潅流からシャントに移行4例を施行した. 選択的シャントはヘパリン結合の10mmチューブに6mmの側枝を4本設けた専用回路を用い, 体外循環終了後ヘパリンを部分中和し人工血管側枝をinHowとして確立した. この回路は80mmHgの静水圧で12Frバルーンにて280ml/分の丘eeHowが得られた. シャント使用に伴う合併症はなく, 術後肝腎機能は, 独立したポンプにより175±35m1/分/本で潅流した部分体外循環下の症例と比較し遜色ない成績であった. 選択的内臓動脈シャントは, 流量が血行動態依存性で制限があるが, 臓器保護効果は臨床的には充分であった.
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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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