人工臓器
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組織工学用機能性人工細胞外マトリックスの開発: 感温性ゼラチン
松田 武久
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1999 年 28 巻 1 号 p. 242-245

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抄録
ポリ (イソプロピルアクリルアミド) (PNIPAM) をグラフト化したPNIPAM化ゼラチンを合成した. PNIPAM化ゼラチンの水溶液は37℃では白濁・沈澱した. 培養シャーレにコーティングし, 37℃で細胞を播種すると, 細胞は接着・伸展・増殖した. PNIPAMのみのコーティングでは非接着であった. 両者の混合膜では, PNIPAM化ゼラチンの混合比の増大と共に, 接着・増殖性は増大した. 常温に下げることによって接着細胞および組織は基材から剥離した. 細口径ガラス管の内面をコーティングし, 内皮細胞の単層組織が形成してから常温に放置すると, 毛細血管が形成できた. このように, 感温性ゼラチンはPNIPAMとの混合比を変えることによって細胞接着能が制御でき, また感温性であることから, 二次元および三次元細胞外マトリックスとして, 組織の微視的および巨視的形造りに有用であるといえる.
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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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