人工臓器
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ゼラチン被覆ポリエステル人工血管の臨床試験成績
近藤 治郎上田 恵介横手 祐二尾本 良三安倍 十三夫青見 茂之橋本 明政小柳 仁松本 昭彦
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1999 年 28 巻 1 号 p. 261-267

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抄録
被覆ゼラチン量を少量にした新しい平織りウーブン人工血管 (CL-301) を79症例に使用し, その有用性と安全性について検討した. 適用部位は胸部大動脈20例, 腹部大動脈53例及び腸骨動脈6例であった. 除外ならびに脱落対象例を除いた66例について人工血管の操作性, 開存性, 発熱の有無, 血液学的血液生化学的所見について検討した. その結果, 操作性, 開存性は良好であった. 術後の体温上昇が認められたが, 被覆剤が低量のため, いわゆる被覆剤に由来すると思われる発熱は観察されなかった. また, 血液学的, 血液生化学的に特別な異常は認めなかった. また, 被覆人工血管に多くみられる人工血管周囲の血腫・血漿腫は66例中40例 (60.6%) に退院時認められたが, 自然に吸収される程度で術後6ヶ月では全例消失した. 以上, 今回臨床使用した人工血管は臨床上有用であり安全であると判断した.
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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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