人工臓器
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腹部大動脈手術におけるアルブミン処理人工血管の有用性に関する検討
吉田 博希和泉 裕一長谷川 聡久保田 宏
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1999 年 28 巻 1 号 p. 256-260

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抄録
1993年より過去5年間にアルブミン処理人工血管 (ACG) を用いた腹部大動脈領域の血行再建術47例の術後炎症反応について, フィブリン糊でpreclottingしたDacron人工血管使用例 (BionitTM: BN) 6例をコントロールとして比較検討した. ACG群は腹部大動脈瘤 (AAA) 24例 (うち破裂例6例), 閉塞性動脈硬化症 (ASO) 19例, 両者の合併が4例であった. BN群ではAAA1例, ASO5例であった. 明らかな感染を伴った4例を除き術後炎症所見の検討を行った. 体温, 白血球数, CRPを検討したが, 両群間に差は認めなかった. ACG群の1例で13カ月目にYグラフトの左脚が末梢run-off不良のため閉塞したが, 術後グラフト感染, 瘤形成などグラフトに起因する合併症はなかった. ACGは術後炎症反応も少なく, 腹部大動脈領域に使用する人工血管として有用であった.
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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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