人工臓器
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超極細繊維交絡型人工血管の開発
野一色 泰晴山根 義久大越 隆文冨澤 康子殿倉 英次
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1999 年 28 巻 1 号 p. 278-283

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抄録
超極細ポリエステル繊維を用いた人工血管を新たな方法で作成した. 超極細ポリエステル繊維が植え込み用人工臓器の素材としていくつかの利点を持つことは既に明らかにされており, それを用いた人工血管の開発も過去に行われたが, 現在は市販されていない. そこで超極細ポリエステル繊維を用いた人工血管を今日の技術で作るための創意工夫を行った. その結果極細ポリエステル繊維を用いて人工血管を一挙に作るのではなくて, まず通常の太さを持つ繊維で基材となる布の管を作る. 次にこの作業とは独立して, 超極細ポリエステル繊維で不織布を作り, 始めに作成した基材の管に被せ, これに高圧ジェット水を走査するがごとく打ち込んでゆくことで超極細ポリエステル繊維を基材の繊維に複雑に絡ませる工法を採用することとなった. この方法では絡ませる超極細ポリエステル繊維の量を制御できると共に, 完成品となる人工血管の通水率もコントロール可能となり, しかも基材が編み物 (knitted graft) でも織物 (woven graft) でも同じ方法で超極細ポリエステル繊維を絡ませることが可能となったことから, 新しい布製人工血管の製造方法を確立することとなった.
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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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