抄録
山形大学では体積285ml, 重量380gと小型・軽量の体内完全埋め込み型モータ駆動補助人工心臓 (VAD) を開発し, 動物実験に向けたinvitro及び耐久試験を開始した.今回, より最適なVADの駆動方法を検討するために模擬循環回路を用いたinvitro実験において, 3つの異なるモータスピード制御電圧波形による評価実験を行った.その結果, 平均後負荷100mm Hgに対しポンプ拍出量は平均4-51/min, 最大7.51/minで, 最高システム効率は21.1%であった.また拡張初期制御電圧をランプ入力にすることにより低入力パワー, 高効率での駆動が可能であった.現在, デバイスの評価・耐久試験と並行して, VADに使用されるポリウレタン製の人工弁, そして体内完全埋め込み型補助人工心臓システム (VAS) の開発を進めている.結論として, 試作した超小型モータ駆動VADはinvitro実験において高性能を示し, 今後動物実験においても好結果が期待できる.