1999 年 28 巻 2 号 p. 345-349
本研究では新たに開発した, 圧・流量センサ等の埋め込み式のセンサを使用せず, 狭窄・逆流の検知が可能なアルゴリズムの評価を行った. このアルゴリズムでは遠心ポンプのモータ駆動電流波形を使用し, その波形の周波数解析から自然心の拍動により生じる基本波と, 狭窄・逆流時に顕著に表れる高調波との比率を求めることができる. この比率をWaveform Deformation Index (WDI) と呼び, 模擬循環回路によるシミュレーション及び, 動物実験でWDIがどのように推移するかを検討した. その結果, 狭窄・逆流現象はWDIが0.2を越えた状況で起こることが確認された. また, 模擬循環回路において脱血管の深度を変化させ, 同様にWDIの推移を調査した結果, 脱血管の深度により狭窄の発生回転数が変化することが確認された. これらのことから狭窄はハード・ソフトウェアの両面から抑えることが可能であることが示唆された.