人工臓器
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28 巻 , 2 号
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  • 川田 志明
    1999 年 28 巻 2 号 p. 307
    発行日: 1999/04/15
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
  • 能勢 之彦
    1999 年 28 巻 2 号 p. 309-313
    発行日: 1999/04/15
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
  • 北村 昌也, 森下 篤, 栗原 寿夫, 渋谷 益宏, 小寺 孝治郎, 広田 潤, 山崎 健二, 渡辺 直, 遠藤 真弘, 小柳 仁
    1999 年 28 巻 2 号 p. 315-319
    発行日: 1999/04/15
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    重症左心不全における経大動脈的カテーテル左室ベント法 (TACV) の効果を検討し, 開発したTACV用カテーテルの臨床応用について評価した. 実験的重症左心不全モデルにおけるTACV併用静動脈バイパス (VAB) の効果を単独VABと比較した. TACV併用は単独VABに比べて, 左室一回仕事量, 圧容積面積などが有意に減少し, 左室心筋内ATPは有意に増加した. 特別仕様のTACV用カテーテルはAVR以外の成人開心術5例で体外循環中に挿入され, 全例で安全にTACVが行われ不整脈や溶血等の問題はなかった. TACVの効果として, 経食道心エコー上の左室径の減少と体外循環離脱等の肺動脈圧の低下が確認された. 経大動脈的カテーテル左室ベント法により, 重症左心不全モデルにおいて十分な左室負荷の軽減と左室エネルギー代謝の改善が認められ, 開発した本法用カテーテルは, 臨床例において安全に使用可能であり, 左室径の減少に十分な流量が確保された.
  • 押川 満雄, 荒木 賢二, 穴井 博文, 中村 都英, 佐藤 雅郁, 鬼塚 敏男
    1999 年 28 巻 2 号 p. 320-325
    発行日: 1999/04/15
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    [目的] モータ電流波形から, 定常流人工心臓の補助状態を推定し制御の指標とする手法を考案した. [方法] 急性動物実験にて, 左室一下行大動脈バイパス (左心補助: n=8) と右房-肺動脈バイパス (右心補助: n=5) をそれぞれ行い, モータ電流から電流振幅指数 (ICA) を求め, 血行動態の変化と比較した. [結果] 左心補助では, ICAより補助状態が部分一完全補助の移行点 (t点) と吸い付きが著明になる点 (s点) を良好に同定できた. t点でのポンプ補助流量は左室拡張末期圧と高い相関を認めた. 右心補助では, ICAでt点を同定できなかったが, s点は良好に同定できた. このs点のポンプ流量は上行大動脈流量より一時的であるが越えることが多かった. [考察] 左心補助では本法を応用し自然心のStarlingの法則に近い制御が行える可能性があると考えられた. 右心補助では吸い付き現象を検知できたが, 過剰な補助流量を防ぐ工夫を加える必要があると考えられた.
  • 伊藤 悦子, 大和 雅之, 灌五 亨, 桜井 靖久, 岡野 光夫
    1999 年 28 巻 2 号 p. 326-332
    発行日: 1999/04/15
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    優れた抗血栓性を示す親水/疎水のミクロドメイン構造をもつブロックコポリマー表面と細胞との相互作用の特性を追求するため, 血小板粘着時の動特性に注目して位相差顕微鏡観察を行った. 特にその高度な親水性により血小板粘着を抑制するポリエチレングリコール (PEG) 固定化表面と比較しながら検討を進めた. ミクロドメイン構造をもつブロックコポリマー表面と接触した血小板は, ポリマー表面上を動く現象が観察された. 接触初期の血小板の動きは, 方向や速度はランダムであったが時間の経過と共に一定の方向に向かうようになった. PEG表面でも接触した血小板の動きが観察されたが, この動きは時間の経過に関わらず, ランダムな動きを続けていた. 予めNaN3で処理し, ATP合成能を阻害した血小板はミクロドメイン表面上での動きが抑制された. それに対しPEG表面では運動の抑制は認められなかった. PEG表面上での血小板の動きはATP合成を伴わないのに対しミクロドメイン表面上での血小板の動きはATPを利用し, 血小板膜の動きに影響するものであることが示唆された.
  • 中村 真人, 巽 英介, 増澤 徹, 妙中 義之, 大野 孝, 上所 邦広, 角田 幸秀, 張 斌, 中村 知道, 高野 久輝
    1999 年 28 巻 2 号 p. 333-338
    発行日: 1999/04/15
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    理想的な全人工心臓 (TAH) の流量制御法では, 生体の要求に見合った拍出流量が実現され, その方法は長期にわたっても信頼性があることが重要である. 混合静脈血酸素飽和度 (SvO2) は, 生体の酸素代謝状況を反映し, 持続計測の技術も確立されており, TAHの流量制御には実現性の高い有望な指標である. 本研究では, 正常仔牛1頭から得られた運動時のSvO2と心拍出量との線形相関式を用いて, 測定されたSvO2値から目標心拍出量を算出, 制御する駆動プログラムを作成した. 空気駆動型TAH装着仔牛でtreadmill運動負荷試験を行い, この制御法を用いて流量制御を行った. その結果, 設定拍出量は, SvO2の変化に従い, 生体内でもほぼ目標通りに実現された. 血行動態も許容範囲内で, 酸素要求に対する実現流量も正常動物に近い関係が得られた. また, 運動耐容力の向上も認め, SvO2を用いた生理的制御法の可能性が示された.
  • 田中 進一, 北村 真, 斎藤 明
    1999 年 28 巻 2 号 p. 339-344
    発行日: 1999/04/15
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    クリットラインIII®とJMS社製コンソールGC-100を連動させ, 透析中の除水速度の自動制御を試みると共に透析中のPlasma Refilling Rate (PRR) の変化を検討し至適制御方法につき検討した. CLITLINE monitor (CLM) とUltrafiltration Rate (UFR) の連動により透析中のHct値を一定に維持することが可能であった. 溢水状態の場合, 症例及び, Hct値に関わらずΔBlood Volume (BV) %を低下させる事によって, PRRは増加した. 同一症例で同一の透析条件であればその変化はほぼ一定であると考えられた. 同一症例で, 目標体重を低下させた場合, 透析終了時のPRRは低値を示し, 透析前の溢水状態の場合には透析開始時のPRRは高値を示した. CLMと除水速度を連動させ自動制御を行うためには, 患者個々のPRRの変動を考慮するとともに至適Hct値 (ΔBV%) を設定し, そのHct値を維持する様に多段階制御を行うことが必要であると考えられた.
  • 羽藤 栄記, 結城 明, 伊関 麻衣子, 野川 雅道, 高谷 節雄
    1999 年 28 巻 2 号 p. 345-349
    発行日: 1999/04/15
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    本研究では新たに開発した, 圧・流量センサ等の埋め込み式のセンサを使用せず, 狭窄・逆流の検知が可能なアルゴリズムの評価を行った. このアルゴリズムでは遠心ポンプのモータ駆動電流波形を使用し, その波形の周波数解析から自然心の拍動により生じる基本波と, 狭窄・逆流時に顕著に表れる高調波との比率を求めることができる. この比率をWaveform Deformation Index (WDI) と呼び, 模擬循環回路によるシミュレーション及び, 動物実験でWDIがどのように推移するかを検討した. その結果, 狭窄・逆流現象はWDIが0.2を越えた状況で起こることが確認された. また, 模擬循環回路において脱血管の深度を変化させ, 同様にWDIの推移を調査した結果, 脱血管の深度により狭窄の発生回転数が変化することが確認された. これらのことから狭窄はハード・ソフトウェアの両面から抑えることが可能であることが示唆された.
  • 大塚 吾郎, 末岡 明伯, 佐藤 耕司郎, 田山 栄基, 中田 金一, 吉川 雅治, 前田 朋大, 山海 嘉之, 高野 環, 小柳 仁, 能 ...
    1999 年 28 巻 2 号 p. 350-354
    発行日: 1999/04/15
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    遠心ポンプを用いた左心補助システムにおいてはポンプ故障時の血液逆流防止が緊急安全装置として不可欠になる. この血液逆流防止装置を考案, 開発したので報告する. 本装置は逆流防止用のバルーン部分とバルーン拡張に用いる生食注入ポートの2つの部分からなる. この閉塞用バルーンを流出路人工血管上に設置し, 緊急時に, 皮下に留置された注入ポートより生食を注入することによりバルーンが拡張, 人工血管を閉塞し, 逆流を停止させる装置である. ベイラー医科大学で開発中の埋め込み型血液遠心ポンプではポンプヘッド圧100mmHgにて約7.5L/minの逆流が生じた. 同ポンプを用いた, 子牛3頭におけるin vivo左心補助中のポンプ停止試験では, ポンプ停止により2.9L/rninの逆流が生じた. 本装置への2mlの生食の注入により有効にこの逆流を停止することが確認された. 以上より本血液逆流防止装置は遠心ポンプを用いた左心補助システムのポンプ故障時緊急安全装置として有効に作動するものと期待された.
  • 岡本 英治, 嶋中 瑞樹, 鈴木 伸也, 三田村 好矩
    1999 年 28 巻 2 号 p. 355-361
    発行日: 1999/04/15
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    完全埋込み型人工心臓用体内埋込予備電池として最適な二次電池を, サイクル特性試験により検討を行った. 国産で入手可能なNi-Cd電池, Ni-MH電池, 電極材料の異なる2種類のLi-イオン電池を使用し, 各電池に温度センサを密着後プラスチック容器に密閉し, 37~39℃を維持した恒温漕内水中に沈め, 1C急速充電と, 拍動型および無拍動型モータ駆動人工心臓への電力供給を模擬した電流パターンによる放電を繰り返し, 電池特性の変化を観察した. その結果, ハードカーボンを負極材料とするLi-イオン電池が2500回以上の充放電が可能であった. また, その他の二次電池についても, 1日1回で2年間の使用を満足する700回以上の充放電が可能であることが分かった. サイクル特性試験中の電池の表面温度は, Liイオン電池が最も低く40℃以下という結果を得た.
  • 本田 博幸, 柴 建次, 越地 耕二, 村井 剛次, 増澤 徹, 巽 英介, 妙中 義之, 高野 久輝
    1999 年 28 巻 2 号 p. 362-368
    発行日: 1999/04/15
    公開日: 2011/06/02
    ジャーナル フリー
    体内埋込用のリチウムイオン二次電池を試作してヤギの皮下にリチウムイオン二次電池を埋め込み, in vivoにおける充放電特性, 温度特性等を測定.評価し, in vitroの場合と比較・検討した.その結果, in vivoでは充放電時の電気的特性はin vitroの場合とほとんど差異がないことが確認された.それに対し, 電池ケース表面温度はin vitroにおいて充電時に43.1 [℃], 放電時に42.7 [℃] まで上昇したが, in vivoにおいてはそれぞれ39.8 [℃], 39.5 [℃] にとどまり, 温度上昇はin vivoの場合, 小さく抑制されることが確認された.これは生体内の血流による冷却効果のためであると考えられる.このことより, 今回使用したリチウムイオン二次電池は体内バックアップ用として使用可能な性能を有していることが確認された.
  • 井上 雄茂, 柴 建次, 越地 耕二, 土本 勝也, 塚原 金二, 増澤 徹, 巽 英介, 妙中 義之, 高野 久輝
    1999 年 28 巻 2 号 p. 369-376
    発行日: 1999/04/15
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    完全埋込型人工心臓を体内に埋込んだ場合, 体外から体内のシステムを監視. 制御する必要がある.体内一体外間の通信手段としては種々考えられるが, ここでは体内一体外間の情報伝送の媒体として, 非侵襲性でEMC (Electromagnetic Compatibility) に優れ, 皮膚の透過性の良好な赤外領域の光を用いた経皮光テレメトリシステムの研究. 開発を行っている.体内に埋込むためには小型・軽量であることが必要であり, また電力効率が良いことも要求される. そこで今回, 変・復調回路を再設計し省電力化を行った. その結果, 従来の送・受信回路に比べて消費電力を50 [%] に低減することができた. また, 今回試作した送・受信回路と人工心臓を同時に, 体外結合型経皮エネルギー伝送システム, 体内バックアップ用二次電池で駆動した場合の双方向通信の評価を行った. その結果, 伝送速度9600 [bps] での双方向通信において良好な結果が得られたので報告する.
  • 上屋敷 繁樹, 染谷 忠男, 橋本 和弘
    1999 年 28 巻 2 号 p. 377-382
    発行日: 1999/04/15
    公開日: 2011/06/02
    ジャーナル フリー
    血中ヘパリン値を頻回に測定し, 非ヘパリンコーティングとヘパリンーコーティング肺・回路とで血中ヘパリンレベルを同様にすべくコントロールを行ない, 同一条件下における凝固・線溶系, 血小板数・血小板機能を両群にて比較検討した.術前抗凝固剤の投与がなされていない39例に常温体外循環を行ない, さらにHepconにて体外循環 (CPB) 中に血中ヘパリン濃度管理を行なって, 一定の血中値3.0-5.5IU/mlを保ち, 設定値よりはみださなかった26例 イオン結合型 [Duraflo-II, 以下D群] 8例, 共有結合型 [Hepaface, 以下H群] 8例, 非ヘパリンコーティング [Sorin, 以下S群] 9例となったで, 以下のデータを検討した.血中ヘパリン値に加え, 凝固の指標としてFibrinopeptide A (Fib A), 線溶の指標としてD-dimer, 血小板数に加え機能の指標として血小板活性化因子 (Platelet Activating test: PAF) を測定した.結果として (1) ヘパリン濃度は3群間にて有意な差はなく, CPB開始時4.6-4.9IU/ml, 大動脈遮断解除後3.4-3.6IU/mlと適性値を維持した. (2) D-dimerは有意差はないものの, H群にて少ない傾向を示した p=0.1 (0.3). (3) Fib AはCPBスタート時から大動脈遮断解除時までS群に対してヘパリンコーティングのD, H群にて有意に低値であった (P<0.05). (4) 血小板数はCPB中を通してヘパリンコーティングのD, H群が多い傾向 (p=0.1-0.3) を示し, protamione投与時には有意に高値であった (p<0.05). (5) PAFはAOclamp, protamine投与時においてD, H群にて有意に温存されていた (p<0.05).結語: ヘパリンコーティング心肺回路は凝固, 血小板数・機能保持の面で有利であった.
  • 武輪 能明, 谷口 繁樹, 水口 一三, 辻 毅嗣, 多林 伸起
    1999 年 28 巻 2 号 p. 383-387
    発行日: 1999/04/15
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    頚動脈ドプラエコー法による体外循環中の脳血流モニタリングの有用性について検討した.中等度低体温下開心術18例に対し, 体外循環前, 中, 後において総頚動脈血流速度 (CAFV) を測定し, 全身総潅流量係数 (TSFI) との相関を調べ, 通常の体外循環中にCAFVの定量が可能であるか検討した.次に, 超低体温脳分離体外循環症例3例において, 術中に脳送血方法を変更した各手順でのCAFVの変化を調べ, 実用性を評価した. 定常流体外循環中のCAFVは16.0±8.8cm/s (Mean±SD) で, 体外循環前, 中, 後を通じてTSFIと有意な相関 (r=0.464, n=197, p<0.001) を認めた.脳分離症例では, 各手順でのCAFVの変化が明瞭に捉えられ, 選択的脳潅流中に生じやすい高流量送血の防止や左右の血流不均衡の是正が即座に可能であった.頚動脈ドプラエコー法は体外循環中のCAFVが非侵襲的かつ即時に測定でき, 体外循環中の脳血流モニタリングの一手段として有用であると考えられた.
  • 荒木 賢二, 押川 満雄, 穴井 博文, 中村 都英, 佐藤 雅郁, 吉原 博幸, 鬼塚 敏男
    1999 年 28 巻 2 号 p. 388-393
    発行日: 1999/04/15
    公開日: 2011/06/02
    ジャーナル フリー
    定常流人工心臓を拍動する自然心臓のバイパスとして用いた場合, 消費電流は拍動性を示し, この拍動性は人工心臓の補助状態を反映していると予想される. この仮定をもとに模擬回路試験を用いて, モータ電流の拍動性について検討した. 特別に製作した模擬循環回路は, サック型拍動流ポンプ, 3つのリザーバ, 定常流人工心臓としての斜流ポンプよりなり, モータ電流波形等をモニターした. 回転数を2000rpmから5000rpmまで変化させ, 電流の振幅を電流平均値で除した電流振幅指数 (ICA) を求めた.ICAを回転数に対してプロットしたところいくつかの特徴点 (t-i点, PR 0.7点, PR 0.5点, maxQ点) が同定された. t-i点はポンプの補助が部分補助から完全補助に移行する点によく一致した. 収縮能, 後負荷, 前負荷を変化させた時, 各点でのポンプ流量は前負荷に依存し, Starlingの法則に似た特徴を示した. 以上により, ICA-回転数関係から特徴点を同定することにより, 定常流人工心臓の補助状態が推定可能であると考えられた.
  • 三浦 剛史, 吉澤 誠, 田中 明, 阿部 健一, 山家 智之, 仁田 新一, 阿部 裕輔, 鎮西 恒雄, 井街 宏
    1999 年 28 巻 2 号 p. 394-399
    発行日: 1999/04/15
    公開日: 2011/06/02
    ジャーナル フリー
    著者らはこれまで, 拍動流完全置換型人工心臓の生理的・適応的な心拍出量制御の実現するために, 末梢血管抵抗に依存した適応制御アルゴリズムの開発を行ってきた. 本研究は, この制御法が定常流に対しても適用可能かどうかを検討したものである. 定常流TAHのための新しいアルゴリズムが拍動流TAHから変えられた点は主として操作量の種類と制御時間間隔である. 小型のモータ駆動遠心ポンプを2つ用いたモック循環系における実験結果から, 提案したアルゴリズムで制御された定常流ポンプは, 空気圧駆動方式の拍動流ポンプを用いた場合より制御性能が優れているばかりではなく, より簡単なアルゴリズムで, 少ない計測量で制御が実現できることが確かめられた. また, 提案した制御系が, 末梢血管抵抗に依存した制御法の一つである阿部らの唱えた1/R制御と同様な拍出流量制御を可能にするものであることが示された. さらに, 本制御系は適応制御アルゴリズムを採用していることにより, ポンプが拍動流型か定常流型かという駆動様式やその動特性における大幅な相違, あるいは, 循環系の個体差や時変性を克服する可能性があると思われる.
  • 磯田 晋, 矢野 善己, 柳 浩正, 真鍋 隆宏, 鈴木 伸一, 岩井 芳弘, 戸部 道雄, RL Hammond, LW Stephens ...
    1999 年 28 巻 2 号 p. 400-405
    発行日: 1999/04/15
    公開日: 2011/06/02
    ジャーナル フリー
    骨格筋ポンプは体外動力源不要の補助循環装置である. 血栓と破裂を克服すべく小型化した骨格筋ポンプ (1ml/kgBW) の補助能力を評価した. 耐疲労性成犬広背筋で作成した胸腔内小型骨格筋ポンプを下行大動脈に接続し, 心拍に1:1又は1:2で心拡張期に収縮させた. 心拍出量は対照1.26±0.11L/min (mean±SEM), 1:2駆動1.34±0.12L/rnin (p=0.046), 1:1駆動1.37±0.11L/min (p=0.044) と増加した. Tension timeindex (TTI) は対照13.9±0.4rnmHg*sec, 1:2駆動13.3±0.4mmHg*sec (p=0.036), 1:1で13.3±0.7mrnHg*secと減少した. Diastolictensiontimeindex (DTI) は対照18.3±1.8mmHg*sec, 1:2駆動19.0±1.7mmHg*sec, 1: 1駆動21.0±1.9mmHg*sec. EndocardialViability Ratio (EVR=DTI/TTI) は対照1.32±0.12, 1:2駆動1.44±0.13 (p=0.008), 1:1駆動1.60±0.14 (p=0.0015) と増加した. 小型胸腔内骨格筋ポンプは心拍出量を増加し, 冠循環を改善する循環補助能力を持つ事がわかった.
  • 田鎖 治
    1999 年 28 巻 2 号 p. 406-411
    発行日: 1999/04/15
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    本研究は恒久的使用の補助人工心臓用皮膚貫通装置の開発を目的とした. 【装置】装置の皮膚貫通部材としては三次元の多孔構築を有する表面構造を備えたハイブリッド炭素複合材料 (FTC) を開発した. 構造的にはケーブルにかかる外力が皮膚貫通部に及ぼないストレス緩衝システムを採用した. 試作した装置はケーブル管, FTCの皮膚貫通部, Titanium fringe (筋層に留置), そしてこれらを連結するTeflon bellowsから成る. 【動物実験】FTCの皮膚貫通材料としての組織適合性評価の基礎実験では子牛に埋め込まれたFTCは術後10日で多孔構造内の炎症細胞がほぼ消退し, 線維芽細胞と新生血管を認めた. 子牛の背中に埋め込んだ皮膚貫通装置は術後約4ヶ月間, 問題なく経過した. 【結語】長期的使用を目的とした人工心臓用皮膚貫通装置の開発を行い, 動物実験で良好な結果を得た.
  • 岡田 良晴, 川田 忠典, 保尊 正幸, 宮本 成基, 武井 裕, 舟木 成樹, 岡田 忠彦, 池下 正敏, 山手 昇, 稗方 富蔵
    1999 年 28 巻 2 号 p. 412-415
    発行日: 1999/04/15
    公開日: 2011/06/02
    ジャーナル フリー
    PCPSにおける抗凝固剤にargatrobamを使用し, その抗凝固効果と血小板機能に及ぼす影響を凝血学的分子markerの測定により検討した. Argatroban使用の48時間以上PCPS症例5例を対象とした. Argatrobanは0.7-2.4μg/kg/minの範囲で持続投与し, ACTを180秒前後に調節し, PCPS終了時まで投与を継続した. 凝血学的分子markerをPCPS1日目, 2日目, 3日目及び離脱例では離脱後に測定した. 血小板数は50, 000/mm3以上を維持し, fibrimogemはPCPS中正常範囲内に復帰した. β-TG, PF4の血中放出反応はPCPS中はある程度抑制され, PCPS後にはやや充進する傾向を示した. ATIII, TATもPCPS後に上昇傾向を示したが, F1+2, FPAには特徴的変化は認められなかった. 今後更なる研究が必要であるが, argatrobanの使用は血小板活性化の抑制傾向を示し, fibrinogenが温存されたことからargatrobanにはPCPS中の抗凝固効果のみならず出血傾向の抑制作用を有することが示唆された.
  • 河野 智, 西村 和修, 仁科 健, 大野 暢久, 米田 正始, 赤松 映明
    1999 年 28 巻 2 号 p. 416-420
    発行日: 1999/04/15
    公開日: 2011/06/02
    ジャーナル フリー
    我々は長期使用を目的とした磁気浮上型遠心ポンプ (MSCP) を開発中である. 左心補助におて心筋回復を期待する場合, 至適脱血部位は左房か左室かが重要な課題である. 今回, 成羊5頭を用い, 左房と左室の脱血部位の検討をMSCPによる左心補助にて行った. 心筋酸素消費量 (MVO2) を算出し, 左室にコンダクタンスカテーテルとミラーカテーテルを挿入し, 左室圧容積曲線を得, 補助流量を変化させ, 脱血部位を変更し比較検討した.左室の外仕事量は, 50, 75%補助では左房脱血のほうが左室脱血よりも有意に少ないが, 100%補助では左室脱血の方がより減少した. MVO2は両者とも補助の増加とともに減少し, 100%補助では左室脱血の方が有意に低値を示した. MSCPの左心補助では, 左房, 左室脱血ともにほぼ同等のMVO2減少効果があるが, 100%補助において左室脱血の方がMVO2は有意に低値を示し, 有用である.
  • 中田 雅子, 巽 英介, 築谷 朋典, 妙中 義之, 高野 久輝, 増澤 徹, 土本 勝也, 塚原 金二
    1999 年 28 巻 2 号 p. 421-426
    発行日: 1999/04/15
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    完全埋め込み型全人工心臓用血液ポンプの抗血栓性の向上を目指し, 血液ポンプ内部流れによるWashout効果を流れの可視化手法を用いて評価した. また, 内部流れの解析結果とWashout効果との関係をもとに, 血液ポンプ形状の具体的な改良を試みた. Washout効果は, 内壁に塗布した塗料の侵食を用いて壁面近傍の流れを定量的に可視化解析する新しい手法, 塗料剥離法によって評価した. さらに主流をトレーサー法で解析することで血液室内流れを3次元的に捕らえ, その結果よりWashout効果を最大にする流れパターンについて検討した. 血液室内流れパターンを意図的に変化させて解析を行った結果, 血液室内に生じる旋回流の中心が楕円体であるポンプの中心軸と一致する流れの状態において最も均一で最大の血液室内のWashout効果を得ることが分かった. また, この結果に基づいて相対的にWashout効果が低かった右心用血液ポンプの形状の改良を行い, 顕著なWashout効果の改善を得ることができた.
  • 下笠 賢二, 安田 利貴, 舟久保 昭夫, 澤入 利夫, 福井 康裕
    1999 年 28 巻 2 号 p. 427-431
    発行日: 1999/04/15
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    我々は, 現在まで圧力, せん断速度などの物理的因子と溶血との関係を調べてきた.その結果, 物理的因子が複合的に付加された場合, 溶血に影響を及ぼすことが示唆された. 一方, 高速で壁面に向かう流れがある場合顕著に溶血が生じ, また, 壁面の表面粗さも溶血量に影響することから壁面が溶血に対し何らかの作用を果たしていることが予想された. 今回は壁面に対する高速な流れ (3-7m/s) に対し, 壁面性状と溶血の関連性について検討を行った. 実験では人工臓器材料 (ポリカーボネート) 表面に0.1-1mmの間でシリコーンコーティングを施し, 3-7m/sの高流速をその側面へ噴流させた場合における溶血量とその硬さ (JIS衝撃式硬さ試験) について比較検討を行った. その結果, 特に7m/sの高流速域で表面硬さと溶血量に比例関係があり, 表面の柔軟性と溶血量に関連性があることが示された.
  • 井手 博文, 石田 良一, 野中 健史, 藤木 達雄, 笹川 成, 須藤 憲一
    1999 年 28 巻 2 号 p. 432-435
    発行日: 1999/04/15
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    僧帽弁閉鎖不全症, 特に前尖逸脱例における僧帽弁形成術の簡素化にむけて, 弁尖逸脱部位に金属薄層プレート固定を行い, 弁形成術を行う方法を考案した. 実験一ブタ摘出心12個を用いた. 生理食塩水を経大動脈弁的に90mm H2O圧にて, 左室に注入し, 僧帽弁閉鎖モデルを作成した. 正常僧帽弁の観察から, 弁尖形状に一致した三次元構造を有するステンレス製薄層プレートを作成した. 前尖腱索断裂モデル作成後, 8例にて合成樹脂接着法, 4例にて縫合接着法にて, プレートを弁尖に固定, coaptation line (C line) および逆流の評価を行った. 結果一樹脂接着例では, 50%にて逆流阻止, 縫合接着例では全例逆流阻止が可能であった. また, 逆流阻止例では, C lineの正常化が認められたのに対し, 逆流残存例では, C line該当部位の, 直線化等の異常が認められた. 結語-本法の僧帽弁形成術の一手法としての可能性が示唆された.
  • 李 桓成, 工藤 信樹, 下岡 聡行, 三田村 好矩, 山本 克之
    1999 年 28 巻 2 号 p. 436-441
    発行日: 1999/04/15
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    1980年代に動物やヒトに埋植された人工弁に壊食ピットが発見されて以来, その原因としてキャビテーションが注目されている.我々は人工弁の加速耐久試験を行い, 弁付近の管壁のコンプライアンスが大きくなるとキャビテーションによる壊食ピット数やピットの直径が増加することを示してきた. 本研究では, 自然心に近い圧力条件で剛体ホルダーとコンプライアンス付加ホルダーを用いてディスクの閉鎖運動および弁近傍の圧力変化を計測した. 計測の結果, コンプライアンス付加ホルダーでは, 剛体ホルダーよりも弁近傍の負圧のピークは小さいが, その持続時間は長くなっていた. 剛体ホルダーでは閉鎖直前の速度が速くなり, 表面壊食も増加することがわかった. 閉鎖直前のディスクの速度は表面壊食に大きな影響を与えると考えられる.
  • 村上 泰治, 菊川 大樹, 石田 敦久, 田淵 篤
    1999 年 28 巻 2 号 p. 442-446
    発行日: 1999/04/15
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    大動脈弁狭窄症 (AS) の術後左室形態の変化について検討した. ASに対するAVR29例のうち, SJM弁19mm7例 (I群), 21から25mm弁22例 (II群) を対象とした. 年齢, BSAに有意差なく, I群で女性が多かった. 心エコーは術後5年で検査した. 人工弁圧較差は, 平均でI, II群23.6, 22.9mm Hgで, 有意差なし. LVrnass indexはI, II群ともに有意に減少し, wall thicknessも両群ともに有意に減少した. chamberradiusは変化なく, radiusに対するwall thicknessの比 (th/r) は, 両群ともに有意に減少した. 19mm SJM弁を用いたAVRは, 大きな弁と同じように左室心筋重量は有意に減少し, th/rの減少にみられるように, 求心性肥大は著明に改善された. 19mm SJM弁でも, 5年の観察では満足できる結果が得られた.
  • 高島 征助
    1999 年 28 巻 2 号 p. 447-451
    発行日: 1999/04/15
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    現在, 臨床使用されている7種類の血液透析用中空膜の素材: セルロース (銅-アンモニア法), セルロースジアセテート, セルローストリアセテート, ビタミンE改質セルロース, エチレン/ビニルアルコール共重合体, ポリメタクリル酸メチル, ポリスルホンの血液適合性について活性酸素種の消去活性の観点から検討した. 本報では, とくに (ヒポキサンチン/キサンチオキシダーゼ) 系から生成したスーパーオキサイドのシトクロムCの還元反応速度を追跡する手法によって, 膜素材によるスーパーオキサイドの消去活性能の差を測定した. その結果, セルロース (銅 (アンモニア法), ビタミンE改質セルロース, エチレン/ビニルアルコール共重合体の膜では消去活性が認められたが, ポリメタクリル酸メチル, ポリスルホンではそのような効果はほとんど認められなかった).
  • 牧尾 健司, 小澤 英俊, 中島 秀和, 三軒 久義
    1999 年 28 巻 2 号 p. 452-457
    発行日: 1999/04/15
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    ポリメチルメタクリレート (PMMA) 膜は吸着能が強く, エリスロポエチンや低分子ヘパリンの登場によって, 残血しやすくなったとされてきたが, 臨床観察の結果, 当医院で起こっている帯状の残血は, 血液入口部のヘッダー内の偏流に起因する滞留部での血栓形成 (三日月状) によって, 中空糸が閉塞し, 外周部が残血するというメカニズムであることを確認した. そこで, 血液の偏流・滞留の解消及び膜の流動抵抗を小さくすることに着目し, 牛血でのin vitro評価と数値計算による流動解析を行い, 臨床で確認するため4水準のダイアライザーを試作した. 臨床の結果, 偏流・滞留の減少の程度に応じて, 残血は好転した. さらに, PMMA膜で残血傾向の強い患者に使用したところ, 従来の仮説を覆して, ヘパリン量を減少させても残血は全く起こらなかった. 以上のことから, PMMA膜に関しては血液の偏流・滞留, 流動抵抗が残血の大きな原因であることが判った.
  • 福田 誠, 宮崎 誠, 日吉 辰夫
    1999 年 28 巻 2 号 p. 458-464
    発行日: 1999/04/15
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    筆者らは, 従来のキュプラアンモニウム再生セルロース膜よりもさらに物質除去性能が高く, かつ膜内表面粗度が小さく適切な抗血栓性を有する, High performance membrame BIOREX AM-BC-F 膜(旭メディカル(株)) を開発した. 原子間力顕微鏡 (AFM) による膜内表面の観察では, 従来膜に比べてAMBC-F膜では, μmオーダーの膜内表面粗度が軽減されていることが分かった. これは, 従来とは異なる組成の銅アンモニアセルロース溶液と凝固法を利用した製膜法 (FIS Fine Inner Surfaceテクノロジー) を採用することで, 膜を構成するセルロースの凝集粒子が従来膜のそれより小さい為であると考えられた. また, ウサギ新鮮血液より作成した多血小板血漿中の血小板の膜内表面への粘着数定量から, AM-BC-F膜ではその内表面粗度が小さいために, 従来膜よりも膜内表面での小板粘着 (活性化) が抑制されることが分かった. したがって, 血液静止下ではなく流動状態下 (臨床) では, さらに, AMBC-F膜は, 抗血栓性に代表される血液適合性に良好な影響を与えると期待された.
  • 高島 征助, 内藤 秀宗, 宮崎 哲夫, 藤森 明, 吾妻 眞幸
    1999 年 28 巻 2 号 p. 465-470
    発行日: 1999/04/15
    公開日: 2011/06/02
    ジャーナル フリー
    透析患者の血液中に産生された高反応性物質のベッドサイドで実施可能な高感度な測定方法について検討してきた. 今回は膜素材の異なる4種類の中空糸膜透析器で, 血液透析中の各3名の患者の血清を経時的に1, 1-ジフェニル-2-ピクリルヒドラジル/メタノール溶液 (DPPH/MeOH) に添加したところ, その溶液の極大吸収位置 (515nm) の吸光度はいずれも透析開始直前が最も低値であり, 透析治療が進行するにしたがって, 徐々に回復する傾向が認められた. さらに, DPPH/MeOHの吸光度が低下する原因を化学構造が明らかなホスファチジルコリンエタノールアミンジオレート/MeOH (脂質), オボアルブミンおよびβ2-ミクログロブリン/PBS (低分子量蛋白質) などを添加して検討したところ, 低分子量蛋白質の過酸化水素処理後のPBS溶液を添加した際に吸光度が低下した
  • 長見 英治, 堀川 哲彦, 新井 貴士, 市川 久志, 山崎 英隆, 古川 康隆, 田代 美希, 小川 由希子, 入江 俊一, 山見 暁, ...
    1999 年 28 巻 2 号 p. 471-474
    発行日: 1999/04/15
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    近年, 透析膜の改良などの進歩により透析患者においてポルフイリンの体内貯留による晩発性皮膚ポルフイリン症の合併が減少傾向にある. 今回我々は維持血液透析患者8名の血漿ポルフイリン濃度および3種類のハイパフォーマンスメンブレン (HPM) -ポリスルフォン膜, セルローストリアセテート膜, セルロース膜-を使用した時のポルフイリンの透析除去率を検討した. 透析患者のポルフイリンの血漿濃度はUROポルフイリン: 3.5±3.3μg/dl, HEPTAポルフイリン: 1.2±0.5μg/dl, HEXAポルフイリン: 1.1±0.5μg/dl, PENTAポルフィリン: 2.7±2.2μg/dl, COPROポルフイリン: 1.1±0.5μg/dl, MESOポルフィリン: 1.5±0.4μg/dlでありUROポルフイリンが最も高値を示した. 今回使用したHPMの中ではポリスルフォン膜のポルフイリン除去率が他の膜に比して有意に高い結果が得られた. 本研究からポリスルフォン膜によるHPM透析は血漿ポルフイリン除去, ひいては晩発性皮膚ポルフイリン症の防止に有用である可能性が示唆された.
  • 木村 哲寛, 黒澤 尋, 西澤 元樹, 大村 佳孝, 徳永 則文, 緒方 嘉貴, 天野 義文
    1999 年 28 巻 2 号 p. 475-479
    発行日: 1999/04/15
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    簡便・迅速に肝細胞の超高密度充填が可能で, かつ充填効率に優れた新規ポリウレタン膜 (Polyurethane Membrane: PUM) をハイブリッド型人工肝臓のための細胞支持体として開発した. PUMは孔径100μm以下の微小孔からなる多孔質構造中に, 孔径100μm以上の指状構造を持つ巨大孔が散在する構造をとっていた. 空孔率は89.1%であった. このPUM (直径30mm, 厚さ6mm) に対して, 最高5×107 cells/cm3の細胞密度でラット肝細胞を充填することができた (充填効率96%以上). 細胞密度1~3×107cells/cm3では, 自然流下により5分以内に肝細胞の充填を完了できた. 細胞の大部分は微小孔に捕捉されていた. 肝細胞を2.5×107 cells/cm3で充填して灌流培養したところ, 肝機能は7日間持続され, この間の細胞漏出は認められなかった. アルブミン分泌能は7日間の平均で32.5μg/106 cells/dayであった. 培養後も細胞形態はほとんど変化せず, 球形を保っていた.
  • 青木 隆史, 広山 麻美, 讃井 浩平, 緒方 直哉, 菊池 明彦, 桜井 靖久, 片岡 一則, 岡野 光夫
    1999 年 28 巻 2 号 p. 480-485
    発行日: 1999/04/15
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    3-acrylamidophenylboronic acid, N-(3-dimethylaminopropyl) acrylamide, そして2-hydroxyethyl meth acrylateからなる高分子を合成し, このキャスト膜表面上でラット肝細胞の初代培養を行った. フェニルボロン酸基を有する高分子材料上で培養した肝細胞は, 3日後には多層集合体を形成し, アルブミンの高い分泌能を示した. さらに, この多層集合体は30日間培養しても, アルブミンの分泌能を維持したまま安定に生存した. これに対し, フェニルボロン酸基を含まない材料上の細胞は, 伸展形態で接着して増殖するものの多層集合体の形成には至らなかった. フェニルボロン酸基は, グルコースのようなジオール化合物と結合する性質を持つことから, この官能基を有する高分子材料が, 細胞表面の糖鎖との相互作用を介して, 初代肝細胞のスフェロイド形成を誘導し, しかも, その機能を維持したまま長期間にわたって培養できるものと考えられた.
  • 宮澤 光男, 北島 政樹
    1999 年 28 巻 2 号 p. 486-490
    発行日: 1999/04/15
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    我々は, ポリマーを利用した肝細胞移植により, 腹腔内に人工肝臓作成することの可能性を検討した. 現在の肝細胞移植の問題は, 移植肝細胞の分化, 増殖あるいは, ホストの免疫反応をコントロールすることができないことである. この問題を解決するために, 肝細胞に特異的に存在するアシアロ糖蛋白レセプター (ASGPR) を利用した生体非吸収性ポリマーであるgalactose-star-polyethylene oxide (Gal-s-PEO) hydroge1と生体吸収性ポリマーであるpolyglycolic acid (PGA) fabricsを伴った小腸間膜間肝細胞移植を施行した. 結果としては, 移植後28日目において, Gal-s-PEO群では移植時の約50%の肝細胞が生着し, PGA群の約3%に比較して, より多くの肝細胞を生着させることができた. このGal-s-PEOのような肝細胞を特異的に付着させるMatrixは, 肝細胞移植, 人工肝臓作成を成功させるための優れた手段となる可能性が考えられた.
  • 田代 良一, 壁井 信之, 土屋 喜一, 片山 國正, 石塚 宜三, 坪井 文則
    1999 年 28 巻 2 号 p. 491-496
    発行日: 1999/04/15
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    生体の運動エネルギーを利用した可変容量型静電発電機構を提案し, 基礎的な解析を行った. 静電発電機に用いる可変容量コンデンサとしてハニカム型可変容量コンデンサを製作してその可能性を実験的に検討した. この可変容量コンデンサは, 最大容量は約290nF, 最小容量約54nF (容量比γ=5.4) が得られ, 初期電荷供給電圧V0=6Vのとき, 1周期の動作で充電用コンデンサに最大約14.3μJの静電エネルギーが蓄えられた. 可変容量コンデンサのさらなる高容量, 小形化によりペースメーカ程度の電力を供給できる可能性のあることが判明した.
  • 後藤 博之, 杉浦 敏文, 原田 幸雄, 数井 暉久
    1999 年 28 巻 2 号 p. 497-501
    発行日: 1999/04/15
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    腕時計用に開発された自動発電機構がリードレスペースメーカー電源としてどの程度有効であるか, その可能性について検討した. SEIKO社製の腕時計から, 発電機構とキャパシタ (0.33F) を取り出して適宜固定し, ポリビニル製カプセルに納めた (AGS). AGSを2.0V (0.66J) に満充電して, 市販のCMOS-ICを使って製作したパルス発生回路の電源とした. 本回路は1.47mAのパルス (0.5rnsec, 1Hz) を510Ωの負荷抵抗に供給し続けた. この際のAGS電圧は, 加速度発生装置 (±1.7G, 2Hz) を使った発電により1.6Vに維持した. AGS (0.66J) は, パルス発生回路と麻酔下の雑種成犬の心筋に420mJを供給し, 140bpmのペーシングを60分間維持した. 右心室壁に固定したAGSは, 1心拍につき13μJの発電をした. 以上よりAGSは心臓を刺激する充分なエネルギーの供給を期待できると考えられる.
  • 佐藤 正喜, 柏原 進, 田中 秀典, 巽 英介, 妙中 義之, 高野 久輝
    1999 年 28 巻 2 号 p. 502-508
    発行日: 1999/04/15
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    長鎖ジアルキル基を有するカップリング剤とヘパリンとの複合体であるヘパリン化材料を開発した. 材料表面に局在するヘパリンの初期固定化量は1.903±0.432I.U./cm2であり, 生理食塩液による洗浄処理1週問後においても1.109±0.249I.U./cm2を維持した. またESCAによる表面元素分析においても, ヘパリンに由来するイオウ含量は4週間の生理食塩液による洗浄処理後も変化はみられなかった. In vitroにおける抗血栓性はModified Lee-White法及び低速血流血栓モニター法により評価し, 長時間に渡って抗血栓性が持続することが確認された. また, 本ヘパリン化材料は医療用具を構成する種々の基材に対して容易にコーティング加工することが可能で, かついずれの基材上においても良好な抗血栓性を示した. 今後In vitroにおける長期使用に関する実験的検討が必要であるが, PCPSなどの長期補助循環装置への応用が期待される.
  • 杉山 知子, 田中 哲夫, 佐藤 秀樹, 江嵜 祐造, 野尻 知里
    1999 年 28 巻 2 号 p. 509-513
    発行日: 1999/04/15
    公開日: 2011/06/02
    ジャーナル フリー
    ペースメーカーを初めとする体内埋込み型デバイスのケーシングとして実績のある純チタン (Ti) は, 生体適合性に優れた材料である. しかし, 人工心臓のように容積の大きなデバイスにおいてはさらに優れた生体適合性が必要である. そこで本研究では, より優れた組織適合性を賦与できると期待した不織布被覆チタンの12週間ラット皮下埋植実験による組織適合性評価を行った. コントロールとしてTi, ステンレス鋼 (316L), 高密度ポリエチレンを用いた. 線維性カプセルの厚さは, Ti; 239±52μm (n=10), 被覆チタン40±22μm (n=12) と有意に薄かった. また, 被覆チタンは不織布繊維の間に細胞の侵入を認め, 毛細血管形成も顕著であった. この結果から, 被覆チタンにおいてデバイス周辺組織との固定はTiに比べて良好であり, デバイスが周囲におよぼす機械的刺激を軽減する可能性を認めた. またデバイス表面での放熱作用などのメリットにもつながるものと期待された.
  • 小島 宏司, 島田 厚, 長田 博昭
    1999 年 28 巻 2 号 p. 514-516
    発行日: 1999/04/15
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    軟性DLC (Diamond Like Carbon) の高分子材料へのコーティングの成功より, DLCの医療応用への可能性を, 急性期補体結合反応を用い, 生体適合性の評価を検討した. シリコン両面にDLCを成膜 (DLC群), シリコン膜のみ (SE群) をラットの皮下に植埋し, 対象群 (CTL群) は開腹閉腹のみとし, C3, C5, CH50を植埋後, 3, 7, 14日に測定した. その結果は, C3, C5は植埋後3, 7, 14でDLC群, SE群ともに有意な変動をみなかった. CH50はSE群で7日目に変動したが, DLC群では変動をみなかった.接触角の測定でもDLC群の方がSE群より擾水性も優れた. 組織所見における反応性被膜の厚さは, DLC群, SE群ともほぼ同等であった. 生体適合性に関してDLC成膜はシリコン単独表面と同等の結果示し, 今後医用材質特性を改良する有用な医療用表面処理技術といえる.
  • 小山 富生, 山田 哲也, 片山 浩司, 高木 理守, 玉木 修治, 村山 弘臣, 加藤 紀之, 成田 裕司, 横手 淳, 六鹿 雅登
    1999 年 28 巻 2 号 p. 517-522
    発行日: 1999/04/15
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    人工心肺の血液吸引操作および脱血の補助手段として, ハードシェル静脈リザーバーを低陰圧に保つ定圧制御装置を開発した. 装置は静脈リザーバーと陰圧源の間に設置し, リザーバー内の目標制御圧を維持するために, 陰圧源の過剰な吸引量を大気から吸い込むアスピレーションバルブである. 陰圧源に160L/rninのバキュームポンプを使用して, 臨床模撥回路の吸引回路3本を同時に全開閉させた場合の圧力の変動幅を評価値とした場合, 制御圧が-10mmHgからバルブが完全閉塞する一70mmHg (開放時大気吸引流量135L/min) まで4rnmHg以内の圧力変動で安定した. リザーバー内圧が安定することで脱血に及ぼす影響は減少し操作性が向上した. 本制御装置は落差脱血のバキュームアシストのみならず同時に血液回収も可能であり, 人工心肺の補助装置として様々な応用が期待できる.
  • 小橋 帝生, 佐藤 伸一, 岡 隆宏, 松田 武久
    1999 年 28 巻 2 号 p. 523-527
    発行日: 1999/04/15
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    牛大動脈平滑筋細胞 (SMC) とI型コラーゲンの冷混合液を大小2種類の管状の鋳型に注入し, 37℃でゲル化させ, 内径3mmと6rmmの2種の管状中膜組織体を作製, これらを端側吻合し, 分岐型中膜組織体を作製した. 7~14日の追加培養により吻合部の組織的連続性が得られ, 内皮細胞 (EC) を内腔面に播種した. この分岐型血管壁組織体に (1) 低流量-24時間, (2) 高流量-24時間, (3) 高流量-24時間の3種の異なる履歴を持つ拍動流負荷を行った. 高流量群では高ずり応力領域でECの流れ方向への配向を認めるとともに, 低ずり応力領域の分岐部近位末梢ではECの細胞密度の低下と多角形化を認めた. また高流量群では72時間以内にSMCの伸長と円周方向への配向が見られたが, コラーゲン線維束の配向は認めなかった. エバンスブルー・アルブミン溶液による蛍光染色の共焦点レーザー走査顕微鏡所見では, 局所のECの形態に一致してアルブミン透過性の変化を認めた.
  • 中山 泰秀, 西 正吾, 松田 武久
    1999 年 28 巻 2 号 p. 528-532
    発行日: 1999/04/15
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    エキシマレーザー加工によりポリウレタンフィルム (大きさ20×12mm, 厚さ30ミクロン) の表面を4等分し, 各領域毎に孔密度を段階的に変化させて微細孔形成したマルチパターン化多孔質フィルムを作成した (孔径: 30ミクロン, 孔の総面積比率: 0, 0.3, 1.1, 4.5%).これを円周方向でパターンが変化するように成型したチューブをカテーテルで犬総頚動脈内に誘導し, ステントで内膜壁に密着するように留置した (内径約8mm). 術後1ヶ月, 全例 (n=10) が開存していた. チューブ内腔面は孔密度に関わらずほぼ全面がコンフルエントの内皮細胞で被覆された. チューブを含む血管組織の縦断面を観察すると, 多くの場合, 無孔部においてチューブ内面での顕著な血栓層の形成を認め, 有孔部では低孔密度領域を除いて血栓はほとんど認めなかった. また, 有孔部では主として経壁的な組織侵入が, 無孔部では吻合部及び隣接する有孔部からと考えられる組織侵入が起こり, 両者とも内膜組織形成を認めた. 内膜壁の厚さは無孔部では約350ミクロン, 最密孔部では約100ミクロンであり, 孔密度が増加するのに伴って薄くなった.
  • 久保 清景, 梅本 琢也, 白橋 幸洋, 細井 靖夫
    1999 年 28 巻 2 号 p. 533-535
    発行日: 1999/04/15
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    新しいニットグラフトGELSOFT PLUSが一般使用可能となった. 今回, GELSEALと術後拡張率を比較検討したので報告する. 対象は1987年12月から1998年4月までに行われた腹部大動脈人工血管置換術のうちGELSOFT PLUS使用例10例を対象 (P群) とし, 1987年12月まで使用していた従来のGELSEAL使用例10例を対照群 (C群) とした. 術後CT検査を行い人工血管径を計測し, 拡大率を求めた. 両群とも手術近接期死亡例はなかったが, P群破裂例で院内死を1例認めたが人工血管に起因する合併症は認めなかった. 術後CT検査による人工血管拡大率はP群は1.22±0.1でありC群では1.52±0.19でP群はC群に比べ有意に小さかった. また, 人工血管のハンドリングの主観的評価は両群とも断端がほつれない, 針穴からの出血が少ないなどがあげられた.
  • 小橋 帝生, 佐藤 伸一, 岡 隆宏, 松田 武久
    1999 年 28 巻 2 号 p. 536-540
    発行日: 1999/04/15
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    牛大動脈平滑筋細胞 (SMC) をコラーゲン中に三次元的に包埋した管状中膜組織体 (Nonrnesh model) と, これに人工支持体としてメッシュ (knitted fabrics) を組み込んだものを作製し, その力学的特性を内圧管外径関係で評価した. SMCと1型コラーゲンの冷混合液を管状の鋳型に注入し, 37. Cでゲル化させ, 内径3mmの中膜組織体を作製した. 弾性特性の違う2種類のメッシュを, 内腔面被覆 (Inner model), ゲル内挿入 (Sandwich model), 外面被覆 (Wrapping model) の3種の方法で中膜組織体に組み込んだ. Inner modelの耐圧性は低かったが, Sandwich modelは約110mmHgまで, Wrapping modelは240mmHgでも破裂せず, 後2者は生体動脈と同様のcomplianceを有していた. またメッシュの種類により動脈同様の非線形な弾性特性が導入された. 本研究は, 生体ならびに力学的適合性の高いハイブリッド血管の作製に応用できる.
  • 勝本 慶一郎, 新堀 立, 田口 真一
    1999 年 28 巻 2 号 p. 541-546
    発行日: 1999/04/15
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    ガラス状カーボンで作成したリング付き内挿型人工血管を1989年発表し, 以後, 臨床応用の研究を進めてきた. しかし, リング内面に仮性内膜が形成されない欠点があった. 最近のレーザー加工技術によりステンレス金属管に節状に沢山の穿孔を施し, ステントに類似した構造を持ちしかも剛性を保ったリジットステントの開発に成功した. この多孔性リジットステントを人工血管に挿入した結果, ガラス状カーボンリングと異なり動物実験では仮性内膜が良く形成される結果を得, 血栓形成の懸念がないと思われた. ガラス状カーボンリングならびに新しいリジットステントの臨床応用は, 従来のグラフト吻合と違い, スーチャレスのため手術危険因子を持つ患者にとって吻合時間短縮となり大動脈遮断時間の短縮に有利と思われる. 胸部大動脈瘤 (弓部と下行大動脈) 12名と腹部大動脈瘤患者9名にこれらのリング付き人工血管を植え込み良好な成績を得た. 弓部症例や下行大動脈症例の術中出血量を減少させ, 腹部大動脈のクランプ時間も短縮できた. 市販のringed intraluminal graftは, リングのプラスチック部分をダクロン布で被覆し, 内径を狭めている. しかも, リング幅が長くできないため (8mm程度の幅が限界) 宿主血管との固定にアンカースーチャーが必要であるのに反し, われわれのリング並びにステントは血流と直接接触しグラフトもリングの外側に位置するのでグラフトの直径も大きくなり, アンカースーチャーも不用となって術中操作性にも優れていると思われる. 今回カーボンリングからリジットステントに改良され, 仮性内膜の問題点が解消されている.
  • 野一色 泰晴, 山根 義久, 大越 隆文, 冨澤 康子, 殿倉 英次
    1999 年 28 巻 2 号 p. 547-550
    発行日: 1999/04/15
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    人工血管の基材となる超極細繊維を絡める前の編み物 (Original-UGと略す) を用意し, これに超極細ポリエステル繊維を絡ませた, 新しいタイプの人工血管 (UltrafneGraft, UGと略す) を作成した. まず超極細繊維が人工血管壁から滑脱するのではないかとの危倶から, in vitroで循環モデルを作成して繊維の滑脱負荷試験を行ったが, 滑脱繊維は認められなかった. つぎに作成した人工血管の物性評価を市販品, すなわちMicron (lnterVascular社, MICと略す), Microvel Double Velour Graft (Meadox社, MDと略す), およびBionit (USCI社, Bioと略す) と比較して行った. まず切断端ほつれ試験では各人工血管を斜め方向に切り, その切断端から1mm離れた所に糸をかけ, ほつれるまでの強度を測定した. その結果Original-UG, UG, MD, MIC, Bioではそれぞれ286±52g, 1074±50g, 741±165g, 665±57g, 662±15g (n=6) であり, 破れるまでの変形は5.8±0.4mm, 5.2±0.4mm, 8.7±0.5mm, 9.8±0.2mm, 7.3±0.8mm (n=6) であった. この結果, 新たな方法で作成した人工血管は基材に比べて超極細ポリエステル繊維を絡ませることにより耐ほつれ性, 破断強度も強まっており, さらに市販の人工血管と比較しても物性面では十分に匹敵しうる人工血管であることが判明した.
  • 北村 昌也, 小寺 孝治郎, 川合 明彦, 八田 光弘, 遠藤 真弘, 小柳 仁
    1999 年 28 巻 2 号 p. 551-556
    発行日: 1999/04/15
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    空気駆動型および電磁駆動型LVASにおけるモニタリングシステムを検討した. 空気駆動型では開心術後の心不全に対するZeon LVAS 5例の経験をもとに, 光ファイバー式光電スイッチによるモニタリングシステムを開発した. mock回路による性能評価で本システムによるLVASのf11-to-empty駆動制御のモニタリングが可能であった. 電磁駆動型では拡張型心筋症の急性増悪に対するNovacor LVAS2例の経験をもとに, 二つのプッシャープレートの位置センサー情報をコンピュータ解析して画面表示するシステムを評価した. コンピュータ解析により経時的モニタリングが行われ, コンピュータ画面表示の電話回線などを用いた伝送が可能であった. 光電スイッチや位置センサーを用いたLVASモニタリングシステムは有効であり, いずれも通信回線による遠距離伝送が可能で, 遠隔期における自宅等での患者管理やモニタリングに臨床応用可能と思われた.
  • 山家 智之, 小林 信一, 南家 俊介, 田林 晄一, 吉澤 誠, 福留 明, 仁田 新一
    1999 年 28 巻 2 号 p. 557-560
    発行日: 1999/04/15
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    人工内臓の開発においては埋め込んだ後の適切なモニタリングシステムの開発が不可欠となる. 東北大学では磁気変換技術を応用したバーチャルリアリティの3次元位置センサを応用して, 体内埋込み後のモニターをするシステムの開発と, マイクロマシーニング技術の応用によるマイクロセンサを応用した人工内臓のモニタリングを試みている. VADはサック型とし, ポリ塩化ビニル (PVC) ペーストを用いて整形し, 内面をポリウレタンによってコーティングした. サックに3次元位置測定装置を装着し, サックの収縮を実時間計測する方法論の確立を計った. 独自に開発したプログラムによりサックの収縮の実時間計測システムを開発し, 埋込み型VADのトータルシステムを試作した. 更にVADのカニューラにマイクロ圧センサを装着し, 内面を一体コーティングし, 山羊を用いた慢性動物実験にて長期安定性を確認した. モック循環ではVADとして十分な基本性能を示し, センサの6自由度の精密な実時間計測が可能であった. ベルト装着型のレシーバなどにより, VADを埋め込んだ後の実時間モニターも可能となると考えられた. またカニューラに埋め込んだセンサは一ヶ月後の駆動で安定した計測動作が確認された.
  • 坪 敏仁
    1999 年 28 巻 2 号 p. 561-565
    発行日: 1999/04/15
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    大孔径polyrnethyl rnethacrylate (PMMA) 膜を用いて, 各種メディエーターに及ぼす影響を検討した. 対象は集中治療部で持続血液濾過透析を行った多臓器不全患者13名とした。患者を大孔径PMMA膜 (平均孔径100A) 群7例と通常径PMMA膜 (平均孔径70A) 群6例に分け検討した. 測定項目は穎粒球エラスターゼ, ミエロペルオキシターゼ, IL-6およびIL1とし, その濃度変化およびクリアランス等を測定した. 大孔径PMMA膜での穎粒球エラスターゼのクリアランスは-12.1±27.3ml/minと, 通常径PMMA膜-1.9±17.2ml/minと差はなかった.ミエロペルオキシターゼは濾液中に排出されなかった. 大孔径膜でのIL-6の血液側からみたクリアランスは, 2時間では4.9±5.0ml/minであり, 通常孔径膜では11.6±5.3ml/minと差はなかった. ILIは測定感度以下の症例が多かった. 大孔径PMMA膜は, 今回測定したメディエーターの排出に関しては通常孔径PMMA膜との差は認められなかった. 他の物質についてはさらなる検討が必要であろう.
  • 冨澤 康子, 鈴木 進, 遠山 範康, 岡本 美樹, 平山 芽衣, 菊地 千鶴男, 田中 佐登司, 西田 博, 遠藤 真弘, 小柳 仁
    1999 年 28 巻 2 号 p. 566-569
    発行日: 1999/04/15
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    医療用具は高度・多様化され, その使用に際し事前に用具の扱いを熟知し適正に使用せねばならない. 無駄のない良い医療を目的にヒューマン・エラーおよび不具合をIABPのバルーンにおいて検討した. 当研究所人工心肺室で管理した1137個について, われわれの反省すべきヒューマン・エラーおよび製造者の改善すべき器具の不具合を使用記録から抽出し, 対象とした. 問題があったのは114個. ヒューマン・エラー: (1) 挿入時の器具の不潔17個, (2) 静脈内挿入6例, (3) 医師の判断に問題, (4) 未熟な手技, (5) 患者管理に問題. 不具合: (1) バルーンの挿入不可. (2) バルーンリーク- 挿入1時間以内3個, 1週間以内7個, 1カ月以内2個, 他2例の計14個. 1時間以上挿入した後にバルーンリークの起こった11例のうち6例は退院が可能であった. 医療用具, とくに長期植込み型人工臓器ではヒュ-マン・エラーは重要であるが無視されてきた. しかし, 無駄のない安全な良い医療を目指すには用具のデザイン, 使用者への教育を含め, 医療従事者と製造・販売者の情報の交換が不可欠であることが示唆された.
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