人工臓器
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維持血液透析患者の腎性貧血における血漿ポルフィリン濃度測定の意義
長見 英治小川 由希子田代 美希古川 康隆山崎 英隆市川 久志山見 暁守尾 友宏青木 康之清水 学高尾 克彦堀川 哲彦犬丸 達也百瀬 卓志古村 正渡部 敏雄新井 貴士守尾 一昭桑田 昇治松崎 健三
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2000 年 29 巻 1 号 p. 166-171

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抄録
血液透析患者の血漿ポルフィリン濃度を高速液体クロマトグラフィーにて測定して赤血球計算値との関係を検討し以下の結果を得た。赤血球代謝状態が比較的安定している無尿の安定維持血液透析患者では検討した12カ月間のMCHCの最大値と最小値の差とそれに対応する血漿COPROポルフィリン濃度の差に有意な負の相関が認められ, 血漿ポルフィリンが赤血球合成過程において利用されていることが示唆された。一方, 新規に導入された血液透析患者においては透析導入直前と透析導入1カ月後の血漿COPROポルフィリン濃度とRBC, Hb, Htの変化率には有意な正相関が認められた。透析導入期では貧血改善のみならず, 栄養状態の改善も図られることから, この結果は血漿ポルフィリン量の増加が独立して生じていることによるものと考えられた。以上より維持血液透析患者の血漿ポルフィリン濃度の変動は腎性貧血の臨床評価上有用であることが示唆された。
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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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