2000 年 29 巻 1 号 p. 161-165
ビタミンE固定化ダイアライザー (CL-EE) は酸化LDLやサイトカインの減少など様々な報告がなされている。本検討では, 体外循環時におけるビタミンEの抗酸化能の変化についてin vitro実験により評価を行った。さらに, 赤血球膜脂質に与える影響及びAdvanced glycation end products (AGEs) の生成についても検討を行った。体外循環時におけるビタミンEの抗酸化能の基礎検討は, CL-EEのミニモジュールを用いて血液循環により膜に蛋白を付着させた後, 血漿過酸化脂質の生成量を測定した。その結果, 蛋白付着前後により過酸化脂質の生成量に変化はなく, 蛋白付着後でも過酸化脂質の生成を抑制することが確認された。また, CL-EEは赤血球膜の過酸化脂質の生成やAGEsの生成を抑制することも確認された。以上からCLEEの使用により, 血漿の過酸化脂質を抑制させるだけではなく, 赤血球膜の過酸化脂質及びAGEs生成抑制効果により長期的な合併症の軽減が期待される。