人工臓器
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Poly (2-methoxyethylacrylate) (PMEA) を用いた新規な血液適合性表面
PMEA表面へのタンパク質吸着挙動
田中 賢本村 忠広川田 美穂安斎 崇王賀曽 利裕志村 賢一大西 誠人望月 明岡畑 恵雄
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2000 年 29 巻 1 号 p. 209-216

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抄録

Poly (2-methoxyethylacrylate) (PMEA) 表面は血小板粘着をはじめ各種血液適合性マーカーに対し, 活性化が低く, 優れた血液適合性を発現した。血液適合性のメカニズム解明を行うために, 対照としてPHEMA Poly (2-hydroxyethylmethacrylate) やPMEA類似体を用い, タンパク質の吸着, 吸着タンパク質の二次構造変化を比較検討した。PMEA表面はタンパク質の吸着が少なく, また吸着タンパク質はPHEMAに比べ変性が少ないことが分かった。また, 水晶発振子を用いたポリマー表面へのタンパク吸着のin situ測定から, 吸着速度定数 (k1), 脱離速度定数 (k-1) および結合定数 (Ka) を求めた。その結果, PMEA表面はタンパク質が吸着しにくく脱離しやすく, タンパク質との相互作用が弱い表面であることが分かった。したがって, これらのことがPMEAが優れた血液適合性を示す理由と考えられる。タンパク質の吸着が少なく変性も少ないことに対するメカニズム解明のため, PMEA中の水の構造をDSCで調べたところ, 水のColdcrystallizationに特徴が見られ, これが血液適合性発現のキーポイントとなると推察した。

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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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