抄録
人工心臓に駆動用電力を供給するものに体外結合型経皮エネルギー伝送システム (ECTETS) があるが, 入浴時や体外からのエネルギー供給が停止したときには, それを速やかに感知し電力供給源を体内バックアップニ次電池に自動的に切り替える必要がある。また, ECTETSによるエネルギー供給が再開したときには, 電力供給源を二次電池からECTETSに戻し, 人工心臓の駆動と二次電池充電の同時動作を行う必要がある。ここでは, Li+二次電池を用いたバックアップシステムの設計・試作を行い, 二次電池と体内コイルをヤギ腹部皮下に埋込みin vivoにて評価した。その結果, 切り替え動作に要した時間は, 50~100msであった。バックアップシステムを含めたECTETSの総合効率は, 73~97%であり, 埋込部の温度は40.5℃以下であった。エネルギー供給バックアップシステムと組み合わせたECTETSは, 十分な性能を有していることが確認された。