抄録
体内埋込用のリチウムイオン二次電池を試作し, それを生体適合性を考慮したチタン製のケースに収めて成ヤギの左腹部皮下に埋め込み, in vivoにおける充放電特性, 温度特性等を測定・評価し, in vitroの場合と比較・検討した。また, 連続的な充放電についても同様に充放電特性, 温度特性等を測定・評価した。その結果, 充放電時における電気的特性はin vivoとin vitroの場合とほとんど差異がないことが確認された。それに対し, 電池ケース表面温度はin vitroにおいて充電時に43.4℃, 放電時に43.2℃ まで上昇したが, invivoにおいてはそれぞれ40.0℃, 39.7℃ にとどまり, 温度上昇はin vivoの場合, 生体内の血流による冷却効果等のためにある程度抑制されることが確認された。また, in vivoにおける連続的な充放電においては, 電池ケース表面温度は充電時に39.6℃, 放電時に39.8℃と十分許容範囲内であることが確認された。