軽度低体温体外循環 (CPB) を行った5例の開心術で中大脳動脈 (MCA), 眼動脈 (OA), 総頸動脈 (CA) 血流速を超音波ドプラ法で脳組織酸素飽和度 (rSO2) を近赤外分光法で測定し, autoregulationの関与および灌流量の妥当性を検討した。CPB前の各最大血流速 (MCAVrnax, OAVmax, CAVmax) は25.9±3.6cm/s, 28.3±14.5cm/s, 62.5±28.8cm/sで, CPB前値を100%ととしてCPB中 (灌流量2.4, 2.0l/min/m2), 後の変化を表すとMCAVmaxは93.2%, 83.8%, 131%, OAVmaxは47.6%, 46.7%, 161%, CAVmaxは69.3%, 70.7%, 213%であった。rSO2はCPB前72.4±3.7%, CPB中70.4%, 68.5%, CPB後71.8%と維持されていた。軽度低体温CPBではMCAVrnaxはOAVmax, CAVrnaxに比べCPB中は維持され, CPB後は増加は少なくautoregulationが維持されていた。軽度低体温体外循環において2.0l/min/m2の灌流量はrSO2から見て妥当であると考えられた。