2000 年 29 巻 1 号 p. 93-98
現在, 人工心肺 (CPB) では外部灌流方式の中空糸型人工肺 (以下膜型人工肺) が主流に用いられているが, 中空糸を幾重にも巻いたり, 編み込んだ構造がプィルタ機能 (Filtration Function) を有すると考えられ, 近年では膜型人工肺の性能として空気 (気泡) をフィルタリングする能力が注目されている。しかし, その測定および評価法は確立されていないのが現状である。そこで, 本研究では新しく気泡に対するフィルタ機能の測定法を提案し, 実際に市販されているBaxter AF-1040GOLD動脈フィルタ (AF) およびSPIRALGOLD膜型人工肺 (SG) のフィルタリング能力 (Trap Performance: TP) を測定し, その特徴を比較検討した。その結果, AFとSGのTPに関する比較において, SGは優れた特性および能力を有していることが確認された。また, 膜型人工肺のTPの測定は, 現在使用されているPCPSや閉鎖回路などの安全性の指標となる可能性が示唆された。