2000 年 29 巻 2 号 p. 379-383
機械式人工弁が植え込まれた患者において, 超音波ドプラ法により中大脳動脈血流の計測を施行した際に, 強度の高い一過性の信号 (HITS) が検出される場合があり, 人工弁周囲で生成するキャビテーション気泡との関連が示唆されている。我々は開放不全の大動脈弁モデルを作成し, キャビテーションの初生条件および生成した気泡の挙動について実験的に検討した。その結果, 60°の開放制限モデルでは10.21/minの順行性流れにおいて径50~400μmのキャビテーション気泡が初生することが示された。生成した気泡は, 15cm下流では消滅したが, 60cm下流では径5~25μmの微小気泡核として安定して存在し, HITSの原因になりうると考えられた。