人工臓器
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敗血症用吸着体の探索
平井 文康荻野 英司古吉 重雄谷 敍孝
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2000 年 29 巻 2 号 p. 468-472

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抄録

我々は血液中のエンドトキシン活性を低下させ, しかも同時にサイトカインを吸着する吸着体の探索を行った。スクリーニングの結果, ハイポーラス型強酸性陽イオン交換樹脂であるRCP160 (三菱化学 (株) 製) を用いることによりTNF-α吸着が可能であった。このRCP160を用い, 他のサイトカイン吸着能及びエンドトキシン活性 (リムルス活性/サイトカイン産生能) 変化について評価した。その結果, RCP160はIL8についても大きな吸着能を示し, またIL-1β, IL-6の吸着も可能であった。リムルス活性はRCP160によって大きく低下し, またエンドトキシン添加血液のサイトカイン産生についてはTNF-α, IL-1β, IL-6で大きく低下することがわかった。RCP160はグラム陰性菌由来敗血症にとどまらず高サイトカイン血症を呈する疾患用の吸着体として有望であると思われる。

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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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