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島根県隠岐諸島西ノ島沿岸に生息するツルアラメ類似藻体の正体
林 裕一 能登谷 正浩四ツ倉 典滋
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2017 年 10 巻 1 号 p. 1-16

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抄録

隠岐諸島の西ノ島沿岸で同定が困難なカジメ類について生育地、形態、繁殖特性を調査した。 さらに培養やITS-1領域におけるDNA塩基配列を調べた。得られたデータをEcklonia stolonifera およびEcklonia kuromeのデータと比較して分類学的考察を行った。E. stoloniferaの匍匐枝には 根の裏に少数の分枝と櫛状-細根が特徴づけられた。E. kuromeの根には複数の枝分れ、根の先端 の細根によって特徴づけられた。同定困難なカジメ類は、匍匐枝の先端の苗条の有無によって2タ イプ(AK-1 AK-2)に分けられた。さらにまた苗条のない藻体は(AK-2)、付着器の形態の違い に基づく2つのサブタイプ(AK-2(1)とAK-2(2))に分けられた。形態学的な主成分分析と塩基配列比較によると、苗条を有する藻体(AK-1)およびE. stoloniferaの特徴を持つ苗条を有さない藻体 (AK-2(1))はE. stoloniferaであると考えられた。さらにその上、E. stoloniferaE. kurome の両方の根の特徴を有した苗条のない藻体は(AK-2(2))、 2種のカジメ類種間の自然交配由来の胞子体であると推測された。

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© 2017 日本応用藻類学会
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