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Online ISSN : 2423-8473
Print ISSN : 1883-3284
原著論文
ホソメコンブのδ15Nを利用した栄養供給効果判定の可能性について
栗林 貴範 赤池 章一門谷 茂
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2016 年 9 巻 1 号 p. 1-13

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抄録
ホソメコンブ Saccharina japonica var. religiosa への栄養塩供給効果を検出するための藻体の窒素安定同位体比(δ15N)の可能性について検証した。栄養塩供給は,2009年から2013年 にかけて,北海道南西部日本海沿岸海域において,海水中の硝酸塩より低いδ15Nを示す硫酸ア ンモニウムを添加し,施肥量および施肥期間を毎年調整することで実施された。施肥開始後は, 施肥地点において溶存態無機窒素濃度の上昇,ホソメコンブの成長促進および海藻現存量の増 大が確認され,藻体のδ15Nも対応して低下した。藻体のδ15Nは,施肥地点からの離れるに従い上昇し,施肥開始前の値に近づいた。藻体のδ15Nが施肥開始前と同レベルになるまでの施肥地点からの距離は,施肥量および施肥期間により異なった。これらの結果から,藻体のδ15Nは,施肥量,施肥期間および施肥地点からの距離を反映して変化し,ホソメコンブへの栄養塩供給効果を検出する新たな指標としての可能性が示唆された。
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© 2016 日本応用藻類学会
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